15日、欧州の国際関係史に詳しい渡邊啓貴東京外大教授が講演。欧州はギリシャ財政危機、ウクライナ危機に直面する中で、難民・移民問題やテロの脅威にさらされている、としながらも、「欧州は様々な困難を乗り越え、『統合』をやめることはない」と語った。

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2016年4月15日、欧州の国際関係史に詳しい渡邊啓貴東京外国語大学教授が日本記者クラブで「欧州騒乱―EU統合のプロセスとしての現実と理想のジレンマ」と題して講演した。欧州はギリシャ財政危機、ウクライナ危機に直面する中で、難民・移民問題やテロの脅威にさらされている、としながらも、欧州統合は「国境を越えたリストラ」であり、「危機を回避するための合理化である」と分析。「欧州は様々な困難を乗り越え、『統合』をやめることはない」と結論付けた。発言要旨は次の通り。

世界の論理はこれまで「米欧流」が主流となってきた。米中対立は価値観の対立と言え、中国からの挑戦でもある。欧州は自由と寛容が特徴だったが、大きく揺らいでいる。「西洋の没落」の危機であり、価値観の多様化が脅威となっている。その最大のものはIS(イスラム国)であり、難民問題である。

財政危機のギリシャがEUを離脱した場合は、欧州全体への信用問題が揺らぎ、全体としてマイナスの経済効果を生じてしまう。

英国では離脱を巡って国民投票が6月に実施されるが、国民が「ノ―」ということはないと思う。英国がEUにいることでバランスが取れており、米EU関係を安定させるという政治的な役割もある。英国にとっても経済問題があり、完全にはEUから離脱できない。

欧州は、ギリシャ財政危機、ウクライナ危機に直面する中で、難民・移民問題やテロの脅威にさらされ、欧州に対する悲観論が高まっている。しかし欧州は様々な困難を乗り越え、「統合」をやめることはないだろう。

ポスト「冷戦後」の国際秩序に向けた発想が必要である。欧州は試行錯誤の最中であり、日本も「他律依存型」から「自立共存型」の外交に脱皮する必要がある。(八牧浩行)