『仮面ライダーゴースト』で注目! 俳優・磯村勇斗の過去、現在、未来。
仮面ライダーと言えば子ども向けの特撮テレビドラマだが、近年、人気俳優への登竜門として定着していることはご存知だろうか? 磯村勇斗もそのひとり。現在放送中の『仮面ライダーゴースト』で、“青い空”と“たこ焼き”を愛する異世界の王子・アラン様として人気急上昇中の23歳だ。俳優を目指したキッカケからデビューに至るまでの道のり、未来に描く夢、気になるプライベートに至るまでたっぷりと話を聞いた。
撮影/宮坂浩見 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/大坪真人
――今日は、“アラン様”とは違う、磯村さんの素顔に迫りたいと思っています。小さい頃は、どんな子どもでしたか?
静岡県沼津市の出身なんですけど、地元では“沼津の大将”と呼ばれるくらい、ヤンチャで暴れん坊な子どもでした(笑)。
――学校でも目立つ存在だったんですか?
とにかく目立ちたがり屋でしたね。みんなを笑わせるのが好きだったので、小学生の頃はお笑い芸人になろうと思っていました(笑)。
――そんな勇斗少年が、役者を志したのはいつ頃から?
中2のとき、学校の授業で自主製作映画を作ったことがキッカケで、演じる楽しさを知りました。映画のタイトルは『ヌマヅの少女ハイジ』。沼津にハイジという少女がいて、ハイジの学校にクララという転校生がやって来るところから始まります。転校してきたクララはクラスメートにイジメられ、怒ってスイスに帰ってしまうんですけど、ハイジがみんなを連れてスイスまで謝りに行き、クララを沼津に連れ戻すというストーリーでした。
――磯村さんは何の役を?
ハイジです。スカートを履いて。今考えるとハチャメチャですよね(笑)。
――(笑)。それをキッカケに、役者の夢がふくらんでいくんですね。
中3のとき、両親に「役者になるために東京へ行きたい」と話したんですけど、「高校には行きなさい」と言われ、地元の高校へ進学することになりました。でも、どうしても演技の勉強がしたかったから、自分で劇団を探して、芝居を教えてくれって電話して、週に1回通い始めました。僕の芝居の原点とも言える場所です。
――磯村さんのそんな姿を見て、ご両親にも真剣さは伝わったのでは?
そうですね。だから応援もしてくれたんですけど、勉強や部活もちゃんとやってほしいという思いもあったみたいで、けっこう複雑な気持ちだったのかなと思います。
――そういうなかで、次の進路を決めるときに東京の大学の演劇科へ進学されたんですよね。ご両親をどう説得したんですか?
母親は大学に進学するようにと言っていて、でも自分はもともと大学に行くつもりもなくて…あの頃がいちばん対立が激しかったですね。家出するくらい喧嘩したこともありました。結局、「演技の勉強ができる大学へ行く」ということで折り合いがつきました。
――しかし大学2年生のときに中退。希望の演劇科に進学したのに、どうして辞めることになったのでしょう?
大学生活はすごく楽しかったんですけど、外の世界を見たくなったし、もっと本格的に演技を学びたいと思ったんです。そのためには学業と両立するのではなく、芝居一本に絞りたかった。母親にはもちろん反対されましたけど、僕の意思も固まっていたので、最終的に押し通す感じになっちゃいました。それからは実家と連絡をとるのも億劫になってしまって…
――疎遠になってしまった、と…。辛かったですね。
僕よりも母親が辛かったでしょうね。たくさん心配かけてしまったことを今は申し訳なく思っているんですけど、当時の僕は、自分の夢を叶えることしか頭になかったから。
――大学を辞めてから事務所に入るまでの1年間は、どういう生活を送っていたんですか?
居酒屋やカフェで働いて、自分でお金を稼ぎながら暮らしていました。大学時代の友だちにオーディションの情報を教えてもらって舞台に立つことも。小さいことからコツコツ積み上げて、どんなことでも吸収してやるぞ、という気持ちでしたね。
――挫けそうになることはなかった?
挫けることはありましたよ。家に帰ると、ベランダに出て夜空ばかり見上げてましたから(笑)。でも芯の部分では、“オレは役者になるんだ、こんなところで負けてらんねーぞ!”という強い気持ちがあったから、続けることができたんだと思います。
――2014年に現在の事務所に所属され、2015年10月から放送中の『仮面ライダーゴースト』で、アラン役に抜擢されましたね。出演が決まったときのお気持ちは?
自分と年齢がそう変わらない役者さんたちが出演しているのを、“いつか、オレも…!”と思いながら見ていたので、本当に言葉にならないくらいうれしかったです。
――すぐにご家族に報告を?
