手に入る、NASAの「伝説のグラフィックマニュアル」

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デザイン史上有名な、1976年にNASAがつくったグラフィックの使用規格書「NASA Graphics Standard Manual」が、現代に甦った。当時のクラシックなデザインを忠実に再現した内容に仕上がっている。

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2/7ジェス・リードとハミッシュ・スミスは2015年、このマニュアルを再現しようと決意。そのための費用として、クラウドファンディングサイト・Kickstarterで94万ドル以上を集めた。
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われわれは、米航空宇宙局(NASA)が1976年1月に発行した「NASA Graphics Standard Manual」が大好きだ。このマニュアルは、科学におけるグラフィックデザイン史の決定的瞬間を、完璧にとらえている。

NASAがグラフィックスシステムを採用する際の指針として作成されたマニュアルは、ニューヨークのデザインスタジオ「Danne & Blackburn」がデザインしたもの(日本語版記事)だ。1976年当時の発行部数はわずか40部。収集価値が非常に高い資料である。

ジェス・リードとハミッシュ・スミスは2015年、このマニュアルを再現しようと決意した。彼らはプロジェクトの費用として、クラウドファンディングサイト・Kickstarterで94万ドル以上を集めている。

支援者たちの手元には、ちょうどいま頃、復刻されたマニュアルが届いているはずだ。先行入手のチャンスを逃してしまった人は、79ドルで購入することができる。

復刻版マニュアルは、ただの複写ではない。オリジナル版はリング式のバインダーで90ページのボリュームだったが、新版はハードカヴァーで220ページに及ぶ。それでも内容は、当時のクラシックなデザインを忠実に再現したものとなっている。その特徴は次のように説明されている。

このマニュアルは、レターヘッドや発行人の欄で使うタイプフェイス(ヘルベチカ)、車両に記章をつける際の正しい位置(運転席側のハンドルがあるところの左下)などを指定していた。

スペースシャトルにロゴマークを付ける作業は厄介だった。スペースシャトルは全体が耐熱タイルで覆われるので、ロゴマークは限られた部分にしか配置できなかったが、打ち上げ時に目で確認でき、写真に写る必要があったからだ。また、NASAのロゴマークは、米国国旗や「United States of America」という文字より小さくなくてはならなかった。

マニュアルに使われた「ワームロゴ」と呼ばれるグラフィックデザインは、いまのNASAでは使われていない(日本語版記事)。こうした“古いデザイン”にお金を払いたくない人は、無料でダウンロードできるPDF版をチェックするといい。もっとも、デジタルのファイルはコーヒーテーブルの上で見栄えするものではないが。

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