34年後の日経平均はどうなっているか AP/AFLO

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 アメリカで発売され、話題となっているクライド・プレストウィッツ氏の書『JAPAN RESTORED(日本復興)』では、「2050年の日本は経済成長率が4.5%になる」と予測されている。本当にそんな未来はやってくるのか。

『日本復興』では2050年の日本は、「経済成長率は毎年4.5%を維持」「GDPは世界一のアメリカに迫り、中国の2倍近くになる」と描かれている。

 現在の日本は少子化の影響で、労働力が不足し、消費も伸びず成長が見込めないという見方が大方を占める。2015年の名目GDPを見るとアメリカの17兆ドル、中国の11兆ドルに対し、日本は5兆ドルと大きく水をあけられている。

 人口減少の中で、世界一に迫るGDPは実現できるのか。

「人口増加がなくても経済成長ができる」実現性を、アジア成長研究所所長の八田達夫氏が説く。

「OECD(経済協力開発機構)加盟諸国の過去40年のデータを見ると、人口増加率と経済成長率には何ら関係がない。私は日本の成長のためには移民の受け入れが必要と考えています。ただしそれは人口増加のためではなく、発展に多様性をもたらす高度人材の積極的な受け入れです」

 日本の高度経済成長期のように1%程度の人口増加率でも年10%もの経済成長を遂げてきた例もあり、1人当たりのGDPを増やせば成長は理論上可能である。八田氏はそのためには外国からの高度人材に加え、雇用と教育の在り方を抜本的に変える必要性があると指摘する。

「最も重要なのは労働市場改革です。いったん入社してしまえばよほどのことがない限り一生居座れる日本の終身雇用制は、雇用の流動性を損ねています。日本でベンチャー企業の創業が少ない要因もここにあり、起業・転職しやすい環境や法を整備し流動化を促す必要があります。さらに、大きな予算を投じて、現状では少数の先端科学の学生定員を増やせば、日本を世界的ハブにして世界を主導できるでしょう」(八田氏)

 かつて労働力人口が減少したイタリアやスウェーデンでは労働者1人当たりが生み出す付加価値を高めて生産性を向上させた。日本と同じ無資源国家のシンガポールは2000年から2014年まで平均5.67%の成長率を記録してきた。資源に乏しくても高度な人材を世界中から集めて成長した好例であり、日本が学ぶべき点は十分にある。

 加えて日本は科学技術や医療などのテクノロジーで世界をリードできるポテンシャルを持つとされるが、それらは企業の姿勢にもかかってくる。

「多くの日本企業が過去最高益をあげる一方、その多くは内部留保に回され、日本企業全体で300兆円超まで膨らんでいる。仮に年間10兆円投資に回せばそれだけでGDPの2%分に相当する。波及効果を含めれば、投資の大幅増と抜本的な規制緩和で4%台の成長も不可能ではありません。経営者に求められるものは“貯め込むこと”ではなく積極投資する姿勢です」(信州大学経済学部・真壁昭夫教授)

 同書では2050年、中国やロシアなど周辺国が「人口減による国家の死」にあえぐ中、唯一日本は経済的に各国から羨望の眼差しを向けられているという。また、人口も大幅に増えるとされている。高い生産性に、人口増加が加わったならば日本は名実共に経済大国として復活していることだろう。

※SAPIO2016年5月号