はい、いちばんに両親へ連絡しました。最初は信じられない様子で、電話越しに「何を言ってるの?」って(笑)。事態が飲み込めてからは、泣きながら喜んでくれましたね。
――磯村さん演じるアランは、地球を自分たちと同じ世界にしようと企む眼魔世界の大帝の息子で、最初は冷酷で何を考えているのかわからない、謎めいた青年でした。
僕も「謎の青年です」としか説明されていなかったから、もう意味がわからなくて(笑)。視聴者の方と同じで、話が進むにつれヒントを与えてもらい、アラン像を少しずつ掴んでいくという感じでした。
――アランはやがて自分の間違いに気づき、敵対していた主役の天空寺タケル(西銘駿)や深海マコト(山本涼介)とともに、眼魔の世界と闘うようになる…と大きく立場が変化しましたね。磯村さんが、アランに惹かれるのはどういうところですか?
純粋な心を持っているところですかね。アランは「心なんていらない」と言っておきながら、タケルやマコトの世界に興味を持ったり、タケルやマコトの友情に嫉妬したりと、すごくピュアなんです。
――アランとご自身が似ているなと思うところは?
やっぱりピュアなところ。アランほどじゃないですけどね(笑)。
――空や海、鳥の鳴き声など自然の美しさに目を細めたり、たこ焼きをおいしそうにほおばったり、クールなイメージとは違ったギャップに萌えるファンも多いそうです。
表情が豊かになりましたよね。アランの本当の心が見えてきたなって演じながらうれしくなりました。でも、ファンの方に可愛いと言ってもらえたのは意外でした。女性から見たら、“ギャップ萌え”なんですね?(笑)こんなに反響があるとは思ってなかったです。
――アランは仮面ライダーネクロムに変身しますが、初めて変身したときはどうでしたか?
仮面ライダーにずっと憧れていたからうれしかったんですけど、そのぶんプレッシャーも大きくて、初変身のときはかなり手が震えてしまい、何テイクも撮り直すことに…。僕の変身フォームは、腕にはめるブレス型なんですけど、手元を見ないでやるのが難しくて。でも変身ポーズは大事だからカッコよく見せなきゃと思って、何度も何度も家の鏡を見ながら練習しました。
――ネクロムの変身シーン、すごくカッコいいですよ!!
ありがとうございます(照)。
――仮面ライダーのお仕事は、早朝出発の撮影のため夜明け前に起きるのはざらで、休みはほぼゼロ。過酷な撮影をこなさないといけないと聞きますが、これまでの撮影で「これは正直キツかった!」というエピソードはありますか?
早起きは苦じゃないですね。うーん、なんだろう…廃工場で撮影することが多いんですけど、ホコリや金属の小さな破片が飛んでいるので、撮影が終わる頃には、鼻の中まで全身真っ黒になっちゃうことかなぁ。
――最近は暖かくなりましたけど、冬の撮影であの衣装だと、かなり寒かったのでは…?
寒さが苦手なのでものすごく辛かったですね(苦笑)。中に着こんだり、見えないところにカイロを貼ったりして、体温をあげようと必死でした。
――熟練のスタッフからの厳しい演技指導もあると聞きます。
はい、現場では学ぶことが多くて頭がパンパンになります。ダメ出しをされるたび、自分の無力さに凹みますし、やっぱり悔しいです。でも、その悔しさをバネに頑張ることができるんだと思います。最近は「よかったよ」と褒めていただけることも増えてきて、そのときの喜びといったらもう……よし、がんばるぞって気になりますね。
――待ち時間や空き時間はどんなことをしてるんですか?
スタッフさんも含め男性が多い現場なんですけど、休憩時間は女性の共演者も一緒になってみんなでワイワイ盛り上がっています。スマホアプリでゲームしたり、変顔を誰ともなくやり始めたり、ラップで韻を踏みあったり(笑)、笑いが絶えない現場です。
――いちばん仲がいいのは、西銘さんと山本さんですか?
そうですね。でも、少し前までは現場であえて、誰とも話さないようにしていました。アランはタケル側と敵だったので、仲良くするとその雰囲気が画面に出ちゃうかなと思って。そしたら駿に、「磯村くんは冷たい」って言われて。なぜ距離を置いているのか説明して納得してもらったんですけどね。今は頭から爪先までどっぷり愛しています(笑)。
――これからの見どころを教えてください。
ずっと心に迷いがあったアランの心が決まって、少しずつ人間らしくなっていくので、その変化を見守っていただければと思います。タケルたちと一緒にとマコトと3人で同時に仮面ライダーに変身するシーンにも注目してください。「心の叫びを聞け!」っていうキメゼリフもカッコいいですよ!
