一族の歴史を彩った名品が集結!「メディチ家の至宝−ルネサンスのジュエリーと名画」

写真拡大 (全4枚)

15世紀から18世紀のイタリア・フィレンツェで、莫大な富と強大な権力をもってルネサンス文化を支えた大富豪・メディチ家。そのメディチ家にまつわる財宝が集められた「ウフィツィ美術館(銀器博物館)」から、日本初公開を含む一大コレクションが海を渡ってやってくるそう。

白金台にある「東京都庭園美術館」では、2016年4月22日(金)から7月5日(火)まで、「日伊国交樹立150周年記念 メディチ家の至宝−ルネサンスのジュエリーと名画」を開催。展覧会では、メディチ家の人々の肖像画が約20点、華麗なジュエリーや美術工芸品など約60点が展示される。

会場となる東京都庭園美術館は、1933年に建てられた旧皇族の朝香宮邸。装飾性の高いアール・デコの館として知られる場所だけに、メディチ家のコレクションを鑑賞するにはぴったりの空間と言えるかも。

今回の目玉は、日本初公開となる写真の作品《マリア・デ・メディチの肖像》。この絵は、初代トスカーナ大公となったコジモ1世と、美貌で知られるスペイン貴族のエレオノーラ・ディ・トレドの娘を、宮廷画家のブロンズィーノが描いたもの。滑らかな肌の質感が美しい、モデルとなったマリアは17歳の若さでこの世を去ったのだとか。数々の肖像画の中には、波乱に満ちた一族の歴史を伝えるものも少なくない。

「数年前から進められていた絵の修復が終わり、日本で初公開されることになったものです。ぜひ、この機会にごらんください」と、広報担当者さん。
「ウフィツィ美術館(銀器博物館)」に集められた財宝の中でも、ルネサンスの黄金時代を築いた豪華王ロレンツォ・イル・マニフィコや代々のメディチ家の当主を魅了したカメオのコレクションは見どころのひとつ。

カメオは大理石や貝殻に浮き彫りを施した装飾品で、特にルネサンス時代は古代ギリシャ・ローマの文化に関心が高かったこともあり、神話がモチーフになったカメオも多い。

展覧会にも、ローマ神話に登場するワインの神「バッカス(バッコス)」や英雄神「ヘラクレス」などをモチーフにしたカメオが多数出品されるとか。古代や中世のカメオはなかなか見られないので、このチャンスにしっかり鑑賞して。


ジュエリーでは、《マリア・デ・メディチの肖像》にも描かれている真珠に注目したい。

この時代は丸くない「バロック真珠」と呼ばれる形が人気だったこともあり、コレクションの中にもいくつか登場するそう。写真の作品もバロック真珠を使ったもので、丸みのある独特なフォルムが柔らかな印象を与えてくれる。

来館の際には、ネックレスでもピアスでも何か真珠のものを身に着けて行くと、ドレスコード割引が適用されて100円引きになるサービスが。人造パールでもOKだから、おしゃれするなら真珠のアクセサリーでおでかけを。


また、「新館ギャラリー2」では、関連の講演会も開催されるから、この時代のメディチ家や美術品についてもっと知りたい女子は活用して。

4月23日(土)14時からは、成城大学教授・石鍋真澄先生を講師に記念講演会「メディチ家と宝石、ロレンツォ・イル・マニフィコ時代の結婚と美術」を開催。ルネサンス時代の文化や、当時の結婚事情などについてのお話が聞ける。

4月24日(日)14時からは、イタリア在住のジャーナリスト池田愛美氏を講師に講演会「メディチ家のフィレンツェ、トスカーナの食物語」を。

5月28日(土)の14時からは、貴金属工芸家の長井豊さんを講師に迎えて「イタリアの工房とルネサンス・ジュエリーの魅力」を聞くトークイベントも。どちらも事前申し込み不要の無料イベント(ただし、当日の展覧会チケットが必要)なので、興味があれば整理券が配布される12時に館内の講演会場(新館ギャラリー2)入口へ。

美術品のような邸宅の空間で、ルネサンス文化を支えたメディチ家の歴史と珠玉のコレクションにふれたら、より優雅な気分を満喫できるかも。

トップ画像:ブロンズィーノ《マリア・ディ・コジモ1世・デ・メディチの肖像》1551年 油彩/板 フィレンツェ ウフィツィ美術館蔵 (C)A. Quattrone
画像 上:古代ローマ工芸(カメオ) イタリアの金工家(フレーム)《ナクソス島のバッコスとアリアドネ》3世紀(カメオ) 16世紀(フレーム)  オニキス 金 1個の真珠 多色七宝 フィレンツェ  国立考古学博物館蔵(C)Firenze, Museo Archeologico Nazionale
画像 中:オランダ(アムステルダム)の金工家《赤ん坊を入れたゆりかご》1695年頃
金 七宝 2個のバロック真珠 28個のダイヤモンド 20の真珠 真珠を縫いとめた青い絹 銘(裏面、2つの脚の間に)「AVGROR EVENIET」 フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵(C)Firenze, Gallerie degli Uffizi, Museo degli Argenti
画像 下:ヨナス・ファルク ミケーレ・カストルッチ グアルティエーリ・ディ・アンニバレ・チェッキ ジュリオ・パリージの下絵に基づく《コジモ2世・デ・メディチのエクス・ヴォート(奉納品)》1617-1624年 ピエトレ・ドゥーレ(貴石モザイク) 金 多色七宝 ダイヤモンド 鍍金ブロンズ フィレンツェ ウフィツィ美術館(銀器博物館)蔵(C)Firenze, Gallerie degli Uffizi, Museo degli Argenti