女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちの体験談。

今回お話を伺ったのは・森山真知子さん(仮名・40歳)。現在の職業は無職。2016年3月末まで、関東近郊の公立中学校の臨時採用教師として働いていました。担当科目は英語で、使命感に燃え、仕事に取り組んでいたと言います。

「東京・四谷にある大学を卒業し、1年間オーストラリアにワーキングホリデーに行きました。当時は就職氷河期だったし、ムリして就職活動しなくても、好きなことをして生きて行こうと思っていたところがあります。今みたいにネットがなかったから、旅立つときは親と今生の別れのように、成田空港で別れたことを覚えています。国際電話も今みたいに安くなかったですし。1週間に1回、ハガキを出すことを約束させられました。私はあるワイン農場で仕事を得たのですが、予想以上に困難の連続でした」

日本にいると有名大学を卒業した女性は、なんだかんだ言っても一目置いてもらえるし、それなりに大切に扱われる。それに仕事を始めれば、誰かがマンツーマンで教えてくれます。しかし、オーストラリアではそうではない。英語が話せないと、ずっと下働きになる。ひとたびそうなってしまうと、1日中誰とも話さず、草刈りや選別なども単純肉体労働を割り振られてしまう。

「私は自分は特別だと思っていたので、あえて日本人がいないところを選んで行ったのですが、それが大間違いでした。クルマがなければどこにも行けないオーストラリアで、農作業をする日々……住むところもあったし、給料は高かったのですが、ひたすら肉体労働をし、日本語を一切話さない毎日。大学で英語を専攻したものの、ほとんど話せないので、半年間ストレスがたまりやけ食いしまくり10キロほど増えてしまいました」

もともと太りやすい体質で、思春期はダイエットばかりしていたそうです。2リットルの水を飲み、リンゴやゆで卵だけを食べていた時期もあるといいます。

「当時は痩せている=美人だったんです。当時人気だった、鈴木蘭々さん、遠山景織子さん、あんじさん、市川実和子さん……みんなガリガリです。折れそうなくらい細いことが美人の条件だったのに、私は160cmで60kgくらいありました。骨太で太りやすく、両親もデブ。高校の時憧れていた先輩に“森山は太っているからな〜”と言われてショックだったし、太っていることが死にたいくらいコンプレックスでした。オーストラリアに行ってよかったことは、みんなそこそこがっしり体型なので、私が小柄で華奢に見えたことです」

帰国して、恋愛する。その相手にやってしまったこととは……!?

たいして英語力も向上しないまま、ワーホリから1年で帰国し、仕事を探し始めます。

「24歳から30歳まで、東海地方にある私立中学校の教師をしていました。ここはフリースクールみたいな学校で、全国から問題児と言われる子がたくさん来ていたんです。彼らは勉強はできないかもしれないけれど、人の心の痛みがわかるから、私のことをデブとはだれも言わなかった。でも経営がうまくいかず、校長が変わったんですよ。進学率を追い求めたその人とうまくいかなかったこともあって、結果的に辞めてしまいましたね。その学校は……まだあるのかな? 思い出したくもないくらい、いろんなことがありました」

その“いろんなこと”には、恋愛問題も含まれています。真知子さんは同僚の教師と不倫の恋愛関係になってしまい、真知子さんは彼の離婚を迫ってしまったといいます。

「学校にはバレバレだったと思いますが、当事者の口から言わない限りは、追及されませんからね。彼は40代の国語の教師だったのですが、今思うとなぜ、あんな男が好きだったのかわからないです。彼は東京出身で、田舎で単身赴任して教師をしているストレスからパチンコにハマっていて、その負けた分を私が貸していたんです。全部で200万円くらいだったと思います。好きな男にそこまでしたのに、結局妻のところに帰られたらたまったもんじゃないですよ。だから妻に無言電話をかけたり、手紙を送ったりしていました」

真知子さんにとって、彼は2人目の男性だったと言います。だからこそ、彼を助けたい、ギャンブル依存から構成させたいと本気で思ってしまったとか。ストレスの原因の一つが妻だと思い込み、彼の奥さんを電話口で激しく罵ったこともあるとか。

しかし、ギャンブル依存症までになってしまった人を更生させるのは専門家でも難しい。彼に貢いだ貯金も底をつき、校長ともうまくいかないストレスから、真知子さんはストレス食いに走り、結果的に76kgまで体重は増加してしまいます。

ストレスがたまるとチョコレートスナック、菓子パンなどを貪るように食べてしまうという。

退職するも、非正規雇用の仕事のストレスがのしかかる。「【貧困女子】40歳・元中学教師、増加した16kgとダイエット借金生活」〜その2〜へ続きます。