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『プリパラ』は、タカラトミーアーツとシンソフィアが共同開発したアーケードゲームと、それを原作としたTVアニメ。2014年7月の放送以来、女子小学生を中心に人気を集め、2016年4月からは3rdシーズンがスタートしている。『プリティーリズム』シリーズから受け継がれた『プリパラ』の企画経緯と、新展開が気になる3rdシーズンについて、シリーズの企画・プロデュースを担当するタカラトミーアーツの大庭晋一郎氏に話を訊いた。前中後の3回にわたってお届けする。

前編はコチラ。

○「トモチケをパキる」という語感

――キャラクターはどのように作っているのでしょうか。

大庭 『プリティーリズム』はゲーム先行だったので、リカちゃんの文法でやっておりました。リカちゃんがデジタルデータになって、ゲームの中で踊るとしたらこうだろうと。『プリパラ』はまず、アニメと同時期にスタートしたので、アニメとゲームのCGはできるだけ近づけたいと思い、アニメ制作会社のタツノコプロと、ゲーム開発会社のシンソフィアのCGチームに話し合っていただきました。

――確かに『プリティーリズム』時代と『プリパラ』のCGは全然テイストが違いますね。

大庭 ゲームで自分のマイキャラがアニメと同じテイストだと、よりイメージが湧きやすいんです。アニメと同じデザインのらぁらと自分のマイキャラがゲームの中にいると、まるでアニメの中でも一緒にいるという気分になりやすいですよね。CGのテイストを擦り合わせたあと、シンソフィアのデザイナーさんと一緒にキャラクターのデザインやコンセプトを決めます。それをタツノコプロに持って行き、森脇真琴監督やライターさんを含めて肉付けをしていきます。特に森脇監督のセンスはすごいですよ。今の『プリパラ』の世界があるのは森脇監督のおかげです。

――相当大きな存在なんですね。

大庭 例えばキャラクターに語尾を付けるというのも、森脇監督を中心にライターの方とアイデアを出したりしていました。あと、語感をすごく大事にしていますね。『プリパラ』の世界なら原宿じゃなくてパラ宿、大阪府じゃなくてオオサカ・プだよね、とか。トモチケをはじめて折ったとき、「この音が気持ちいい、アニメにも出したいからことばにしよう」と、「トモチケをパキる」というのも森脇監督が考えました。

○「私が背中を押してあげないと!」という気持ちになれるようなキャラクターに

――主人公たちの年齢が下がったことについてもお聞きしたいです。『プリティーリズム』ではみんな中学生でしたけど、『プリパラ』のらぁらは小学生。

大庭 『プリティーリズム』時代は、背伸びをしてオシャレをするというのが女の子たちのトレンドでした。ですので、自分よりも少し上のお姉さん世代の物語を見せていく。年上のお姉さんなりの悩み、恋愛話など、少女漫画の世界ですよね。

――特に『レインボーライブ』ですね。

大庭 はい。構成会議で、『プリティーリズム』シリーズは3年続けることによって、メインの年齢層も上がってきたので、少女漫画世界の悩み事を持ったお話をベースにやりたいという提案をしました。そこで、小学生たちの憧れの世界、これから自分たちが体験するであろう未来の世界をイメージさせようという構成になりました。主人公の彩瀬なるたちが作中でショップ「プリズムストーン」を運営するのも、女の子遊びの「お店屋さんごっこ」の延長で、より具体的な将来の職業をイメージできるような設定にしています。それをリアルに体験してもらうために原宿に「プリズムストーンショップ」をオープンいたしました。当時、店舗を立ち上げた経験なんてなかったので、原宿の物件を歩きまわったことを覚えています(笑)。

――対する『プリパラ』は子どもたちと同じ目線で。

大庭 『プリパラ』は仕切り直しというか、世界が変わりますからね。筐体ビジネスは何年か継続してやっていかないといけないのですが、ある程度の年齢になると子どもたちも卒業してしまうんですよ。なので、『プリパラ』はできるだけ低年齢の子に受け入れられるようにして、その子たちと一緒に何年も続けていきたいという思いがありました。

ですので、主人公のらぁらは等身大の小学生にしました。らぁらは普通の小学生だけど、プリパラというアイドルテーマパークに行けばアイドルに変身できる。実際の世界でも、お店に行き、筐体の前に立てば自分もアイドルになれる。『プリティーリズム』時代は憧れのお姉さんたちの世界に自分が参加していましたけど、『プリパラ』は小学生の自分がセンターになってお姉さんたちを引っ張っていく、といったように同じ目線になることを心がけました。

