心臓がたこつぼのように大きく膨らみ、胸の痛みや呼吸困難といった症状を発する「たこつぼ心筋症」という病気がある。急な過度のストレスが原因と考えられており、2011年3月11日の東日本大震災直後に被災者が発症したケースもあった。2016年4月の熊本地震でも、同様のおそれがある。

広島市民病院循環器内科の栗栖智医師が2010年に発表した論文によると、「たこつぼ心筋症」は身体的・心理的な強いストレスを受けた後に生じることが多い、心臓の左心室が肥大化して縮まなくなる循環器系の疾患で、特に高齢の女性の発症例が多い。

原因として考えられるストレスには、大地震のような災害のほか、大切な人が亡くなった時、プレゼンで質問されて極度に緊張した時などに生じる心理的なものと、体の検査や手術のような身体的なものがある。重篤になるのはまれだが、不整脈や心臓破裂などの合併症を引き起こして死に至る場合もある。

詳細なメカニズムや治療法は、まだ確立されていない。ただし、神奈川県川崎市の循環器内科医で、さかい医院院長の堺浩之医師は14年3月21日にウェブサイト「ヘルス スクランブル」へ寄せたコラムで、「ストレスが心臓に悪影響を及ぼすことを知っておいてほしい」とし、予防のためストレス解消法を身につけておくことを勧めている。