Q:62歳の父が肺がんと診断されました。かなり進行しており、手術は無理のようです。治療はまだ決まっていませんが、最近、新しい免疫治療剤が認可されたと聞きました。従来の抗がん剤よりも治療効果が高いとのこと。父もこの治療を受けられるでしょうか。
(25歳・保育士)

 A:その免疫治療剤は「ニボルマブ」(商品名「オプジーボ」)のことと思われます。この薬は画期的な治療薬として注目されています。
 「ニボルマブ」の何が画期的かというと、従来の抗がん剤のようにがん細胞に対する毒性によってがんをやっつける薬ではないところにあります。
 がん細胞はどんどん増殖して大きくなります。ですから、抗がん剤はがん細胞にのみ毒性を発揮してくれればよいのですが、そうはいきません。
 正常細胞でも、増殖が早い髪の毛や腸管粘膜、骨髄細胞などはがん細胞と厳密に識別できず、正常細胞に対しても毒性を発揮してしまいます。
 そのため、脱毛や食欲不振が起こるし、時には致命的な出血性腸炎や白血球減少を引き起こすこともあります。

●まずは主治医に相談を
 「ニボルマブ」は、自分自身の白血球を活性化してがんを縮小、消滅させます。よって、脱毛や食欲不振は起こりません。治療は、2週間に1回、1時間の点滴だけです。
 肺がんに対する適応は、切除不能な進行・再発性の非小細胞性肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)です。ですから、ご質問の方の父上の場合も適用になります。
 肺がん自体、発見時に手術できない人もかなりいます。今までは副作用が必ず現れる従来の抗がん剤を受ける選択しかなったので、「ニボルマブ」は朗報と言えます。ただし、副作用があり、肺がん治療の国内第II相試験で、111人中、間質性肺炎が17人発症しており注意が必要です。
 治療費は高額ですが、健康保険適用で高額療養費制度も使えるので、月5万円程度でこの治療が受けられます。現在、がん診療連携拠点病院などごく一部で使用されていて、副作用や効果のデータ蓄積が行われています。この新薬の治療を希望するなら、まずは主治医に相談してください。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。