桑満おさむ 五本木クリニック院長 レーザー治療を中心に、シワ、しみ、たるみ等の治療を行う。 横浜市立大学医学部 卒業。目黒区医師会がん検診委員長。 目黒区医師会 地域医療公衆衛生委員。

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民間療法用語であるデトックス



 非科学的インチキ医学をやっつけろ! アルファブロガー、五本木クリニック院長・桑満おさむ先生のブログから医学エッセイを厳選してお届けします。

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 私は西洋医学ガチガチであるように見えて、実は「おばあちゃんの知恵」的民間療法のファンです。

 おばあちゃんの知恵って身近にあるものを使用して、問題を解決するのですから、米国海軍ネイビーシールズや特殊空挺部隊SASのサバイバルっぽくて好きなんです。

 若い医師に当院で働いてもらう時、

「聴診器がなくても血圧を計る事ができますか?」
「指輪がハマりこんで取れなくなった場合、指輪を切らないで外せますか?」
「気管切開をする医療機器が無い場合、どうやって直接気管に空気を送り込めますか?」

 なんてことを尋ねて驚かれることもあります。

 原始的ですが、身の回りにあるものを使用して、ある程度サバイバルができないと医者としてはやや難あり。

 少し話が外れましたが、私が愛して止まない「おばあちゃんの知恵」的民間療法なんですが、どうしても許せない用語が「デトックス」です。

 たぶんデトックスって、解毒を意味するdetoxificationから派生した言葉だと予想されます。

 たしかに医学では解毒という治療法が存在します。

 たとえばジメルカプロールという薬物は重金属の中毒の解毒に使用しますし、プラリドキシムヨウ化メチルはパム(PAM)と呼ばれ、農薬で自殺を計った場合に使用されます(特殊部隊的使用としてはで、あのサリンなどの神経毒にも効果があり)。

 しかし、現在一般的に使用される「デトックス」は存在するのかしないのか明確ではない、なにがしらの「毒素」を、食べ物、サプリ、特殊な薬物を使用する事によって体外に排出するという意味で使われています。

 特に水銀に代表される重金属を排泄される効果があるとされるサプリメントなどは海外でも、もてはやされている状況です。

 重金属を対象としてデトックス効果を謳った場合、使用・服用した後に血液中の重金属が減っている事が明らかになれば効果があったと証明できます。

 しかし残念ながら、医学的検証に裏付けられた確かなデータは存在しないのです。

海外でもデトックスは問題とされている



 英国の国民の健康をサポートしているNational Health Service(NHS)は「デトックスと呼ばれる言葉自体が怪しいものであり、それを改善すると称している方法は全く無意味」と国民に警告しています。

 問題とされる重金属って普通の生活をしている場合、健康に被害を及ぼすレベルの摂取をすることは考えられませんし(企業等によって垂れ流された廃棄物による悲惨な事件は除外します)、なかには皆さんが有り難がって飲んでいるオシャレなミネラルウォーターに含まれているミネラルを構成する栄養素もあります。

 以前ドラッグストアにも置いてあり、通販でも盛り上がっていた、足の裏に貼付けると、翌日貼付したシートが真っ黒になるというシートがありました。

「フットバスデトックス」とか「足裏樹液シート」と呼ばれたグッズです。

 寝ている間に体から毒素が排出されて、足の裏に貼ったシートが黒く汚れるという方法もありますし、足を桶につけていると浸していた水が真っ黒になって「ほら、あなたの体内に溜まっていた毒素がこうやってデトックスされるんですよ」なんて経験をした方も結構いるんじゃないでしょうか?

 このメカニズムは単純で汗に混じり込んでいる塩分や桶の中の水に溶かし込んでいる塩や不純物である鉄分が単に化学反応を起こしているだけなんです。

 笑っちゃう実験がありまして、フットバスに足を突っ込まなくて単に軽い電流を流しますと、なんと桶の水は真っ黒になったのです。完璧にインチキです。

 ちなみにウソみたいで本当のおばあちゃんの知恵があります。しゃっくりの特効薬として「柿のへた」を使うんです。

 これは『「しゃっくりを止める方法」医学的治療VS民間療法、一発で治すことができるのは?』と題して以前ブログに書きました。いつも「柿のへた」が手に入る訳ではありませんが……。

 ここで豆知識。昔、武士の家では必ず柿の木を庭に植えていたました。万が一戦争になった場合、家に籠って戦う場合の非常食として武士の心得とされていたそうです。

 対戦争非常事態向けではなく、庭に柿の木があるかたは、しゃっくりが出て止まらない時にお試しください。

文 ・桑満 おさむ
構成・編集部