自然災害が多い国で暮らす日本人は、普段から危機意識を強く抱いている。河南省許昌学院で職員として働く胡新祥さんは、そうした日本人に学ぶところがあると考えている。写真は日本の地図。

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熊本県で東日本大震災以来の規模となる震度7の地震が発生し、多くの人が被災した。自然災害が多い国で暮らす日本人は、普段から危機意識を強く抱いている。河南省許昌学院で職員として働く胡新祥さんは、そうした日本人に学ぶところがあると考えている。

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この間、東宝映画が2006年度に製作した「日本沈没」をネットで鑑賞した。プレートの大規模な異常変動により日本列島が海中に沈没する危険に晒され、各地で大地震が次々と発生し、日本中がパニック状態に陥るなどという内容だ。壮絶な映像にも魅了されたが、私が深く考えさせられたのは日本人が抱いている強い危機意識だ。

仮に「中国沈没」とか「○○年、中国が滅びる!」とかいう映画に対して、大方の中国人は「とんでもない話だぞ」とか「絶対ありえないよねえ」と反発するに違いない。日本語には「遠慮なければ近憂あり」ということわざがある。現実的に日本列島が沈没する可能性があるのかをネットで調べてみたところ、日本列島は沈没するどころか、むしろ大陸プレートと太平洋プレートの衝突により少しずつ隆起しているのだ。ではなぜ日本で大変人気を博したのか。危機などを早急に検討し、万全の対策ができるようにという日本人の危機意識にぴったり合っているのではないか。

うちの学院にも日本人教師が2人いる。私は日本人教師の世話係を担当しているので、たまに学校側と日本人教師の板挟みになってしまうこともある。だが、こういう体験があるからこそ、日本人の考え方と中国人の考え方の相違点をよく理解できる。別に日本と中国の国柄の良し悪しということでもないが、日本人に学ぶべきところもあると思っている。「三人行けば必ず我が師あり」と2000年前に孔子がすでに「論語」にて諭してくれているように。

契約のことを例に紹介したいと思う。「胡さん、ここの条項はちょっと紛らわしいから、やっぱりはっきりするようにお願いしたい」と日本人教師に指摘されたことがある。その教師は「仮の話だね。もしそういう事態に至ったら、トラブルが起こるかもしれない。それに私の後で赴任してくる日本人教師の利益にも関わっているから」と説明してくれたのだ。「そのぐらいでいい」という考えがいけないということを教えてくれた。

「車到山前必有路(山の前まで行けば必ず道はある。なるようになる)」という言葉は多くの中国人に好まれている。だが、山の前に来たら本当に道があるのか?こういう呑気な発想は大方の日本人には通じないと思う。日本列島を沈没の窮地から救ってくれた救世主は、強い危機意識を持っている田所博士だった。学者と閣僚の懇談会での警告が他の専門家に一笑に付されたにもかかわらず、命を懸けて実地調査に乗り出して綿密な計画を練りだした。

また契約のことに変わる。うちの場合は1年ごとに外国人教師と契約することになっている。日本人教師は来年度のことに対応できるように、たいてい契約期限の4カ月前に私を通じて学校側の意向を探っている。もし継続契約できない場合、速やかに帰国かあるいは別の大学を探すことになるからだ。要するに、「山の前に来たら必ず道がある」のではなくて、「山の前に道があるかどうかを事前に調べている」ということだ。

国民の性格はその国を取り巻く地理的環境とか、歴史的、社会的要因などに深く関わっている。だが、急速にグローバル化している現在、他国の長所を積極的に取り入れることも極めて大事になっている。(編集/北田)

※本文は、第六回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「メイドインジャパンと中国人の生活」(段躍中編、日本僑報社、2010年)より、胡新祥さん(河南省許昌学院)の作品「日本からのプレゼント」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。