闇カジノに手を染めた田児選手と桃田選手(4月8日撮影)。

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バドミントンの闇カジノ事件は、女性との写真など続編が出はじめ、処分した会社に批判が浴びせられる事態になった。有力選手を甘やかすスポーツ界の体質に批判が浴びせられている。

この事件の主役は田児賢一、桃田賢斗の二人。2016年4月10日から11日にかけ、所属するNTT東日本とバドミントン協会から処分された。

NTT東日本...田児=解雇 桃田=出勤停止30日

バドミントン協会...田児=無期限登録抹消 桃田=無期限出場停止

エースだった桃田はリオ五輪出場も消えたが、永久追放ともいえる田児に比べ、桃田は再起への道を残した。2020年の東京五輪を目指すことも可能な処分である。

「あれで終わるわけはない」との見方が出ていた

ところが、この後、桃田に違法スロット疑惑が報じられ、週刊新潮には女性とのキス写真も暴露された。NTT東日本はその事実を知りながら隠していた疑いがある、と指摘される事態にさらされた。

「桃田の処分は、関係者から、甘い、といわれていた。彼の素行から、あれで終わるわけはない、とみていた関係者やメディアは多かった。案の定、そうなっただけ」

取材記者はそう語る。

NHKも違法カジノ経営者をつかまえて話を聞いている。スキャンダル関係の人物があちこちでしゃべりまくっている状況だ。NTT東日本は処分発表で一件落着のつもりだったのだろうが、拙速調査の典型といえた。

プロ野球選手の野球賭博事件発覚から、スポーツ選手の私生活に目が向けられており、とりわけ遊びについては過去の話も出てきている。これまでプライベートだからということで隠れていた話が蒸し返されるのだから、覚えのある選手は怖い日々だと思う。

有力スポーツ選手がちやほやされているのは事実である。

少年時代から親元を離れる選手も

「監督など指導者は選手をしっかりと教育しているのか」

こんな話をテレビなどでコメンティーターは話しているけれども、監督やコーチたちも元は有力選手が多く、そんな人たちが社会常識を教えられるだろうか。それは保護者の役目だろうと思う。

桃田は中学校から親元を離れている。この現実を見逃してはいけない。競技に素質のある少年はスカウトされて特待で高校に進み、十代半ばから親元から離れ、それこそ競技中心の生活を送るケースが多い。現在はそれが加速して桃田のような選手が増えているのが実情だ。

高校ではこんな例を聞く。野球部の生徒は、授業を午前中で切り上げ、練習をするという。甲子園出場を目指す学校に見られるそうである。他の競技でも似たり寄ったりなのだろう。

保護者にも問題がある。スカウトされると「甲子園出場」「ゆくゆくはプロ野球」などと舞い上がってしまう。少年野球の現場に行けば分かる。バドミントン事件の根っこは少年時代に問題があるといえる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)