最近の中国では「匠の精神」という言葉が持てはやされており、中国政府の関係者も言及するほど注目の言葉となっている。中国人旅行客が日本製品を爆買いするのは、日本製品の質が高いからであり、日本製品の質が高いのは、日本人に「匠の精神」があるためといった論調だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 最近の中国では「匠の精神」という言葉が持てはやされており、中国政府の関係者も言及するほど注目の言葉となっている。中国人旅行客が日本製品を爆買いするのは、日本製品の質が高いからであり、日本製品の質が高いのは、日本人に「匠の精神」があるためといった論調だ。

 中国メディアの蘭州日報は、中国の企業が「匠の精神」を獲得し、中国製品の品質を向上させるためにはまず「匠の価値」を認める必要があると論じた。

 記事は冒頭で、「匠の精神の有無が中国と製造大国との最大の差だ」と指摘、日本企業が高品質な製品を生産でき、中国企業の製品が低品質なのは「匠の精神」に起因するものであると主張した。

 しかし、中国では一般的にブルーワーカーの地位は高くない。中国の著名な思想家はかつて「或るものは心を労し、或るものは力を労す」という言葉を残したが、これは肉体労働をする者は、頭脳労働をする者に支配されるべきであるとの考え方だ。

 今日の中国人は肉体労働をする人びとを見下げる傾向にあり、はるか昔の思想家の考え方は、現在の中国に影響を残しているとも言える。肉体労働であろうと、頭脳労働であろうと、仕事に打ち込む姿勢が重要なのであり、その姿勢の有無によって匠と呼ばれる域に到達できるかどうかが決まるのではないだろうか。

 もちろん仕事には柔軟性や発想力なども必要であり、長時間働くことだけが大切なのではないが、日本では基本的に、どの様な職種であろうと真面目に打ち込む人が評価されてきた。しかし中国では賢くお金を儲ける人が評価される社会である。記事が主張するように、まず中国は「匠の価値を認めなければならない」が、その前に労働の意義が何なのかを考える必要もあるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)