ヨーグルトは「とろみ」で選ぶべし! なんで?

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執筆:山本 ともよ(管理栄養士)

ヨーグルトのいろいろな製品を試したことがある人は、製品によって「とろみ」が強いもの、固形物の割合が多く「かたい」ものなど、形状の違いを感じたことがあるかと思います。

実はこの「とろみ」が健康によいことがわかっているのです。
手作りのヨーグルトは独特のとろみがあり、同じようなとろみを売りにした製品も出ています。とろみの正体やその効果についてご紹介します。

「とろみ」の正体


その正体は「EPS」という成分。これは、「Exopolysaccharide(エキソポリサッカライド)」の略で、乳酸菌が発酵の過程で作り出す物質です。乳酸菌の中でも特に、「クレモリス菌」が産生するEPSの粘りが強いことが注目されています。

クレモリス菌


乳酸菌は形状によって種類が分けられていて、クレモリス菌は、楕円形の菌が鎖のように連なった形状で、連鎖球菌という種類に属しています。

性質の大きな特徴は、人間の持つ消化酵素に強く、生きて腸まで届くことがヒトでの実験で証明されているところです。さらに、強いとろみ成分のEPSが、クレモリス菌を守ってくれます。
乳酸菌が腸内環境を調えることは知られていますが、生きたまま腸に届くことで、さらにその効果が高まることが期待できるのです。

「乳酸菌+ EPS」で期待できる健康効果


乳酸菌の効果はEPSと一緒に腸内に入ることで、さらにパワーアップされて効果が高まります。次のようなはたらきが挙げられます。

 腸内細菌のバランスを調え、便秘を予防・改善する

 免疫細胞を活性化し、感染症の予防やアレルギー症状を改善する

 血糖値の上昇を緩やかにし糖尿病の予防・改善に働く

 中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす

EPSを摂るにはどうしたらいい?


EPSを効果的に摂るには、手作りヨーグルトがおすすめです。ヨーグルトは牛乳と種菌粉末を合わせて発酵させるだけで手軽に作ることができます。この時、種菌粉末に「クレモリス菌」が使用されていることを確認してください。
あとは、作り方はとっても簡単です。熱湯消毒したフタの付いた容器に、牛乳と種菌粉末を入れ、熱湯消毒したスプーンでよく混ぜます。混ぜたらしっかりフタをして、常温(20〜30℃)で半日から3日ほど放置すればでき上がります。食べる前に、次の種にするヨーグルトを取り置きしておけば、そこから新たにEPS入りのヨーグルトを増やすことができます。
ただし、菌にも寿命がありますので、できあがりのとろみ具合が減ってきたら、新たな種菌粉末でスタートしてください。牛乳の量や放置時間は種菌粉末によって異なる場合もあるので、製品の作り方を参考にしましょう。スーパーやインターネットで購入できます。

腸内環境は1日にしてならず。身体によい効果を感じるためには、継続することが大切です。まずは1か月ほど続けて効果をみてみましょう。


<執筆者プロフィール>
山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中