韓国の総選挙で与党「セヌリ党」が過半数割れに追い込まれた。朴槿恵大統領の求心力低下は必至で、対外関係を含め厳しい政権運営が直面している。資料写真。

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2016年4月22日、韓国の総選挙で与党が敗北し、朴槿恵(パク・クネ)大統領が逆風にさらされている。事前の予想では与党有利とみられていたが、結果は大きく異なった。大統領の任期は残り1年10カ月。支持率が就任後最低になるなど、求心力低下とレームダック(死に体)化は避けられず、対日、北朝鮮関係を含め、厳しい政権運営を迫られそうだ。

13日に投開票された最終確定議席(定数300)は与党「セヌリ党」が122議席で、最大野党「共に民主党」の123議席を下回った。第二野党の「国民の党」は38議席。与党は勝敗ラインとした過半数を大きく割り込んだ。

韓国で少数与党体制となるのは、00年以来16年ぶり。「セヌリ党」は公認から外れ無所属で出馬し当選した議員7人を復党させて第一党にはなったが、過半数には遠く及ばない。選挙結果を受けて金武星(キム・ムソン)代表は辞任を表明した。

韓国メディアは「セヌリ党」の敗因について、経済の停滞や“ポスト朴”をにらんで党内で、「親朴系」と距離を置く「非朴系」が総選挙の公認候補選びをめぐって対立した混乱が響いた、などと分析。朴大統領は過去、逆境の中でも選挙で勝利を重ね、「選挙の女王」と呼ばれてきたが、今回その「神通力」は発揮できなかった。

韓国の民間世論調査機関が総選挙直後の14、15の両日に実施した世論調査によると、朴大統領の支持率は前週比8.1ポイント減の31.5%。13年2月の就任後最低を記録した。

選挙戦を通じて、日本との関係は大きな争点にはならなかったが、野党側は昨年12月末の慰安婦問題に関する日韓合意の「合意の無効」「再協議」を求めている。合意事項は▽日本が10億円程度を拠出し、韓国が元慰安婦を支援する財団を設立する▽韓国側はソウルの日本大使館前の少女像撤去に努力する−など。

日本政府は選挙後、「日韓両国の合意を責任を持って実施することが極めて重要だ」(菅義偉官房長官)と強調。韓国外交部も「わが政府の基本的な立場に変わりはない」とし、合意を速やかに履行する考えを示したが、市民団体などからの反発が強い少女像の撤去に韓国政府が手を着けられる道は大きく遠のいた。それどころか、「不可逆的に解決」したはずの慰安婦問題が蒸し返されるおそれもある。

一方の北朝鮮。米韓軍事演習が4月末で終わり、5月に予定されている36年ぶりの労働党大会が済めば、核による威嚇など忘れたかのように手のひらを返して、韓国に「和平攻勢」をかけてくる可能性がある。硬軟織り交ぜて韓国に揺さぶるのは、北朝鮮の常とう手段でもある。

核実験やミサイル発射などの挑発行為を繰り返す北朝鮮に対し、朴大統領は開城工業団地の閉鎖などの「対決路線」を打ち出してきた。北朝鮮政策で「共に民主党」や「国民の党」は金大中(キム・テジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両大統領の「対話路線」の流れを受け継ぐ。北朝鮮にとっては、朴政権に付け入る絶好の環境が整った。(編集/日向)