朝ドラ『とと姉ちゃん』の方言がおかしい!浜松人から疑問の声
 NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が好評だ。ドラマ批評家であるわたくしスナイパー小林は、実は、このドラマに格別の思い入れがある。ドラマの舞台は故郷・静岡県浜松市だし、主人公の常子(高畑充希)の父親が繊維工で働いていたように、私の祖父も繊維卸業を営んでいた。さらに東京で編集者という職業に就く……ということで勝手に常子にシンクロしながら、いつもの朝ドラ以上に期待を膨らませて観ていたのだ。

 が、しかし! 残念なことにドラマで使用する方言“遠州弁”の使い方がおかしい……。何度聞いても耳に違和感が残るのだ。地元出身者である筆者が、浜松市で生まれ育った誇りの元、その詳細に迫ります! ハイッ!!

◆遠州弁の代表ワードが登場しない

 全放送(2016年4月15日現在)を視聴し直して分かったのが、遠州弁のメジャーワード「〜だら?」「ばか〜」が全く出てこないのだ。とにかくこのふたつプラス「〜だに」は使いこなせないと浜松人ではないと言っても過言ではない。ドラマには浜松市出身の加藤諒くんも出演しているのに、なぜ使用しないかのかが疑問。念のため使用法を伝えておくと……

例1「今日、スタバ行くだらぁ?」(訳)「今日、スタバ行くよね?」
例2「彼氏、ばか怒れるだけど」(訳)「彼氏、超ムカつくんだけど」

 と、こんな感じ。念のため伝えておくと例2の「ばか」は「馬鹿」ではなく類義語に「超」「すごく」「めちゃ」などが挙げられる。

◆地元民が知らない謎の方言が聞こえる

 ドラマ内で方言を話すのは小橋常子の家族ではなく、その周囲の登場人物が多い。ただ、浜松人の私が一度も耳にしたことがない方言を役者が話している。

 第4話で遠州浜松染工の社員が話す「取引が決まったっちゅうのに、小橋さんが居てくれたらのう」。「〜ちゅうのに」も「〜のう」という表現も、私の知る遠州弁にはない。第11話では玉置三兄弟の次男が「運動会でオラたちに勝ったからってよう、いい気になってるんじゃねえでぇ!」と怒鳴るのが、語尾の「でぇ」も同じく聞いたことがない。あと、唯一と言っていいほど常子が使う「どうしたもんじゃろのう」も。

 ひと昔前は使っていたのだろうか? とも思ったのだが大正生まれのバリバリ遠州人の祖父さえも使っていなかった。それとも朝ドラ前作の『あさが来た』で使われていた「びっくりぽん」のようにするための造語なのだろうか。ストーリーに田舎の雰囲気を演出したいのだと思うが、遠州弁は割と繊細なので、できれば正しい使い方をお願いしたい。

◆「〜け!」「〜だに!」を多用しすぎ

 ドラマ内で最もよく使われている2ワード。まずはこの正しい使用法を……。

例1「おっかさのとこ行っただけぇ?」(訳)「お母さんのところに行ったの?」
例2「好きだに」(訳)「好きだよ」

「〜けぇ?」は疑問系や驚いたときに、「〜だにぃ」は肯定系に使用することが多い。ともに末尾の音をちょっと上げるのがポイントだ。ところがドラマ内ではやたら末尾につくだけで意味が分かりづらくなっている。第8話では消防団が「どかんけー!!」と怒鳴っていたが、あれじゃ浜松人にとっては、英語圏の人にとっての聞きづらい英語に近い。普通に「どけー!」で良かったような……。
第8話では小学生が「そうだに! 何やってんだに!」とヤジを飛ばしていたけど遠州弁なら「そうだに! なにやってるだよ〜」が正解。

 細かすぎるツッコミで恐縮なのだけど、それだけ愛と期待を持って、地元民が注目しているドラマなのでぜひNHK様、ぜひ方言指導の見直しを!

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。TBS系「毎度お騒がせします」からドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。