撮影/宮坂浩見 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/大坪真人
親の反対を押し切って大学の演劇科へ
――今日は、“アラン様”とは違う、磯村さんの素顔に迫りたいと思っています。小さい頃は、どんな子どもでしたか?
静岡県沼津市の出身なんですけど、地元では“沼津の大将”と呼ばれるくらい、ヤンチャで暴れん坊な子どもでした(笑)。
――学校でも目立つ存在だったんですか?
とにかく目立ちたがり屋でしたね。みんなを笑わせるのが好きだったので、小学生の頃はお笑い芸人になろうと思っていました(笑)。
――そんな勇斗少年が、役者を志したのはいつ頃から?
中2のとき、学校の授業で自主製作映画を作ったことがキッカケで、演じる楽しさを知りました。映画のタイトルは『ヌマヅの少女ハイジ』。沼津にハイジという少女がいて、ハイジの学校にクララという転校生がやって来るところから始まります。転校してきたクララはクラスメートにイジメられ、怒ってスイスに帰ってしまうんですけど、ハイジがみんなを連れてスイスまで謝りに行き、クララを沼津に連れ戻すというストーリーでした。
――磯村さんは何の役を?
ハイジです。スカートを履いて。今考えるとハチャメチャですよね(笑)。
――(笑)。それをキッカケに、役者の夢がふくらんでいくんですね。
中3のとき、両親に「役者になるために東京へ行きたい」と話したんですけど、「高校には行きなさい」と言われ、地元の高校へ進学することになりました。でも、どうしても演技の勉強がしたかったから、自分で劇団を探して、芝居を教えてくれって電話して、週に1回通い始めました。僕の芝居の原点とも言える場所です。
――磯村さんのそんな姿を見て、ご両親にも真剣さは伝わったのでは?
そうですね。だから応援もしてくれたんですけど、勉強や部活もちゃんとやってほしいという思いもあったみたいで、けっこう複雑な気持ちだったのかなと思います。
――そういうなかで、次の進路を決めるときに東京の大学の演劇科へ進学されたんですよね。ご両親をどう説得したんですか?
母親は大学に進学するようにと言っていて、でも自分はもともと大学に行くつもりもなくて…あの頃がいちばん対立が激しかったですね。家出するくらい喧嘩したこともありました。結局、「演技の勉強ができる大学へ行く」ということで折り合いがつきました。
夢に挫けそうになって空を仰いだことも
――しかし大学2年生のときに中退。希望の演劇科に進学したのに、どうして辞めることになったのでしょう?
大学生活はすごく楽しかったんですけど、外の世界を見たくなったし、もっと本格的に演技を学びたいと思ったんです。そのためには学業と両立するのではなく、芝居一本に絞りたかった。母親にはもちろん反対されましたけど、僕の意思も固まっていたので、最終的に押し通す感じになっちゃいました。それからは実家と連絡をとるのも億劫になってしまって…
――疎遠になってしまった、と…。辛かったですね。
僕よりも母親が辛かったでしょうね。たくさん心配かけてしまったことを今は申し訳なく思っているんですけど、当時の僕は、自分の夢を叶えることしか頭になかったから。
――大学を辞めてから事務所に入るまでの1年間は、どういう生活を送っていたんですか?
居酒屋やカフェで働いて、自分でお金を稼ぎながら暮らしていました。大学時代の友だちにオーディションの情報を教えてもらって舞台に立つことも。小さいことからコツコツ積み上げて、どんなことでも吸収してやるぞ、という気持ちでしたね。
――挫けそうになることはなかった?
挫けることはありましたよ。家に帰ると、ベランダに出て夜空ばかり見上げてましたから(笑)。でも芯の部分では、“オレは役者になるんだ、こんなところで負けてらんねーぞ!”という強い気持ちがあったから、続けることができたんだと思います。
――2014年に現在の事務所に所属され、2015年10月から放送中の『仮面ライダーゴースト』で、アラン役に抜擢されましたね。出演が決まったときのお気持ちは?
自分と年齢がそう変わらない役者さんたちが出演しているのを、“いつか、オレも…!”と思いながら見ていたので、本当に言葉にならないくらいうれしかったです。
――すぐにご家族に報告を?
はい、いちばんに両親へ連絡しました。最初は信じられない様子で、電話越しに「何を言ってるの?」って(笑)。事態が飲み込めてからは、泣きながら喜んでくれましたね。
ずっと憧れていた仮面ライダーに変身!!
