中国企業による海外企業買収の動きが顕著になっている。その「爆買い」ぶりは、バブル期の日本企業を上回る勢いだ。イメージ写真。

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2016年4月23日、台湾の電子機器受託生産の世界最大手・鴻海精密工業によるシャープ買収の陰に隠れ日本では目立たないが、中国企業も積極的に海外企業を手に入れている。バブル経済時代、日本企業もこぞって買収に走った。中国企業の「爆買い」ぶりは、当時の日本をはるかに上回る勢いだ。

中国・人民網が今年1月末に伝えたコンサルティング会社・プライスウォーターハイスクーパース(PwC)報告書「2015年中国企業合併買収市場の回顧と2016年の展望」によると、経済のモデル転換が中国国内での戦略的合併買収(M&A)取引の力強い伸びを後押し。中国企業の15年のM&A取引は件数が前年比37%増加し、金額も同84%増加して7340億ドル(約86兆7000億円)に達していずれも過去最高を更新した。1件当たりの取引額が10億ドル(約1180億円)を超えた取引は114件に上り、こちらも過去最高を更新した。

ロイター通信も「16年第1四半期の世界M&A総額は6690億ドル(約74兆7000億円)と前年同期比14%のマイナスとなったが、唯一気を吐くのが中国企業だ」と報道。第1四半期の中国企業の海外M&A総額は1011億ドル(約11兆3000億円)に上ったという。

欧米メディアが「中国企業の海外買収で過去最大の案件」として注目するのは、今年2月に合意した中国国有の化学大手・中国化工集団によるスイスの農薬世界大手・シンジェンタ買収。買収額は430億ドル(約5兆1600億円)以上になる見通しで、シンジェンタが持つ農薬や種子などの先端技術を取り込むのが狙い、とされる。中国化工は昨年にもイタリアの高級タイヤメーカー・ピレリを71億ユーロ(約9300億円)で買収しており、今回はこれに続く大型案件となる。

パナソニックが三洋電機から引き継いだ白物家電事業を傘下にしたハイアールグループ(海爾集団)も今年1月、ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を54億ドル(6400億円)で買収することで合意した。中国による海外のエレクトロニクス企業買収としては最大規模だ。家電分野では経営不振が続く東芝が冷蔵庫など白物家電子会社を中国の家電大手・美的集団に売却する。

さらに、4月には中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)がギリシャ民営化基金と、同国最大の港で地中海の海運の要衝でもあるピレウス港の株式を過半数取得する契約を結んだ。株式取得額と追加投資の合計額は15億ユーロ(約1850億円)に達する。コスコ・グループは中国の国有企業。買収は中国当局が主導する形で進められ、習近平政権が推進する「一帯一路(新シルクロード)構想」の一環との見方もある。

こうした海外投資ブームについて、中国メディアは「中国は今や消費の輸出を中心とする時代を抜けだし、商品と資本の輸出が相まって発展する時代へと足を踏み入れた」と自賛。その一方で、「中国企業の海外進出にあたってはリスク対策を強化し、政府・企業・業界団体・民間団体をカバーするリスク対策システムを構築して役割を発揮させることが急務だ」とも指摘している。(編集/日向)