離婚で子どもはどうなる?母子家庭の年収は平均223万円
 夫婦3組に1組が離婚すると言われる昨今。離婚後も子どもが両親と会う「面会交流」が、いま議論になっています。別れた相手と子どもを会わせないことは、子どもの心の問題はもちろん、養育費の不払い、そして“ひとり親家庭の貧困”ともつながっているというのです。

◆離婚で後回しにされがちな「子どもの利益」

 2011年に民法が改正され、両親が離婚した場合には子どもの利益を最優先に考えて、面会交流や養育費についてきちんと話し合わなければならなくなりました。

 しかし、面会交流を求めて調停を申し立てるケースは増え続けています。2014年は約1万1000件で10年間で2.5倍にまで増えました。なかでも目立つのは父親からの申し立てで、昨年1年間に調停が成立するなどした事案のうち約7割に当たります(『朝日新聞』2016年2月3日夕刊)。

 面会交流の調停申し立ては約6割が成立しますが、強制力がないため成立しても子どもと会えないことが少なくありません。それが養育費の不払いにつながり、ひとり親家庭(とくに母子家庭)の貧困につながっているとの指摘もあります。

 長年、面会交流の支援をしてきた一般社団法人びじっと(※1)代表の古市理奈さんは言います。

「母子家庭の平均年収は平均223万円(うち働いて得た年収は181万円)、父子家庭でも380万円(同360万円)と、とても低くなっています(※2)。

 子どものことを考えれば、離婚後も離れて暮らす親と面会できたり、養育費が継続的に支払われることはとても重要なはずですが、離婚をめぐる争いのなかで『夫婦のこと』にばかり目が行き、『子どもの利益』が後回しにされがちです」

◆同居する親が、子どもを抱え込んでしまう

 どうしてこんなことになってしまうのでしょうか。

 その大きな要因は、日本社会が持つ「子ども」という存在のとらえ方にあります。明治時代につくられた家制度の影響もあり、ずっと日本では「子どもは『家(おとな)』の所有物」という考えが根強くありました。

 逆に言うと「子どものため」と考える意識が薄く、子どもの成長・発達には「自分はちゃんと愛されている」と思えるような両親との関わりが必要、という当たり前のことが見過ごされてきました。

 そのせいなのか、日本は先進国のなかでもめずらしく単独親権の国です。そのため、両親が離婚した場合、子どもを育てる権利や義務をどちらか一方の親だけが持つことになり、もう片方の親が子どもの養育にかかわるどころか、会うことすら難しくなります。

 裁判所や弁護士など子どもの権利を守る立場の人たちも、「別居親と子どもが会うことで同居親が動揺し、子どもに悪影響が出るから」などの理由で面会交流に消極的です。また、同居親やその両親が自分の寂しさを埋め合わせるために子どもを抱え込んでしまうことも少なくありません。

◆「会わせると子どもに悪影響」は間違っている

「そこには子どもの気持ちに寄り添おうという発想がありません。

 片方の親がいなくなれば、子どもは喪失感にさいなまれ、『自分が悪い子だったからなのだろうか』とか『自分はいらない子どもなのか』などと考え始めます。でも、『自分が捨てられた』と思うのは辛いことです。

 なので、『ひどい親だから、自分が親を嫌って離れたのだ』などと理由づけをしたりして、心のバランスを取ろうとする傾向が見られます」(古市さん)

 子どもにそんな思いをさせず自由に親と会えるようになるためには、「子どもはおとなの所有物」という古い考えを捨て、「おとなも子どももひとりひとり尊重されるべき存在」という価値観へと改める必要があるのではないでしょうか。

※1一般社団法人びじっと 離婚と子ども問題支援センター
http://www.npo-visit.net/

※2 「平成23年度全国母子世帯等調査」

<TEXT/木附千晶>
【木附千晶プロフィール】
臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。子どもの権利のための国連NGO・DCI日本『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの権利条約絵辞典』、著書『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』