リオで厳しい戦いが予想される日本…メダルへの鍵は“勢い”と“調整力”
 これがオリンピックの厳しさである。リオ五輪の組み合わせで第1ポットに振り分けられたメリットは、対戦相手について意味をなさなかったようだ。

 ワールドカップの半分にあたる16か国出場の大会だけに、グループステージからタフなゲームが続くのは想定内である。それにしても、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンとのグループリーグで、上位2カ国に食い込むのはタフなミッションだ。スペイン、モロッコ、ホンジュラスとグループステージで対戦した4年前に比べれば、「厳しい」との印象は否めない。

 もっとも、他のグループが羨ましいわけでもない。同じアジアから出場する国で言えば、イラクはブラジル、デンマーク、南アフリカと同居し、韓国はフィジー、ドイツ、メキシコと対戦する。どのグループに入ったところで、格上と見られる国から少なくとも1勝、できれば2勝しなければいけない状況に変わりはない。「死の組もなければ楽なグループもない」という手倉森誠監督の印象は、組み合わせの結果を客観的に言い当てている。

 ワールドカップとは異なり、五輪は全チームが同じスケジュールで日程を消化していく。試合間隔は同じなので、“調整力”で勝負できる。試合が行われる都市によって気候の差はあるものの、準備次第で選手のコンディションを保つことは可能だ。これについては、2014年のブラジル・ワールドカップの経験が生きてくる。アルベルト・ザッケローニ監督のもとでスタッフ入りしていた早川直樹コンディショニングコーチが居るのは、手倉森監督にとって心強いはずだ。

 チームが目標とするメダルへ到達するには、やはり初戦が重要だろう。劣勢が予想された最終予選(AFC U−23選手権カタール2016)で、アジアの頂点へ駆け上がった最大の要因は何だったのか。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との初戦に勝利したことで、チームは勢いをつかむことができたのだった。

 最終予選と同じように、五輪も短期決戦である。準々決勝までは中2日でゲームを消化していく。「勢い」は重要だ。戦術に対する自信やチームの一体感も、勝利によって高まっていく。初戦で対戦するナイジェリアは、アフリカ予選を首位で通過してきた。サムソン・シアシア監督はかつての代表ストライカーで、1994年のアメリカ・ワールドカップに出場している。指導者としてのキャリアも豊富で、2005年のU−20ワールドカップ準優勝、2008年の北京五輪準優勝といった実績を残している。フル代表の監督経験もある。様々な状況に対応できる監督と言えそうだ。

 アフリカ勢の対策という意味では、5月11日の親善試合が意味を持つ。ガーナのフル代表との対戦は、ナイジェリア戦の予行演習となるだろう。現在交渉中とされる6月のテストマッチも、アフリカ勢との対戦にしていい。

 スカウティングについては、5月18日開幕のトゥーロン国際トーナメントが有効活用できる。ナイジェリアとコロンビアが参加するのだ。五輪の出場国では、グループAの南アフリカ、グループCのメキシコ、グループDのポルトガルも出場する。

 参加各国が、ベストメンバーを編成してくるかは不透明だ。他ならぬ日本も、AFCチャンピオンズリーグの行方次第で主力を欠く可能性がある。それでも、その国のスタイルや強みを見定める機会になる。

 グループBの日本は、決勝トーナメントに勝ち進むとグループAの国と対戦する。それぞれの首位チームが2位チームと対戦するため、グループ2位で8強入りするとブラジルとの激突が濃厚だ。

 サンパウロを舞台とするホスト国との対戦は、U−23世代がかつて経験したことのない、これからも簡単には経験できないアウェーの雰囲気に包まれるだろう。メダル獲得への道のりを描けば、この段階でのブラジル戦は避けたい。そのためにも、グループステージの初戦が大事なのだ。

文=戸塚啓