【原ゆみこのマドリッド】気が抜ける試合がない…

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▽「ゴルフより見栄えは良くないかもね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日。前日にロンドンに飛んだネイマールがオクスフォード・サーカスにあるクラブ、Libertineから明け方近くに出てくる映像がお昼のニュースで流れた時のことでした。いえ、土曜日に試合をしたバルサは日曜日の午前中にリハビリトレをして、もうCLもないことですし、水曜日まで休養日だそうなんですけどね。とはいえ、その当人は6-0で大勝したスポルティング戦でPKを決めたものの、最近はもっぱら不調の噂が絶えず。

▽え、プライベートタイムのことなら、先週の日曜日、スペイン・オープンにかこつけて、カディス(スペイン南西部)の名門コースを梯子。趣味のゴルフを2ラウンド36ホール、プレーしたと報道された後、ミッドウィークのビジャレアル戦を筋肉痛で欠場したベイルも批判されていなかったかって? まあ、そうなんですけど、あっちは夜遊び、こちらはバックが青空のアウトドアでの活動ですからね。当人も「ゴルフは日曜日で何ともなかった。その後、月曜日に練習して違和感に気づいたんだ」と言い訳していましたし、まさにそのベイルが土曜日のラージョ戦での救世主だったとなれば、あれがいい気分転換になったのかと思うしかない?

▽という訳で早速、今節も三すくみ状態が変わらなかった土曜日の試合のことをお伝えしていくことにすると。スタートは午後4時から、エスタディオ・バジェカスでのミニダービー。キックオフから強い雨が叩きつけてきたせいで、スタンドにいた私もそうですが、マドリーの選手たちも集中できなかったんですかね。ええ、6分にはベベのクロスをエンバルバがゴール前から決めて、いきなりラージョが先制してしまったから、ビックリさせられたの何のって。おまけに攻撃の手を休めない弟分チームは12分にもトラシュオラスのCKをバランがクリアミスしたところ、ミクが2点目をゲットしたとなれば、この日はクリスチアーノ・ロナウドが大事を取ってお休みしていたこともありますし、マドリーのリーガは今度こそ本当に終わったと絶望したファンも多かったかと。

▽でもそこは守備が得意でないラージョ。34分にCKから、易々とベイルにヘッドで1点を返されてしまうのもどうかと思うんですが…。41分にベンゼマがヒザに痛みを覚えてルーカス・バスケスに交代するという敵の逆境も活かせず。後半早々の51分にはダニーロのクロスから、そのルーカス・バスケスに頭で同点ゴールを奪われているんですから、困ったもんじゃないですか。いやあ、実はその直後、同じ市内なのに関わらず、メトロ(地下鉄)の乗り継ぎが不便なため、私はスタジアムを出て、ビセンテ・カルデロンへ向かったんですけどね。アトーチャ駅から捕まえたタクシーのラジオで、80分にはマドリー相手にゴールを決めて舞い上がっていたんでしょうかね。エンバルバが自陣でパスをベイルに送り、彼がエリア内まで持ち込んで決勝点を挙げたと聞いてもあまり驚きませんでしたよ(最終結果2-3)。

▽ただ後で、「Pocas veces tendremos ante el Madrid una oportunidad así/ポカス・ベセス・テンドレモス・アンテ・エル・マドリッド・ウナ・オポルトゥニダッド・アシー(マドリー相手にこんなチャンスを掴むことは滅多にない)」と悔しがっていたラージョのパコ・ヘメス監督の話を聞くと、ミッドウィークを挟んだ3連戦最後の彼らは強豪チームを前にして90分、耐え続けられるだけの健康な選手がいなかったんだそう。「Y en parte la diferencia ha sido esa, el físico/イ・エン・パルテ・ラ・ディフェレンシア・ア・シードー・エサ、エル・フィシコ(差の1部分はそれ、フィジカルだ)」とのことですが、たとえレギュラーCBのゼ・カストロ(負傷)やジョレンテ(マドリーからレンタル中のためプレーできず)がいても35試合で69点と、リーガ最多失点のチームですからね。

▽その点はたった16失点しかしていない、マドリッドのもう1つの兄貴分を見習ってほしいと思うんですが、幸い降格圏との勝ち点差は3。次節のアトレティコ戦はともかく、最後のレアル・ソシエダ、レバンテとの2試合で頑張れば、きっと残留できますよ。

