2人の監督が語る『ズートピア』の世界 〜現地レポート Part 1〜

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家のなかでの時間を充実させたい人のためのメディアとしておなじみのroomieですが、今回は番外編です。家も日本も飛び出して、アメリカ・カリフォルニア州まで行ってきました。これから5回にわたって、ゴールデンウィークにおすすめの映画『ズートピア』の世界をご紹介します。


『ズートピア』は『アナと雪の女王』や『ベイマックス』でおなじみのディズニー・アニメーションによる最新作。あらゆる動物が共存する大都市ズートピアを舞台に、警察官のウサギのジュディとひょんなことから相棒になったキツネのニックが謎の事件に挑みます。

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全米では3月に公開され、まるで人間社会の縮図のようなズートピアで展開するストーリーが、大人たちの間でも大きな話題となっています。北米興行収入ランキングでは3週連続1位を獲得し、ディズニー・アニメーション史上最高のオープニング成績を記録しました。

roomieと、姉妹メディアGLITTYは、カリフォルニア州にあるディズニー・アニメーション・スタジオを訪問。今作の制作に関わった人々にたっぷりとお話をうかがってきました。第1回目は、バイロン・ハワード監督とリッチ・ムーア監督のインタビューをお届けします。

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──今作はプリンセスがプリンスに出会うような、これまでの多くのディズニー映画とはちょっと違いますよね。ヒロインのウサギのジュディは上京して警察官としてのキャリアをスタートし、キツネのニックという相棒と一緒に事件の解決に挑む。大人が観ていても楽しかったですし、共感できる部分がたくさんありました。

バイロン:間違いなく、これまでの作品よりもコンテンポラリーな映画だよ。今作のストーリーは多層構造だから、観客は多くのことを得られると思う。僕自身はジュディの奮闘する姿を見るのが大好きなんだ。純粋な心の持ち主だからね。彼女には欠点もあるし、たくさんの失敗もする。でも僕ら人間だって、完璧な人なんていないだろう? だから、観客がジュディの旅に自分自身を重ね合わせることができるのは、とても素晴らしいことだと思う。

──動物たちが共存する大都市ズートピアは、まるで人間社会の縮図のようで興味深いものがありました。彼らの世界には“ウサギは決して警官になれない”という偏見がありますが、ジュディは見事にそれを打ち破っていますね。

バイロン:ある意味、ジュディには共感を覚えるよ。かつての僕はアニメーション部門に入ることを夢見ていて、応募すればすぐに入れるものだと思っていた。でも、実際はディズニーに入るのに2年かかったんだ。5回も応募して拒絶され続けた。僕はそれでも諦めなかったし、今では入るのにそれだけ長くかかったということをとても誇りに思っている。

だって、これから始めようとしている人に、「僕は1回目の応募で入れたよ」なんて言ったら、圧倒されてしまうし、そんな期待に応えるのは大変だろう? でも僕らはみんな人間で、誰もが失敗するし、物事はいつも思う通りには進まない。そういうことを示せれば、人はもっと勇気づけられると思う。だから、僕はずっとトライし続けるジュディを尊敬しているよ。

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──ジュディとニックはウサギとキツネ、つまり種が異なるわけですが、2人の間のロマンスを考えたりしましたか?

バイロン:違う人種間の恋愛みたいに?(笑) リッチと僕は彼らの相性の良さを気に入っていたけれど、ロマンスではなくて、とても親密な友情としてとらえていた。『こちらブルームーン探偵社』というテレビドラマがあったのを覚えているかな? ブルース・ウィリスとシビル・シェパードが出演していて、ちょっとロマンスっぽい雰囲気があって、視聴者は2人がカップルとして一緒にいるところを見たくなるんだ。たとえ、彼らが必ずしも恋愛しているわけじゃなくてもね。

リッチ:刑事ミステリーというジャンルの中に、夫婦で刑事、または、男性と女性の刑事というサブジャンルがある。いわゆるロマンスというよりも、ミステリーを一緒に解決するということが、2人の間のロマンスになるんだ。今作のジュディとニックの関係は、そういうものだよ。ボーイフレンドとガールフレンドというのではなくて、一緒に事件の捜査をする仕事を通じてのロマンスみたいなものなんだ。でも、わからないけどね。終盤の彼らは、確かにかなり親しくなっているように思えるよね(笑)。

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──幅広い世代の観客が、いろいろな場面で心を動かされる作品だと思います。監督たちご自身としては、今作を通じて伝えたい1番のメッセージは何ですか?

バイロン:僕が多くを教わったアニメーターの1人、グレン・キーンは、「人間はお互いを磨き合うことができる」と言っていた。僕らだって、チームがみんなで一緒に部屋にいるときにこそ、切磋琢磨できるんだ。みんなが学んで、もっと鋭く、もっと強くなれる。誰かと映画を仕上げた後はまったく違う人になれるんだよ。

僕は今作のようなバディ映画を見るのが大好きなんだ。何かを、または誰かを必要としている2人のキャラクターが、最後にはより満たされた、完全なキャラクターになるからだよ。彼らは2人で一緒に未来に向かうことができる。僕が好きなのは、そういう彼らの関係の基本的な要素なんだ。

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リッチ:ジュディの旅の目的は、世界をより良い場所にすること。僕自身、若いころにこの業界や自分の世界をより良い場所にしたいと思っていたことを覚えている。僕が学んだレッスンで、劇中のジュディも学んだことがあるんだ。それは、世界をより良い場所にするための最善の方法は、自分自身を見つめるべきだということ。必ずしも外側を変えるのではなく、内側に目を向ける必要があるんだよ。

ジュディは失敗して、自分自身を見つめなおし、できるだけ良い人間になろうとする……というより、できるだけ良いウサギになろうとするんだ(笑)。自分たち自身を最良の人にしようと努力する時、僕らは世界を変えられるんだと思うよ。それはとてもパワフルなメッセージだと思うな。僕はそういうメッセージを感じながら、映画館を後にするのが好きなんだ。

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『ズートピア』
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
©2016 Disney. All Rights Reserved.
2016年4月23日(土)公開




ズートピア [ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン]
Byron Howard and Rich Moore photographed by Kaori Kikuchi
取材協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン