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●買い物の考え方で、投資がわかる?
楽天証券がこのほど開催したセミナー「親子で学ぶ投資教室」では東京取引証券所の見学のほか、株に関する講座「中高生のためのお金の授業」も実施された。授業を担当したのは、楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリストの土信田雅之氏。彼自身も学生時代に株を始め、160万円ほど留学資金を蓄えたという。今回は授業の模様をレポートしていく。

○投資の考え方は、消費と共通する?

そもそも投資とは、どのように考えればいいのだろうか。土信田氏によれば、普段の買い物で意識していることが投資の考え方にも役立つのだという。例えば、買い物でお金を使う際、価格(プライス)と価値(バリュー)を比較しながら商品を選ぶ。価値を見極めることと、それに見合う価格はいくらなのかを判断していくことが、消費と投資の共通する判断基準となるそうだ。

価格と価値を比較して、払った価格よりも価値が高ければ、割安。払った価格よりも価値が低ければ、割高。お金に見合う価値が得られた場合は、妥当という視点で考える。払ったお金より満足度が高ければ「消費」、払ったお金より満足度が低ければ「浪費」と判断する。

一方、株式投資の場合は、株価を見ながら投資をする。そのため、払った「価格」を基準として価格と価値を比較する。それに対して価値が、割安か割高か妥当かを判断する。

消費や浪費がお金を「減らす」ものであれば、投資は「増やす」、あるいは既に投資商品を持っている人にとっては「守る」という考え方に値する。投資の方法は、株を買うことだけに限らない。預金する、金を買う、百貨店『友の会』に入会する、馬主になる、不動産を買う、資格を取る、非売品を入手することなどがある。

投資をする際の判断指標は「リターン」(稼げる見込みがあるのか)、「リスク」(不都合が生じる可能性)、「コスト」(手間や余計な支払いは生じないのか)の3点となる。

○株って何?

この投資の1つが株式投資。そもそも株とは、企業が事業資金を調達するために発行しているものだ。「株を買う」ということは、株を発行している企業に出資を行い、事業資金を提供していることを意味する。

さらに、買った株は第三者に転売することができる。株を転売した場合は、株主としての権利等は新しいオーナー(株主)に移ることになる(原則として、上場銘柄は誰でも売買が可能となっている)。株は、株主取引所で取り引きされており、証券会社では証券取引所と株を買いたい人・売りたい人との取り次ぎが行われている。

●投資する会社、どのように選べばいいの?
○銘柄の見極め方は?

株式投資において、気になるのが投資する会社の判断方法だ。投資する会社を見極める際は「会社の価値」が基準となる。

会社の価値は、企業の「保有資産(財産価値)」、あるいは企業の「稼ぐ力(事業価値)」という点から判断できる。計算方法は、下記となっている。

会社の価値=事業価値(稼ぐ力)+財産価値(資産)-負債(借金)
=(営業利益×10)+{流動資産-(流動負債×1.2)+固定資産(投資その他の資産合計)-固定負債}

※営業利益×10……営業利益の60%(営業利益のうち40%は法人税)÷0.06(株式投資の利益は年間6%が目安のため)=10
※流動負債×1.2……流動負債はすぐに返還する可能性のある負債のため、1.2倍に設定し余裕を持たせているという。

■情報の確認方法
貸借対照表から確認……流動資産、流動負債、固定資産、固定負債、投資その他の資産
損益計算書から確認……営業利益

読み取った情報を計算式に当てはめると、企業の価値を計算することができる。上場企業の場合は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を自社のホームページで公開していることが多いので、試してみよう。

■1株あたりの企業価値の計算方法
計算した会社の価値から「1株あたりの会社の価値」を知るには、下記の式で算出することができる。

(計算した)会社の価値÷発行済み株式数=「1株あたりの会社の価値」

株価と「1株あたりの企業の価値」を比較して、「1株あたりの企業の価値」の方が高ければ割安。「1株あたりの企業の価値」より株価の方が高ければ、割高と判断できる。授業では、アップルやセブン&アイ・ホールディングスなどの例を紹介した。

アメリカの上場企業アップルの株価は、過去10年間で10倍に及ぶ。アップルでは、2007年6月の初代iPhone発売、2010年4月初代iPad発売、2011年10月スティーブ・ジョブス氏逝去、2015年4月Apple Watch発売、このようなイベントやニュースによって株価が変動していた。土信田氏は「2008年にはリーマン・ショックが起き、世界経済は下向きでしたが、アップルのように稼いでいた企業では、その状況でも株価が上がっていたんです」と解説した。

日系企業において成長株の例として挙げたのが、セブン&アイホールディングス。1979年の上場時、セブン-イレブン(当時の社名)は株価が1,700円、株数が1,000株、投資額が170万円だった。一方、37年後の2016年現在のセブン&アイホールディングスは、株価が2.76倍の4,700円、株数が38倍の3万8,000株、投資額が1億7,860万円に増加している。「ここまでの成長株を見極めるのはなかなか難しいですが、株式投資で利益を出すためには、やはり成長を見込める株を探した方がいいです。安定的に利益を積み重ねて、一定期間で資産を倍にすることを目指すと良いと思います」と土信田氏。

○銘柄の売買、タイミングは?

どの銘柄をいつ売買すればいいのかを分析するためには、以下のような方法がある。

■ファンダメンタルズ分析
企業の業績や財務、業務内容などから企業価値を分析する手法

■テクニカル分析
株価の値動きや売買動向を分析し、そのパターンや投資タイミングを探る手法

これらの分析方法によって株価と企業価値を比較して、企業は以下の3パターンに分類できる。

・「バリュー」で稼ぐ企業……企業価値重視(いかに安く買うか)
・「トレンド」で稼ぐ企業……相場の勢い・強さ重視(いかに高く売り抜けるか)
・「回転」で稼ぐ企業……日々の値幅・出来高を重視(いかに利益を積み重ねるか)

■アナリストレポート
株式投資において、参考にしたいのがアナリストレポート。証券会社のアナリストが様々な会社を訪問して調査したものとなっている。

アナリスト視点では企業の稼ぐ力について「何で稼いでいるのか」「なぜ稼げているのか」「いくらで稼げそうか」「これからも稼いでいけそうか」の4つの視点で分析するという。土信田氏は「まずは、会社の価値を計算してみたり、このような視点でアナリストレポートを見てみたり、マネーにまつわる雑誌を読んでみたりすることから始めるといいです」とアドバイスした。

(百合野綾)