Q:身長165センチで体重85キロもあり、膝も痛みます。血糖値は正常ですが、血圧も尿酸値も高値です。医師から「減量すれば膝の痛みや尿酸値は改善する。1日1万歩あるけば血圧にもよい」と言われます。しかし、運動しても余計に食べてしまうのか、体重は一向に減りません。(38歳・税理士)

 A:「運動するとお腹がすいて余計に食べてしまう」と思っている人が多いようです。ところが、この考え方は事実に反していると昔から論文で指摘されています。「運動と食事量の不釣り合い」とか「運動によって誘発された食欲不振」として知られています。
 つまり、運動後は食事量が減るのが生体での正常な反応とされているのです。
 糖尿病の治療に、最近、インスリン以外にGLP-1受容体作動薬が使えるようになりました。この薬を皮下に注射すると消化管の動きが悪くなり、すぐ満腹になってしまい食事量が減ります。効きすぎる人では、吐き気が強く出て食べられなくなります。
 このGLP-1受容体作動薬は元来、生体で分泌される消化管ホルモンです。運動するとこのホルモンが増加し、食べられなくなるのです。運動すると、他にも食欲を抑えるホルモンが分泌されます。

●動いてから食べよう
 ただし、人間の食欲は単純なホルモンバランスに加え、視覚、嗅覚、ストレスなどで増加することもよくあります。運動後に美味しそうなものが目の前に並んだり、運動中に嫌な人に会ってストレスが溜まっても、食べすぎる恐れがあります。
 この単純なホルモンの作用を生かして、運動、食事を一体として考えましょう。
 食べてから動くのではなく、動いてから食べること。また、美味しいものを食べるために運動しようと考えるのはやめましょう。そして、楽しいことを考えて体を動かし、周りは気にしないでいきましょう。
 以上のように努めると、運動の効果が十分に得られ、ダイエットできます。なお、私は先日、六甲菊水山に登りました。頂上に着くなり吐き気がして、楽しみにしていたオニギリが食べられませんでした。運動による食欲不振を実感した次第です。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。