リオ五輪の出場権をかけた世界最終予選が1ヶ月後に迫った。昨年のワールドカップで大活躍した石川祐希選手と柳田将洋選手を中心に、全日本男子バレーの近況をお伝えしたい。

 エースとして大きな期待のかかる石川は3月下旬に全日本合宿に合流して、しばらくはサーブ、スパイクの練習をせず、レシーブ練習のみで調整をしていた。

 昨シーズンは大学春リーグ(優勝)に始まり、黒鷲旗、ワールドリーグ、海外遠征、ワールドカップ、大学秋リーグ(優勝)、インカレ(優勝)、天皇杯と休む間もなく試合に出場し続けて、膝を傷めた。

「これまで感じたことのない痛み」だったこともあり、冬場はボールを触らず、トレーニングのみに明け暮れたという。東京のナショナルトレセン、次の鹿児島での合宿ではまだ別メニューだったが、今週行なわれた沖縄合宿では、やっとスパイクも打つようになり、紅白戦では石川のいるチームが2セットとも勝利した。2大会ぶりの五輪出場権が獲れるかどうかは、彼にかかっているといっても過言ではない。

 母校の星城高校、竹内裕幸監督は「バレーが好きでたまらないから、逆にできなくなってしまわないように、ここはどれだけ追い込む、ここは限定して流すということを、自分でしっかり考えられる選手。今は自制して、しっかり調整しているんだと思います。心配してません」と信頼を寄せる。

 確かに、石川が参加した最初の合宿で彼に「別メニューだけど、心配はないか」と聞くと、「やろうと思えば、(サーブやスパイクも)やっちゃえるんですけど、そこは監督と相談しながら、無理をしないようにしています」というコメントが返ってきた。

「勝ちを求めていかないと、とは思っているので、OQT(世界最終予選)に向けて意識を上げていきたい。キックオフミーティングで、Cパス(セッターが大きく動かされるサーブレシーブ)のときのスパイク効果率がよくないという指摘をされた。自分の中では、Cパスのときも(強引に)打ちにいっていたイメージがあるので、考え方を広げて、プッシュやリバウンドなどを取りにいくことも選択肢に入れたい」

 4年前の最終予選はテレビでも見ていなかった。「高校生の時とかも、全日本の試合はついていれば見てたと思いますけど、オリンピックがかかっているとか、世界選手権を意識していたわけではなく、あっ、全日本とどこかがやっている、という軽い気持ちでした。あんまり『この場に立ちたい!』という気持ちはなくて、ただ、自分は目の前の試合に勝ちたいと思ってやってきたのが、今につながっています」

 久しぶりのスパイクでは、やはり最初のうちは感覚がつかめなかったという。しかし、それでも試合中に何とか感覚を取り戻し、次のセットからは対応できるようになった。

 アジアで首位を争うときの壁、イランについても「(2014年の)アジア大会でやったときは、ふつうに負けてしまったけど、昨年のワールドカップでは差が縮まったと思う。だから、あのとき出た課題を日本がひとつずつつぶしていければ、勝つことができると思います」

 レシーブ練習しかできない期間も、チーム練習の時間が終わったあとも志願して自主練習をし続けた石川。OQTではきっとその成果を見せてくれるだろう。

 もうひとり、やはり期待のウィングスパイカー柳田将洋も練習熱心な選手だ。石川と同じく、チーム練習が終了しても、連日自主練習を願い出る。課題はブロックとレセプション(サーブレシーブ)。持ち味のサーブは、ワールドカップで個人ランキング5位と、十分世界でも通用することを示した。

 ワールドカップを改めて振り返り、強豪国との差を分析してもらった。

「大事な局面でミスを出さないところ。どうして、ミスをしてしまったかを振り返ると、締まりが足りなくて生まれているものが結構多かった。強豪国のチームはそういうのがなく、確実にフィニッシュまで持ってくる。僕も早くそこまでいかないと」

 Vリーグ1年目は、所属のサントリーが7位に沈み、23年ぶりの入れ替え戦に回ることになった。リーグ期間中の天皇杯では、石川祐希擁する中央大学にまさかの敗戦を喫した。

「天皇杯で学生に負けたときは、どん底でした。でも、あれをきっかけにして、新しいシステムを取り入れたり、自分のプレーを見直すことができた。Vリーグは海外のチームに比べると細かいプレーが正確。サイドアウトの応酬で、日本人同士のプレーだと、より我慢を強いられるような状況が多くて、プレッシャーも大きかったと感じます。自分が入る前から想像していたんですけど、想像以上にレベルの高いステージだなと思いました。海外とやる試合とはまた違うので、そこでしっかり自分が対応しなければいけない。そういう意味ではすごく勉強になったシーズンだったと思います」

 柳田がひと回り成長して、OQTへ臨む。現在の心境を聞くと「もちろん、(意識は)高まっています」と笑った後、こう続けた。

「どこの国が......と特別に意識するわけじゃないですけど、アジアはまずひとつの壁と思っていますし、そこからポーランドやフランスとか強豪にチャレンジして、どんどん勝つつもりで倒しにいきたいと思っています。とにかくアジアの壁(中国、イラン、オーストラリア)をしっかり叩きたい」

 オリンピック世界最終予選男子大会は5月28日(土)、東京体育館で開幕する。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari