老朽原発をテスラの工場へ──仏政府が模索

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仏エネルギー・環境大臣は、独仏国境の近くにあるフェッセンアイム原子力発電所を、テスラの工場へと転換するアイデアに言及した。福島第一原子力発電所事故を受け、仏政府は同国で最も古い同発電所を2017年までに閉鎖することを決定している。

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仏エネルギー・環境大臣のセゴレーヌ・ロワイヤルは4月はじめ、フランス北東部の古い原発施設を再利用するための最善策は、テスラを説得して電気自動車の工場へ転換させることだと述べた

独仏国境の近くにあるフェッセンアイム原子力発電所は1978年1月に稼働を開始し、フランスでは最も古い稼働中の原子力発電所だ。現在はフランス電力(EDF)によって運営されているが、2011年の福島第一原子力発電所事故を受け、フランスのオランド政権は2012年、安全のために、フェッセンアイム発電所を2017年までに閉鎖することを決定した。

独放送事業体「ドイチェ・ヴェレ」は4月3日付の記事で、2014年に同原子力発電所の原子炉1基に水漏れが発見されたが、制御棒にも問題があったため、EDFは異例の方法で原子炉を停止せざるを得なかったと報じている。ドイチェ・ヴェレによると、EDFはこのときの出来事を重要視しなかったという(フェッセンアイム原子力発電所は2004年、2005年、2009年にも、レヴェル1の事故を起こしている)。

ドイチェ・ヴェレの記事によると、フランスは現在、国内の電力供給の75パーセントを原子力に依存しているが、仏政府は2025年までにそのシェアを50パーセントに引き下げたいと説明したという。

フェッセンアイム発電所の閉鎖に関しては、いまだ多くの人たちが反対している。ロワイヤル大臣は2016年3月に行われたインタヴューで、同発電所が2,000人の従業員を雇用していると述べている。

ロワイヤル大臣は今回の発言で、閉鎖にあたっては地域の人々に雇用を提供することが必要であり、テスラ新工場の建設は良い考えではないかと述べた。同大臣は3月には、フェッセンアイム発電所を再生可能エネルギーのための施設に転換する可能性についても言及していた。

いっぽう、テスラはすでに「モデルS」の組み立て工場をオランダに設置している。だがこの1週間で、価格3万5,000ドルのモデルSに対し予想を上回る予約が殺到(日本語版記事)したことを受け、イーロン・マスクCEOはツイッター上で、「カリフォルニア州フレモントにある工場が最大生産量に達しつつあるなか、地域における長期的な需要に対応するため、欧州に工場を新設する必要がある可能性がある」と述べた

マスク氏は2016年3月末、フレモント工場の最大生産量は1年あたり50万台だと説明している(同工場は2013年に操業開始。2013年の段階では、3,000人の従業員と160台のロボットが週に400台のモデルSを生産していた(日本語版記事)。

フランスの『フィガロ』紙は、マスクCEOが1月にパリで行われたイヴェントで、欧州のハブ工場の候補地としてアルザスが適切かもしれないと語ったものの、直ちにその意見を「単なる思い付き」だとして退けたと報じている。

いっぽう、フォードは4月5日(米国時間)、メキシコに工場を新設するために16億ドルを投資する意向を発表した。この工場は2018年に稼働を開始し、2020年までに2,800人の従業員数を雇用するという。

米国の政治家たちや労働組合は、米国からメキシコへと生産を移転させることについてフォードを批判している。ロイター通信の記事によると、メキシコ工場の従業員は時給8.50ドルの賃金と給付を受けるという。米国での同じような職種の労働者の場合、時給はおよそ60ドルとなる。