――磯村さん演じるアランは、地球を自分たちと同じ世界にしようと企む眼魔世界の大帝の息子で、最初は冷酷で何を考えているのかわからない、謎めいた青年でした。
僕も「謎の青年です」としか説明されていなかったから、もう意味がわからなくて(笑)。視聴者の方と同じで、話が進むにつれヒントを与えてもらい、アラン像を少しずつ掴んでいくという感じでした。
――アランはやがて自分の間違いに気づき、敵対していた主役の天空寺タケル(西銘駿)や深海マコト(山本涼介)とともに、眼魔の世界と闘うようになる…と大きく立場が変化しましたね。磯村さんが、アランに惹かれるのはどういうところですか?
純粋な心を持っているところですかね。アランは「心なんていらない」と言っておきながら、タケルやマコトの世界に興味を持ったり、タケルやマコトの友情に嫉妬したりと、すごくピュアなんです。
――アランとご自身が似ているなと思うところは?
やっぱりピュアなところ。アランほどじゃないですけどね(笑)。
――空や海、鳥の鳴き声など自然の美しさに目を細めたり、たこ焼きをおいしそうにほおばったり、クールなイメージとは違ったギャップに萌えるファンも多いそうです。
表情が豊かになりましたよね。アランの本当の心が見えてきたなって演じながらうれしくなりました。でも、ファンの方に可愛いと言ってもらえたのは意外でした。女性から見たら、“ギャップ萌え”なんですね?(笑)こんなに反響があるとは思ってなかったです。
――アランは仮面ライダーネクロムに変身しますが、初めて変身したときはどうでしたか?
仮面ライダーにずっと憧れていたからうれしかったんですけど、そのぶんプレッシャーも大きくて、初変身のときはかなり手が震えてしまい、何テイクも撮り直すことに…。僕の変身フォームは、腕にはめるブレス型なんですけど、手元を見ないでやるのが難しくて。でも変身ポーズは大事だからカッコよく見せなきゃと思って、何度も何度も家の鏡を見ながら練習しました。
――ネクロムの変身シーン、すごくカッコいいですよ!!
ありがとうございます(照)。
過酷なロケ、厳しい演技指導が続く日々
――仮面ライダーのお仕事は、早朝出発の撮影のため夜明け前に起きるのはざらで、休みはほぼゼロ。過酷な撮影をこなさないといけないと聞きますが、これまでの撮影で「これは正直キツかった!」というエピソードはありますか?
早起きは苦じゃないですね。うーん、なんだろう…廃工場で撮影することが多いんですけど、ホコリや金属の小さな破片が飛んでいるので、撮影が終わる頃には、鼻の中まで全身真っ黒になっちゃうことかなぁ。
――最近は暖かくなりましたけど、冬の撮影であの衣装だと、かなり寒かったのでは…?
寒さが苦手なのでものすごく辛かったですね(苦笑)。中に着こんだり、見えないところにカイロを貼ったりして、体温をあげようと必死でした。
――熟練のスタッフからの厳しい演技指導もあると聞きます。
はい、現場では学ぶことが多くて頭がパンパンになります。ダメ出しをされるたび、自分の無力さに凹みますし、やっぱり悔しいです。でも、その悔しさをバネに頑張ることができるんだと思います。最近は「よかったよ」と褒めていただけることも増えてきて、そのときの喜びといったらもう……よし、がんばるぞって気になりますね。
――待ち時間や空き時間はどんなことをしてるんですか?
スタッフさんも含め男性が多い現場なんですけど、休憩時間は女性の共演者も一緒になってみんなでワイワイ盛り上がっています。スマホアプリでゲームしたり、変顔を誰ともなくやり始めたり、ラップで韻を踏みあったり(笑)、笑いが絶えない現場です。
――いちばん仲がいいのは、西銘さんと山本さんですか?
そうですね。でも、少し前までは現場であえて、誰とも話さないようにしていました。アランはタケル側と敵だったので、仲良くするとその雰囲気が画面に出ちゃうかなと思って。そしたら駿に、「磯村くんは冷たい」って言われて。なぜ距離を置いているのか説明して納得してもらったんですけどね。今は頭から爪先までどっぷり愛しています(笑)。
――これからの見どころを教えてください。
ずっと心に迷いがあったアランの心が決まって、少しずつ人間らしくなっていくので、その変化を見守っていただければと思います。タケルたちと一緒にとマコトと3人で同時に仮面ライダーに変身するシーンにも注目してください。「心の叫びを聞け!」っていうキメゼリフもカッコいいですよ!