2018年W杯アジア最終予選の組み合わせが決まった。日本は恵まれた組(B組=日本、豪州、サウジ、UAE、イラク、タイ)に振り分けられたのか。あるいはA組(韓国、イラン、ウズベキスタン、中国、カタール、シリア)の方がよかったのか。

 豪州、日本、サウジ(B組)と、イラン、韓国、ウズベキスタン(A組)の上位シードの比較では、B組でよかった気もするが、UAE、イラク、タイ(B組)と中国、カタール、シリア(A組)の下位シード国を比較すれば、A組の方がよかったように見える。

 確実に勝てそうなチームが少ない。つまり、競った試合ばかりになるとの見立てになるが、いずれにせよ、戦う前から突破は8割方大丈夫そうに見えたこれまでに比べ、危なっかしく見えることは確かだ。原因は、サッカーそのものの伸び悩みに加え、日本のサッカー界全体に漂う慢心も、大きく影響していると思う。

 98年フランスW杯、2002年日韓共催W杯の頃はもっと必死だった。「W杯本大会に一度の出場したことがない国が、W杯を開催した例はない」(98年)、「開催国がベスト16に進まなかった例はない」(02年)とのプレッシャーに、恥を掻くわけにはいかないと、日本はいい意味で後押しされてきた。だが、2010年、岡田ジャパンが2002年に続き、本大会でベスト16入りを果たすと、欲を具体的な数値で示せなくなった。

 停滞感は協会の強化策に見て取れる。具体的には国際試合の数だ。公式戦を除いた親善試合の数と質は低下の一途を辿る。来る6月の上旬、豊田と大阪で開催されるキリンカップに、デンマーク、ボスニア、ブルガリアの3か国が来日。日本はそのうちの2か国と対戦するが、欧州の代表チームが来日するのは2014年6月以来2年ぶり。しかも2年前の相手は、弱小国のキプロスだった。

 アウェイ戦も少ない。2014年ブラジルW杯以降では、去年10月のイラン戦(@テヘラン)わずか1試合。その一戦も2013年11月にブリュッセルで行われたベルギー戦以来、実に約2年ぶりだった。

 内向きとは、昨今の日本人の姿を言い表した言葉だが、サッカー界も例外ではない。もともと、アウェイ戦は少なかった。大きな興業となり得るホーム戦に比べて、強化には繋がるが、産業的にうま味はない。強化か興業かという綱引きの結果、ホーム戦過多に陥ったわけだが、いまは綱引きそのものがない状態。何よりメディアが嘆かない。指摘する意欲をも失った状態にある。 

 ホーム戦が強化に繋がるような充実したメニューなら、それでも多少は許したくなるが、ハリルジャパンが対戦した顔ぶれは、チュニジア、ウズベキスタン、イラクだ。日本くんだりまで足を運んでくれた相手に対し、失礼を承知で言わせてもらえば、しょぼい。

 だが、ホームで対戦した公式戦の相手は、それ以上にしょぼかった。シンガポール、シリア、カンボジア、アフガニスタン。つまり、アウェイ戦はもちろん、日本はホーム戦でも格上と対戦できなかった。ハリルジャパンは、張り合いに欠ける、順当勝ちの山を築いてきた。

 一番、心配したくなるのは監督だ。僕はそれでも分かっているつもりだ。日本とアジアと世界の関係について。しょぼい相手に順当勝ちを繰り返す姿を見せられても、日本の立ち位置に狂いが生じない確信があるが、1年と少し前にフランスからやってきたハリルホジッチはどうだろうか。疑いの眼差しを送りたくなる理由は、2014年ブラジルW杯に臨んだザッケローニに、その気配を強く感じたからだ。世界の喧噪から外れたまさに平和な日本に、どっぷり浸かってしまった弊害を。

 日本は強いという幻想。その攻撃的サッカーには驕りがあった。始点がマイボールのサッカー。ボール奪取にどん欲になれないサッカー。逆に、奪われることを想定していないサッカー。つまり暢気な強者のサッカーだ。バルセロナ対アトレティコの関係で言えば、バルセロナのサッカー。極東のバルサ気取りになっていた。