▽そして早めに出た甲斐あって、ビセンテ・カルデロンで私がキックオフから見ることができた次の時間帯のアトレティコの試合はどうだったかというと。これがまた、あまり相性の良くないマラガだったせいか、前半はグリースマンが絶好機にシュートを外すなど、彼らはチャンスを大して作れずに終了。いえ、それどころか、終盤には敵のカウンターを受けた際、故意にボールがピッチに投げ入れられるという不始末が発生…。「Fue el chico que estaba al lado nuestro/フエ・エル・チコ・ケ・エスタバ・アル・ラドー・ヌエストロ(ウチのベンチの脇にいた子だった)」(シメオネ監督)そうで、どうやらrecogepelota(レコヘペロータ/ボールボーイ)の仕業だったようなんですけどね。犯人は特定できずに結局、シメオネ監督が責任を取らされて、前半終了時点で退場させられてしまったから、スタンドも戸惑ったの何のって。

▽おかげで後半はパルコ(貴賓席)で負傷中のゴディンと並んで試合を見ることになったシメオネ監督ですが、カラスコが足首を痛め、コレアと早めの交代となったのが災い転じて福となりました。ええ、ピッチに入ってからたったの5分。61分にはその彼のシュートがアルベントサに当たり、軌道が変わってゴールになってくれたんですよ! これには交代前に「El 'Mono' me dijo que iba a marcar/エル・モノ・メ・ディホ・ケ・イバ・ア・マルカル(モノがゴールを入れるだろうと言ってくれた」ため、ブルゴス第2監督に抱きついて喜んでいたコレアでしたが、彼が途中出場からゴールを入れてくれるのは今季もう6回目。お隣さんのようにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質でないアトレティコにとっては非常に有難いことではありますね。

▽そのちょっと後には、おそらく水曜日のCL準決勝バイエルン戦1stレグのことも考えてのことでしょうけどね。グリースマンをアウグストに代え、守備固めをしたアトレティコは幸いラージョとは違い、最終ラインからゴディンが抜けても、ケガが治って復帰したヒメネスとルーカスの21歳と20歳のCBコンビがしっかり持ちこたえ、そのまま1-0で勝利。おかげで一時はマドリーに先を越された順位を元に戻し、更にその後、カンプ・ノウでお約束のようにペナルティが多発して、バルサが大勝した後でも勝ち点差なしの2位の座を守ることができたんですが…。

▽問題はシメオネ監督なんです! というのも、もし例のボールがアトレティコのベンチから投げ込まれたものとされると、ベンチ入り停止処分を3試合課されることになるのだとか。いやあ、そうなるとリーガの残り試合全部、スタンド観戦になってしまいますからね。それではアトレティコ出身のカマチョも「A mi me gustaria que gane el Atleti/ア・ミー・メ・グスタリア・ケ・ガネ・エル・アトレティ(ボクはアトレティコに優勝してもらいたい)。ヨーロッパで最大の予算を持つクラブのレベルにあるのは凄い努力だし、ojala tenga recompensa/オハラ・テンガ・レコンペンサ(それが報われますように)」と願っていたように、万が一、優勝が決まった場合に祝宴の輪に加わるのが遅れてしまうのも気の毒かと。

▽ちなみにその処分を逃れる方法はただ一つ、ボールボーイが犯人だというのが証明できて、責任の所在をスタジアムのクラブ係員に転嫁することですが、何ともねえ。真偽ははっきりしないものの、シメオネ監督が敵のカウンターを遮りたくてボールボーイにボールの投げ込みを指示したという説もありますし、未成年をスケープゴードにするのも可哀想となると、果たしてどんな結末になるんでしょうかね。

▽そして翌日はコリセウム・アルフォンソ・ペレスへ足を向け、ヘタフェの残留の戦いを応援してきた私でしたが、こちらも結構、不完全燃焼な結果に。いえ、アジェスタラン新監督を迎え、遅まきながら調子の上がってきたバレンシア相手に47分にはパレホのFKで失点。それでも闘志を失わず、58分にはゴール前の混戦からメドランが同点ゴールを挙げ、更にステファンの独走で逆転に成功した時には、ここ数シーズンで最多の1万2000人余りのファンが駆けつけたスタンドも大いに沸いたんですけどね。後もう少しという83分、パコ・アルカセルにバレンシアの2点目を奪われて、そのまま2-2で引き分けてしまうんですから、悲しいじゃないですか。

