子宮頸がん予防ワクチンを受けた中学生や高校生が、接種後に意識障害や全身の激痛などに見舞われ問題になったニュースは、みなさんもご存知かと思います。

ワクチンはちょっとコワイかも。もう大人だし……というSuits世代に有効な子宮頸がん予防法ってあるんでしょうか? ひょっとしてもう手遅れ? やっぱり検診を受けるのがいちばん? 最近は子宮頸がん検診キャンペーンを目にすることも増えてきて……。

 そんな不安をかき立てられたSuits女子のために、子宮頸がんのリスクについて、がん治療に関わって40年超の医師・近藤誠先生に解説してもらいました。

30代の発症が多いといわれる子宮頸がんだが……。

Q まず子宮頸がんの原因は何ですか?

 「原因のひとつに、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)というウイルス感染があります。性交によって感染する、ごくありふれたウイルスで、感染してもほとんどの女性が気づかないし、気づかないうちに消えています」 

Q どういう場合、感染後にがんになるのですか?

 「感染者のごく一部のウイルスが子宮頸部の上皮(表面の皮膚)に平らなイボを形成します。イボは放っておいても子宮頸がんになることはありません。ところがイボの見た目が、がんに実によく似ている。そのため『上皮内がん』と診断する医者がいるのです。しかし検診で上皮内がんと診断された99%以上は、がんではないし、がんになりません。ウイルスや精液などとの反応による上皮細胞の“慢性感染症”と考えられます」

 

 

治療によって不妊症になるリスクがある?

Q 検診で上皮内がんと診断されたら、どうすればいいですか?

 「医者は手術を勧めるでしょう。現在多いのは円錐切除といって、子宮の入り口をアイスコーンのように円錐形に切り取る手術です。日帰りでできる簡単な手術ですよ、などと言う医者もいますが、とんでもない。円錐手術によって、将来子どもが産めなくなるリスクが高まるんですから」

 Q えっ? なぜですか? 

 「手術して子宮頸部が短くなることで妊娠時に子宮が胎児を保持しにくくなり、流産や早産のリスクが高まるのです。また手術後は性交時に痛みが出て支障を来すこともあります。先に述べたように、上皮内がんの99%以上は放っておいても自然に消える無害な病変です。そんなものを流産のリスクを冒してまで手術するなんて、おかしな話でしょう」

 Q では、どうすればいいでしょうか?

 「いちばんいいのは検診を受けないことですが……、なかなかそうもいかない人も多いでしょうね。もし検診を受けて上皮内がんと診断されてしまったら、あわてず騒がず、経過観察するのが最良の策です」

Q それって放置するってことですか? 

「放置するのがいちばんですが、たぶん心理的に難しいでしょうね。次善の策として半年〜1年後に再検査するといいでしょう。ほとんどの上皮内がんは数年のうちに消えると思います。経過観察中のアドバイスとしては、性交にはコンドームを使用すること。子宮頸がんは上皮細胞の慢性感染症ですから、ウイルスや精液との接触を減らせば病変がおとなしくなる可能性が高まります」

 最近は職場でもがん検診を勧められることが増えていると思います。万一、上皮内がんと診断されても、「がん! どうしよう!!」とあわてないことが大切です。

 

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