小児性愛はなぜ起きる?

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少年Aに始まり、寝屋川中2殺害事件、最近では、小学校教諭による小児性愛など、母親として、様々な危機管理が問われている。残虐な事件の背景を取材した週刊誌が飛ぶように売れ、ワイドショーの視聴率が上がるのは、主婦たちがみな、犯人がそれまで置かれていた家庭環境に興味があるからだろう。どんな両親の元で育ち、どんな環境で人格が形成されたのか…。そこで、精神科医の立場で様々な事件に関与してきた「性障害専門医療センター・SOMEC」代表理事・福井裕輝氏を取材。家庭環境が性犯罪に及ぼす影響について聞いた。

●性犯罪には環境因子が関係する

「性嗜好から犯罪に走ってしまう犯人たちには様々な傾向があり、もちろん十把一絡げにはできませんが、例えば純粋型の小児性愛(子どものみに性的興奮を覚える)について言えば、先天的なものが大きいと言えます。自分の年齢とともに、恋愛の対象年齢も上がっていくのが通常ですが、彼らはみな“恋愛対象が小児にとどまったまま”自分だけが大人になっていく。そこで子どもに手を出し、犯罪へと至ってしまうわけです。非純粋型小児性愛の場合は、大人にも興味はあるが、彼女たちになかなか興味を持ってもらえないことから、その代償として性的対象が子どもへと向かってしまう。どちらのケースも、レイプやわいせつ行為など、性犯罪との関連はあるとされています」(福井氏 以下同)

性犯罪(レイプ、痴漢、猥褻行為)に関しては、子育てや家庭環境が関与していることも十分考えられると語る福井氏。

「海外では疫学調査されていて、性犯罪者の80%以上が、幼少期に何かしらの性的虐待や親からの虐待、または陰惨な激しいイジメにあっているとデータで報告されています。“男の子がトイレで大人に性器を触られた”“性交渉を目の当たりにしてしまった”“露出狂に遭遇した”なども立派な性的虐待です。お子様からこういう報告を聞いた場合は、笑って済ませてはなりません。親として、子どもと誠心誠意向き合い、ときにはカウンセラーに相談するなど、彼らの心の傷をしっかりとケアしてあげることが必要なのです」

「性犯罪の要因として、遺伝負因と環境要因があることはたしかですが、どちらも見当たらないようなケースも存在します。一言では語れない、大変複雑な問題なんです」と語る福井氏。女子の場合、環境因子を受けて犯罪は起こしにくいものの、薬物や摂食障害など依存症に陥ることが多いという。わが子を加害者にしないために、親として日々どうあるべきなのか…その正しい答えは出にくいのかもしれない。

(取材・文/蓮池由美子)