華やかなだけじゃない!? ファッションスタイリストの仕事事情

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毎日かわいい洋服に囲まれて、モデルや芸能人に会えて……。とっても華やかなイメージがあるファッションスタイリスト。一方で、ファッション業界で生き残るのって大変そう、というイメージもありますよね。

実のところ、ファッションスタイリストって、どんなお仕事なのでしょうか。スタイリストとして10年のキャリアを持つ井下和美さんにお話を伺ってきました!

■相手が描くイメージを洋服でカタチにする、スタイリストという仕事



──ファッションスタイリストって、華やかなお仕事というイメージがあります。

「そうですね。“華やかそう”っていう憧れでスタイリストを目指す人は多いと思います。他業種の友人たちには、よく『新作やトレンドの服を扱えていいね』とか『芸能人に会えていいね』って言われます。

確かにそれは楽しいんですけど、実際は、体力勝負や気を使う場面も少なくないので、“華やかなだけ”ではないかもしれません」

──スタイリストって、実際どんな仕事をしているんですか?

「クライアントは出版社や制作会社、タレント事務所です。ほとんどの場合、コンセプトが与えられて、それに合わせたスタイリングをするのがお仕事。企画から入ることは、ほとんどないんです。

求められているものを、いかに洋服で表現できるかがポイント。クライアントごとにターゲットを踏まえた上で、例えば雑誌なら『春のアウター特集』とか、テーマに沿ってイメージを創りあげるお仕事です」

■3日で150体をスタイリング! 肉体勝負の時も



──具体的には、どんな風に仕事が進んでいくのでしょうか。

「たとえば、雑誌ならファッションブランドのプレスルームに連絡を取って、洋服の貸し出しを依頼するんです。ブランドにとっては洋服をPRすることができるので、クレジットが入る場合のみ無料で貸し出ししてくれます。

でも、シーズンによっては、人気ブランドだとアポがなかなかとれません。交渉力も必要なお仕事なんです。貸し出しOKが出たら、実際にプレスルームまで出向いてリース(レンタル)する洋服を選びます」

──一度に借りる洋服の数って、どのくらいなんですか?

「企画によって違いますが、1回の撮影で1つのブランドだけというわけにはいかないので、いろんなブランドを回って、持てるだけ持って帰るという感じでしょうか。私は、3日で150体分のコーディネートを作ったこともあるんですよ。サンダルを400足集めたことも! 寝る暇もなくて、さすがに投げ出したくなりました(笑)」

■苦労よりも、達成感や喜びの方が大きい



──3日で150体! すごく大変そうです……。

「仕事によっては電車移動というのも、大変な部分かな。メンズ5体分の衣装を地下鉄で運んだ時は、腕がちぎれちゃうかと思いました!

あと大変なことと言えば、お給料でしょうか。スタイリストは弟子から入るので、アシスタント時代が2〜3年あるんです。アシスタント時代は、アルバイトなしで生活するのは難しいかもしれませんね」

──なんだか、ちっとも華やかじゃないのですね。

「でも、とってもやり甲斐のある仕事なんですよ。それだけ大変な思いをして創りあげたコーディネートをたくさんの人に見てもらえるのは、すごくうれしい。雑誌や広告としてカタチになったものを見ると、達成感がわいてきます。

スタイリングの人気投票で上位に入れた時は『本当にやっていてよかった〜』って、思います」

■20〜30代でも、スタイリストへのキャリアチェンジはできる



──どんな人が、スタイリストに向いているのでしょうか。

「たくさんの人がスタイリストを辞めていくのを見てきました。そんな中で続けられている人って、“憧れ”以上の“ビジョン”を持っている人なんじゃないかなって思います。『服が好き』という以上に『服で人を幸せにするんだ』っていう使命感を持っているというか。

それから、コミュニケーション能力が高い人も向いています。師匠とは四六時中一緒にいるし、撮影時にはモデルさんの心を開くような会話が重要だったりするので」

──例えば「キャリアチェンジして、スタイリストになりたい」と思った場合、20〜30代でもなれるものですか?

「もちろんです! スタイリストって、資格が必要な職業じゃないですから。未経験でも、ガッツやビジョンがあれば採用したいというスタイリストが多いんですよ。ちょっと勇気がいるかもしれないけど、好きなスタイリストにアプローチしてみるのがおすすめです。

アシスタントは20代前半〜半ばの人が多いけれど、そうはいっても、年齢よりも人間性で選ぶという人がほとんどです。スタイリストになりたい人は、ぜひチャレンジしてほしいです」

ファッションスタイリストって、やっぱりやり甲斐がありそうで、魅力的! 大変なことも多そうですが、どんな仕事を選んでも、楽しいばかりじゃありませんよね。「ファッションが大好きで、ファッションで人を幸せにしたい」という人は、年齢にとらわれずに挑戦してみてはいかがでしょうか。

(かみむらゆい+ノオト)