犬のアレルギー症状は皮膚に現れやすい(shutterstock.com)

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スギやヒノキの花粉症シーズンもそろそろ終盤戦。でも、つらいのは人間だけではない。犬も花粉症に罹る。ただし、目が真っ赤、クシャミを連発という犬はあまり見かけない。

 実は犬の場合、目や鼻にはアレルギー症状がほとんど現れない。アレルギー反応が出るのは主に皮膚だ。花粉だけでなく、ハウスダスト、ノミやダニ、食物、植物、薬剤や化学物質などへのアレルギー反応も、ほとんど皮膚に発症する。

 症状は、主に目のまわり、足先、ひじ、わきの下、足の付け根(そけい部)、耳たぶ、耳の中(外耳)などに炎症が発生する。かゆみを伴うので、症状が進むほどかき壊しが生じやすい。かゆがって体をかいたり、足先をペロペロなめたり、口や目のまわりに赤みが見られたら、アレルギー性皮膚炎の可能性ありそうだ。

 かゆくてもかいてはダメなことは犬にはわからない。かきむしったり、咬んだりして、余計に皮膚の状態を悪化させる。ただでさえ炎症して痛んでいる部位が、傷つき、脱毛が起き、その繰り返しで皮膚が硬く厚ぼったくなる。

慢性化するとメラニン沈着で色が黒ずみ、見た目にも痛々しい姿になる。かゆみを抑えないとかゆくて寝られず、夜通しかゆい部分をひっかいたり咬んだりし続ける場合もある。

アレルギー治療は根気が必要

 どんな病気にもいえることだが、犬のアレルギー性皮膚炎においても早期の発見・治療が大切だ。皮膚の状態が悪化する前に治療に取り組んで症状を抑えられれば、つらさをかなり軽減できる。

 ただし、犬のアレルギー治療は、根気が必要だ。まず、皮膚の炎症やかゆみがあるといっても、すぐにアレルギー性とは限定せず、別の病気も視野に入れて検査をする必要がある。そこで改めて、アレルギー性皮膚炎の疑いがあれば、アレルゲンを特定するための検査に進む。

 代表的なのは「IgE検査」という血清をとってアレルゲンを探る方法だ。検査結果を見ると、愛犬が何のアレルゲンに反応しているのか、一見するとわかりやすい。

 だが、これはあくまで推測でしかない。臨床現場で獣医師は、実生活や症状の出方を飼い主から細かく聞き取り、その情報と合わせてアレルゲンを探っていく。獣医師が欲しい生活情報は、主に次の通りだ。

●気になる健康状態(皮膚症状のほか、元気や食欲、排泄物の様子など)
●どこで症状が出るか(家の中が多いか、戸外か、終日か、きっかけはあるか)
●いつ症状が出るか(かゆがるのはどのタイミングや時間帯か、季節の傾向はあるか)
●食事内容(特に食物成分)
●病歴(これまでにどんな治療や服薬をしたか)

アレルギー性疾患は長い付き合いに

 ここまででも、それなりの時間を要する。そして、アレルギー性疾患が推測されたら、現在のところ次のような治療法の中から、その犬に合ったものを組み合わせて治療を進めていく。

●アレルゲンの除去(完全な除去は難しいが、できるだけ抑える工夫をする)
●皮膚ケア(適切なシャンプー剤や薬浴で、アレルギー性皮膚炎の症状を悪化させない)
●薬物療法(ステロイド剤から漢方までさまざま)
●減感作療法(アレルゲンのエキスを少しずつ注射してアレルギー反応を軽減する)
●除去食療法(食物アレルギーが疑われるときに行う)

 ただし、いざ治療に入っても、アレルギー性疾患はすぐに症状が好転するものではない。多くの飼い主は、治療を始めて1カ月近く経っても改善が見られないと、獣医師への不信が出る。動物病院を転々とするケースも少なくない。

 しかし、一般的にアレルギー治療は根気が必要ということを踏まえるべきだ。完治を望むというより、症状をうまくコントロールして愛犬が快適に暮らしていくことをめざすといい。

 そのためには、この人なら、と思える獣医師に出会えたら、よくコミュニケーションを取り、信頼関係を築いて、息の長いつきあいをするべきだろう。
(文=編集部)