そうなるとキャラクターの作り方も変わってくるんですよね。らぁらは突破力のある子にしたかったですし、周りのアイドルたちもお姉さんではあるけど、低年齢の子たちが親しみを持てるような、「私が背中を押してあげないと!」という気持ちになれるようなキャラクターにしていきました。

――目線というものを考えていかないといけない。

大庭 目線でいうと、皆さまのご意見に耳を傾けると興味深いことがあります。アニメやゲームのファンの方々は、一般のアニメにあるようにキャラになりきる子、自分がらぁらやほかのキャラクターだと思っている子、自分がらぁらの友だちだと思っている子、マイキャラに設定を付けオリジナルのアイドルだと思っている子、らぁらたちがライブをしている時にサイリウムを振っているオーディエンスになりきっている子、そして、『プリパラ』という作品として見ている子など、いろいろな目線があります。

――自分がその作品の登場人物だと思っている子はほかの作品でもいるとは思いますが、『プリパラ』はマイキャラというシステムのおかげでよりリアリティーが増していますね。

大庭 アニメの物語に対しても、みれぃが落ち込んでいたら真っ先に自分がなぐさめにいきたいとか、あろまやみかんは自分のクラスメートで友だちだと思っている子とかの話を聞きます。それぞれの目線で楽しめるのが『プリパラ』の特徴だと思います。

――トモチケを交換するときに、自分のサインを書いて相手に渡すという文化もありますよね。

大庭 そうなんですよ。自分のアイドルに対して、我々が思っている以上に深い設定をつけて楽しんでいるんですね。

○アニメとリアルの融合はi☆Risじゃなければできなかった

――リアルとのリンクが非常にうまくできていますよね。番組に出てくるストーリーやアイテムが現実の世界と連動する仕組みとして『プリティーリズム』時代は「ライブフィット」、『プリパラ』では「ライブリンク」として展開していることも大きいと思います。

大庭 もともと「ライブフィット」は、どうやってアニメの中の世界を女の子に体験させてあげるかということから考えました。主人公たちの着ている衣装と同じものが売っていたらうれしいよね、とか。女の子のお母さんから『プリティーリズム』で初めて子どもがオシャレに目覚めた、という話を聞いたことがあります。差し色を覚えたり、「柄に柄を合わせちゃいけないよね」という会話をしたり。お母さんもお子さんがオシャレをするのは仲間が増えたみたいで楽しいみたいですね。番組中に実写パートをもたせて、Prizmmy☆やプリズムメイツの女の子たちがオシャレにチャレンジする姿を見せたのもライブフィットの演出の一部でした。

――ガールズダンス&ヴォーカルユニットのPrizmmy☆。『ディアマイフューチャー』の主人公たちの名前やグループ名はPrizmmy☆がモデルでしたね。

大庭 はい。『プリパラ』の「ライブリンク」は、友だちとつながることですね。ゲーム筐体の前に集まれば、アニメの中でらぁらがどんどん友だちを増やしていくように、自分もトモチケを交換して友だちを増やしていく。

――リアルとリンクしているという点では、『プリパラ』メインキャラクターを務めるi☆Risの6人も大きな存在ですよね。

大庭 i☆Risは、彼女たちが声優アイドルユニットというところが大きいですね。アイドルとして活躍している姿も、『プリパラ』という事業の中で連動して見せていきましょうとエイベックスさんと話しました。ここは『ディアマイフューチャー』のときのPrizmmy☆との経験がすごく生きていますね。

i☆Risはライブを重ねるごとに、アニメでのユニットの組み合わせを再現したり、キャラクターの衣装を着ていただいたり。あと、アニメでのライブの振り付けを再現しながら、キャラクターの声で歌うというテクニカルなこともやっている。それが彼女たちが本人役として出演した「ライブミュージカル」につながっていきました。

――2015年12月20日に行われたライブイベント「プリパラ クリスマス☆ドリームライブ」ではワイヤーアクションを使って「サイリウムエアリー」を再現して空まで飛んでいましたよね。

大庭 i☆Risがいることによって、お客さんたちが見ている世界が2.5次元どころではなく、次元を超えた空間を作れているかなと思います。アニメとリアルのリンクは彼女たちじゃなければできなかった。あとは、「ライブでアニメを再現しよう!」と、関わっている人たちが全員同じ方向を向いているからこそ実現できたのだと思います。

後編は4月26日掲載予定。

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(加藤大樹)