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 デジタルマーケティングの領域で、顧客に受け入れられる「おもてなし」を実現するためには何が必要か。様々な立場の有識者とSprocketの深田浩嗣が、対談から探っていく本連載。第4回はライオンの中村 大亮氏と共に、「おもてなし」の基盤となるデータを活用するために、日本企業が突破すべき課題を語った。

■デジタル領域に閉じていたデータを、あらゆる施策に活かす

深田:これまでの対談では、楽天マーケティングの濱野斗百礼さん日本オラクルの大山忍さんに、これからのデジタルマーケティングのデータ活用についてお話を聞いてきました。今回は、オウンドメディアのLideaを運営するライオンさんがマーケティング・データ活用の課題にどう向き合っているのか、お話を伺えればと思います。
ライオン株式会社 宣伝部 デジタルコミュニケーション推進室 中村 大亮氏

中村:当社が目指しているデジタルマーケティングは、すべての施策の真ん中にお客様がいること。お客様に満足していただくために様々な施策に取り組んでいます。データは、それらの施策を支えるものという認識です。

 デジタル社会の今、何らかの施策を実施してユーザーが動けば必ずデータを取得できます。これまでのデジタルマーケティングではデータが取れることで満足していましたが、これからのデジタルマーケティングでは取得したデータを次の施策に活かすことが重要です。次の施策とは、デジタルに限ったことではありません。

 デジタルマーケティング領域の中に閉じていたデータを、マスマーケティングや、店頭のPOPなどあらゆる施策に活かす。施策の結果、得られたデータを活かしてさらに施策を回していくことで、お客様の問題が解決し、より快適な生活を提供できると考えています。

 LideaもDMPも、この概念を実現するための両輪として必要だから取り組んでいます。「DMPの導入方法」をよく聞かれますが、それよりも「なぜDMPが必要か?」「DMPで何がしたいのか?」を明確にする方がいいと思っています。やはり目指すゴールがあって初めてデータは意味を持つのではないでしょうか。

■「Web広告よりも、もっと先を見よう」

深田:Lideaや自社サイト、DMPなども含めて、どのようなデータを取得して、どのように活用しているのですか?
株式会社Sprocket 代表取締役社長 深田 浩嗣氏

中村:まずは取得が簡単で、且つデータ活用が必要な領域を対象に取り組みを進めています。具体的には、オウンドメディアやブランドサイトからのデータ取得ですね。これまでもGoogle アナリティクスでデータは取得していましたが、現在はすぐに施策に活かせるように目的に沿ってデータを整理して、ビジュアライズしています。

 データの活用先は、マス広告や店頭のコミュニケーションまで含めています。私は、デジタル広告を最適化するだけなら、従来の運用型広告でPDCAをしっかり回せさえすればいいと考えています。DMPの費用コストを考えれば、デジタル広告の改善だけではリターンは多くないでしょう。ですから「DMPを導入するときは、デジタルだけのためではない」という発想を持ち、DMPの要件定義では、Web広告に閉じない有用なデータとは何か、オフラインで役立ちそうなデータとは何かの仮説立てから取り組みました。

 例えば、ブランドAのデジタル施策と、さらにその先にある店舗への商品提案までの過程を想定します。どんなデータを抽出すれば営業支援になるのか、事業部のマーケティング支援になるのかを考え、そこから逆算して「このデータをここで取ろう」と考えました。

深田:御社の場合、営業は卸業者や小売店への法人営業が主かと思います。彼らにとって役立つデータを意識されたということでしょうか。

中村:仰るとおりです。営業支援に役立つデータは、その手前のWeb広告にも必ず役立ちます。ですから社内では「Web広告よりももっと先を見よう」という話をしています。

深田浩嗣[聞]、深谷歩[著]