軌道を漂う宇宙服の亡霊・太陽光で飛ぶ飛行機が太平洋を横断・海に浮かぶ原発(画像ピックアップ29)

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1週間のあいだに拾いきれなかったをニュースを集めてお伝えします。今週は「宇宙服の亡霊」、「太陽光飛行機が太平洋を横断」、「フロート式原発」などをまとめました。

軌道上の亡霊となった宇宙服「SuitSat」

2006年2月3日、国際宇宙ステーテョン(ISS)でクルーによる船外活動(EVA)が実施された際、古いロシア製宇宙服が1セット、地球低軌道上に放出されました。この宇宙服はすでに耐用年数を過ぎており、通常ならサプライの補給船につめ込まれて大気圏で焼却処分されるはずのものでした。

この宇宙服、わざわざデブリにするために軌道上に"ポイ捨て"されたわけではなく、ロシアの学生による発案で、内部に3つのバッテリーと通信機器、センサー類を入れた人工衛星として機能する「SuitSat」に改造されていました。

目的は宇宙服の冷却装置を切った場合の内部環境がどうなるか、通信は大気圏突入まで正常に続けられるか、バッテリーは生命維持装置がシャットダウンしてしまうまで持つのかといったことを調べるためで、内蔵バッテリーが続く間、ステータス情報を地上へと送信する計画でした。

放出されたSuitSatは、90分で地球を1周する軌道を回り始めました。最初はアマチュア無線機器でも簡単にその電波を拾うことができるなど順調に見えました。ところが地球を2周ほどしたところでバッテリー出力が不安定になり、地上はおろか他の人工衛星でも電波を正常に受信できない状態に陥ります。原因は温度低下でリチウムイオンバッテリーが凍結したためとされます。結局、SuitSatはそのまま軌道を周回するだけの気味の悪い「宇宙服の亡霊」 となってしまいました。ただ、亡霊も長く宇宙に留まることはできず、2006年9月7日には大気圏に再突入して燃え尽きてしまいました。

NASA、火星探査用超高効率イオンスラスターの開発に6700万ドル

次は地球の軌道を飛び出して、深宇宙への旅に関する話です。NASAは、太陽電池の電力を利用するイオンスラスターを、有人火星探査機の推進システムとして採用する計画です。日本が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」ことMUSES-Cの推進システムとしても知られるイオンスラスターですが、その弱点は推進力が弱いこと。ただヒドラジンを燃焼させる従来のロケット推進に比べると、燃料消費に対する推進力が非常に高く、より少ない燃料でより遠くまで到達できる特徴があります。

NASAはこのイオンスラスターの推進力を現在の2倍にまで引き上げるべく、6700万ドルの予算を投じると発表しました。開発はミサイル・ロケットメーカーでスペースシャトルのメインエンジンも手がけたAerojet Rocketdyne。開発期間は3年の予定で、有人火星探査のほか「小惑星再配置ミッション(Asteroid Redirect Mission)」用ロボット宇宙船の推進システムとしても利用されるはずです。

[Source : NASA]

Solar Impulse 2、ハワイからカリフォルニアへの太平洋横断に成功

そして今度は同じ太陽光を利用していても、大気圏内での冒険の話。2015年3月にアブダビを発った太陽光飛行機「Solar Impulse 2」が、機体修理と整備を続けていたハワイ・オアフ島を飛び立ち、カリフォルニア州へと到着しました。

Solar Impulse 2といえば、2015年7月に中国・南京からハワイへ向かおうとしたものの気象レーダーに映った「巨大な雲の壁」の嵐を避けるため、急遽愛知県営名古屋空港へと着陸、万全を期すためにおよそ1か月間の滞在の後に離陸。5昼夜、約118時間の連続飛行でホノルルのカラエロア空港へと到達しました。

ただこの連続飛行はバッテリーへの負担も大きく、結果的に多くのバッテリーセルを交換しなければならなくなりました。そして傷んだ機体の修理整備などは9か月にもおよびました。

Solar Impulse 2は2人のパイロットが搭乗するものの機体の構造上、フライト中の操縦交替はできません。前回、名古屋〜ハワイ間の操縦は元スイス空軍のアンドレ・ボルシュベルク氏が務めたので、今回は医者で冒険家という肩書きを持つベルトラン・ピカール氏が、カリフォルニアまでの旅程を担当しました。

ハワイを発ってから約62時間。カリフォルニア州マウンテンビューへと降り立った2人と Solar Impulse 2 は、今後アメリカ大陸、そして大西洋を横断する予定。順調に行けば夏ごろにはアブダビへと舞い戻る計画です。

[Source : Solar Impulse]

中国の大気汚染問題を解決するテクノロジーとは?

Solar Impulse 2が、大気汚染物質を排出せずに世界を一周しようとしている一方で、中国は世界で発生するCO2の約3分の1を大気中に放出しています。石炭火力への依存度が高い中国でははばい煙に含まれるPM2.5のせいで市民の健康被害も深刻化しつつあります。

このため、中国市民のなかには「ウェアラブル空気清浄器」を装着する人が現れています。これは3200円ぐらいで販売されれいる「Mini Lung-Pro」という商品で、吸入する外気をHEPAフィルターで清浄化する機能を備えます。

経済協力開発機構(OECD)は、中国は2030年までは現在のレベルで汚染物質を排出し続けるだろうと予測しています。また中国政府は2030年までに汚染物質排出をマイナスの方向へ引き下げたいとしているとのこと。

この写真はカナダのフォトジャーナリストKevin Frayer氏が撮影し、ソニー ワールド フォトグラフィー アワード2016のProfessioonal/Contemporary Issues部門 2位に選出されました。

[Source : Sony World Photography Awards 2016]

中国、南シナ海の軍事拠点用に「フロート原発」を建設

中国からのPM2.5は日本や韓国などにも大きな影響を与えています。一方、南シナ海では人工島を造成し軍事拠点化も進行しつつあります。そして、その軍事拠点への電力供給用として"浮上"したのが、「フロート式原発」計画。

20基の建設が計画中と報じられるこの原発は、Reuters などによると海上に浮く構造を備え、南シナ海での国家活動に電力を供給するとのこと。さらに航行能力もあり、遠隔地へ電力を出前供給することも可能とされます。

中国政府は、南沙諸島の人工島について「民間利用が目的」と説明するものの、わざわざ他国に近い海上に、浮いて移動する原発を配置する理由はどこにあるのかが気になるところです。

なお、人民日報は大型フェリーのような"フロート原発"の想像図をツイッターで公開しています。