▽いやあ、パレホもパコも過去にはヘタフェで修業させてもらったおかげで大きく成長した選手なんですけどね。バレンシアも降格の心配はなくなり、かといってヨーロッパリーグ出場圏まで順位を上げる見込みも薄いというのに、勝負の世界は何とも非情。といってもアルバロ・バスケスを始め、ペドロ・レオン、ベルジーニが通常なら決まっているはずのシュートを外したヘタフェの自己責任でもありますけどね。人の不幸を利用するのは気が咎めるんですが、月曜日に今節最後の試合でグラナダがセルタに負け、残留圏との差が勝ち点1に留まっていることを励みに、彼らには残りのデポルティボ、スポルティング、ベティス戦で勝利を掴んでもらうことを祈るしかありません。

▽え、そんな景気の悪い話より、マドリッドの両雄のCL準決勝1stレグの方が大事じゃないかって? うーん、確かに、いよいよミラノでの決勝まであと一歩となった両チームだけあって、こちらも大変なんですが、火曜日にマンチェスター・シティ戦を控えるマドリーは前日には現地入り。記者会見ではジダン監督も「La idea es que Karim y Cristiano jueguen/ラ・イデア・エス・ケ・カリン・イ・クリスティアーノ・フエゲン(ベンゼマもロナウドも出るという考えだ)」と言っていただけに、どうやらBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)は揃ってプレーできるよう。

▽実際、この試合、マドリーには出場停止者もいないため、ヴォルフスブルクとの準々決勝1stレグの二の舞を踏まないよう、あとは心構えをしっかりしてキックオフを迎えるだけですが…。何せ相手もアグエロ、シルバ、ケビン・デ・ブルイネといった一流選手を抱えるチームですからね。ヤヤ・トゥーレは負傷欠場となるようですが、6年前にマドリーを率いて、あまりいい目に遭わなかったペジェグリーニ監督も今回は是非とも面目躍如したいところかと。それにはまず、「沢山ゴールを挙げて勝ちたい」(ベイル)という敵の野望を阻止するのが成功の取っかかりになりそうですね。

▽そして水曜日にバイエルンをビセンテ・カルデロンに迎えるアトレティコの方は月曜日、遅まきながらメディアディをマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で開催。その前日、雪の舞い散るミュンヘンで同じイベントをやった相手に見せつけるかのように、オープンエアに会見場を作って、さんさんと輝く太陽の下、選手たちが質問に答えていましたが、もしかしてこれって、単に施設の部屋が小さすぎて入りきらなかったから?

▽その中では、日曜日に広大なバイエルンのプレスカンファレンスルームでインタビューを受けていたシャビ・アロンソやベルナトにやたらアグレッシブなチームというのを強調されたのが気に入らなかったのか…。フィリペ・ルイスが「Somos un equipo de hombres/ソモス・ウン・エキポ・デ・オンブレス(ウチは男のチームだからね)」と応えていたのが印象的でしたが、とにかく相手はドイツの超強豪。あと勝ち点1で、ずっとぶっちぎりで首位だったブンデスリーガ優勝も決まるようですし、ロッベンは間に合わないものの、レバンドフスキ、ミュラー、アルトゥロ・ビダルといった危険なアタッカーたちを前に一体、どうやったらアトレティコが無傷で切り抜けられるのか。

▽もちろんバルサを倒して準決勝に進出した彼らですから、その元監督のグアルディオラが率いるポゼッション重視のチーム相手に自信をもっと持っていいはずですし、できれば2、3点入れて先勝してほしいという気持ちはありますけどね。不安なのは月曜日にはランニングを開始したものの、まだゴディンが出られないということと、カラスコも足首のせいで練習していなかったこと。ここはシメオネ監督がまたいい作戦を練って、選手たちも体力の限りを尽くして失点を防いでくれるのに期待するしかない? そんなマドリッド勢のCL準決勝1stレグは火曜日も水曜日も午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)にキックオフ。ファンにとってはまた、神経がピリピリするミッドウィークになりそうです。【マドリッド通信員】

原ゆみこ

南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。