スカイプ・セックスの妙味──わたしたちは、誰にも見られていないことにして続けた

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テクノロジーは恋の苦しみを、性の悩みを解決してくれるのか? デジタル時代のセックスのあり方にまつわるいくつかのストーリーを『WIRED』日本版VOL.21より転載。まずご紹介するのは、Skype(スカイプ)を介して育まれた、ある愛について。

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VOL.21特集「Sex in The Digital Age」より転載

2016年2月10日発売の『WIRED』日本版に掲載した特集から、話題のコンテンツを順次公開! 「セックスとテック」にまつわる7つの“投書”から、オキュラス・リフトがポルノにもたらすものや、セックスのない愛まで。関連記事は、こちらより。

わたしがちょうど学生のころ、人々はあらゆることをメールに書くようになった。そうした時代性の延長線上で、わたしが長らくクズみたいな内容のメールを書き続けてきたのは当然の流れだったのかもしれない。

わたしがセックスした相手に送るメッセージには、もちろんみだらな内容が含まれていただろう。ハッキングされる可能性を考えたこともあるが、わたしが膨大な量のクズみたいなメールを書いていることを誰かに知られたからといって、大事になるとは思えなかった。

とはいえ、自分の写真を撮って送ったことはなかったし、動画なんて絶対に撮るまいと心に決めていた。だから2011年、恋人と付き合い始めてまもない時期に、たわいもないヴィデオチャットが突然思わせぶりなものに変わったとき、わたしは不安になった。

インターネットへの接続は、安全とはいえなかった。どうすれば安全に接続できるのか見当もつかなかったし、正直なところ、いまでも安全な接続がどういう意味なのかもよくわかっていない。でもわたしの彼氏はフランスに住んでいて(当時、まだ3回しか会ったことがなかったけれど)、わたしたちは互いに愛し合っていた。最悪だ、ヴィデオチャットがなければ数カ月は顔も見られない。わたしたちはヴィデオを通じてカップルになったし、ヴィデオこそがわたしたちの交流のすべてだった。わたしたちの関係はヴィデオなしには成り立たず、それはセックスについても同じだった。

初めてヴィデオチャットを使ったとき、わたしたちは服を着ていた。が、それも変わっていった。画面上にあらゆる体の部位、あらゆる姿勢、音、動きを晒すのが普通になっていった。ある日、通話の最中にスクリーンがフリーズした。わたしもまた固まってしまった。

「なにこれ?」とわたしは言った。胸の鼓動が速くなる。「そっちもフリーズした? このカチカチいっている音は何?」。為す術もなかった。可能性として考えられるのはなんだろうか。誰かが通信を傍受しているなんてことがありうるのだろうか?

でも結局、誰にも見られていないことにして続けた。ダンスのコツと同じだ。それこそがSkypeでセックスするための唯一の方法である。

わたしはいまだに、エストニアのソフトウェアエンジニアやNSAの職員が、当時の録画データをもっているのではないかと気になって仕方がない。それが世間に出ようものなら、人生のとんでもない汚点になってしまう。想像すると吐き気がする。しかし、恋愛とはリスクを取ることである。いまのところはその結果として、いつの日か、性に対して厳格すぎない、かつネットがつながりにくい国への逃亡を余儀なくされる可能性もあるということなのだ。

とはいえ、利点のほうが(考えうる限りの)欠点よりも大きいと判断し、わたしたちはネットでのセックスを続けることにした。もし、いつの日か本当にネットがつながりにくい国に逃避しなくてはならなくなったとしても、わたしは、この親密さを深めるテクノロジーこそがわたしに人生の伴侶を与えてくれたという事実を忘れることはないだろう。

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