エミリー・ウーさん

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(台北 16日 中央社)着物姿の似合う台湾人和菓子職人、エミリー・ウー(呉ケイ菁)さん。台湾で和菓子教室を開き、普及に取り組んでいる。「ただ見たり食べたりするだけでは、作る時の難しさがわからない」。自分の手で実際に作ることで「(作り手に対する)尊敬の気持ちが芽生え、価値がわかるようになりますよね」。(ケイ=草かんむりに恵)

日本のテレビ番組で見た和菓子の美しさに魅了され、デザイナーの仕事を辞めて33歳で訪日。東京製菓学校に通っていろはを学んだ。在学中には何度もコンテストに作品を発表し、2005年には日本菓業振興会の審査員特別賞を受賞した。「審査員がわたしを認めてくれたの」。茶目っ気たっぷりに笑う。

台湾でもどら焼きや饅頭などの和菓子は有名だが、練り切りと呼ばれる生菓子は知名度が低かった。だが、台湾に戻った後の2006年にオンライン和菓子店「唐和家」をオープンさせると、自身が手がけたパッケージなども含めて芸術作品のような繊細さや新鮮さが人気を呼んだ。

台湾人の好みに合わせて、甘さは日本のに比べて控えめ。「高山茶によく合うと思います」。今では文化施設や企業の招きを受け、台湾各地を文字通り飛び回って和菓子の世界を伝える。作り方や技術だけでなく、歴史や文化にも言及しながらの授業は、笑いが絶えない。

ただ、悩みもある。後継者がいないのだ。「台湾の若い人たちは忍耐力がないし、すぐに成功しようとする」。弟子入りした人が、家族の理解を得られずに夢を諦めるケースもある。エミリーさんの作る和菓子のモットーは「生きていること」。形だけを真似する人もいるが、それは違うという。志のある人がいれば技術を伝え、和菓子を伝承したい考えだ。

(齊藤啓介)