理研、リチウムイオン電池用電解質の合成新手法を開発

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理化学研究所(以下理研)は、リチウムイオン電池の電解質として利用されている『リチウムホウ素化合物』の新たな合成手法を発表しました。

従来は複雑な多段階反応を経て合成していたリチウムホウ素化合物を、一段階の反応のみで合成できる手法。この手法で合成したリチウムホウ素化合物は、従来手法で合成したものとは異なる構造をしており、電解質と有機溶媒が一体化していることで、有機溶媒を必要としない、新しい構造のリチウムイオン電池が誕生する可能性を秘めています。新手法を開発したのは、理研 環境資源科学研究センター先進機能触媒研究グループの侯召民(コウ・ショウミン)グループディレクター、張亮(チャン・リャン)研究員、西浦正芳 専任研究員、侯有機金属化学研究室のビアトリース・キャリー国際プログラム・アソシエイトを中心とした研究チーム。

新手法の要点は、生成できるリチウムホウ素化合物の組成や構造に幅ができることと、安価で入手が容易な複数の原料を用いて、純度の高いリチウムホウ素化合物を効率的に合成できる点。

従来の手法では生成できる化合物の構造に制限があり、また多段階の反応を経る必要があることから、生成手法の効率化が求められてきました。

研究チームでは二酸化炭素(CO2)を利用した有機合成反応に関する研究を進める中で、銅触媒を用いたリチウムホウ素化合物の合成に着目。入手が容易かつ安価なCO2、ホウ素化合物、アルデヒド類、リチウムアルコキシドなどの原料を銅触媒存在下で合成することで、従来の手法では合成が難しかった構造のリチウムホウ素化合物が生成されることを発見しました。

この発見によって、リチウムイオン電池に用いられる電解質にさまざまな構造のリチウムホウ素化合物を用いることができるようになり、従来とは異なる形態のリチウムイオン電池が登場する可能性が出てきました。

今回の発表は手法の紹介にとどまっており、リチウムイオン電池の在りようがどう変わっていくのか、電池としての性能がどのくらい向上するのかは、これからの研究で判明していくことですが、少なくともリチウムイオン電池の研究を行う上で採れる手法の幅が拡がったことは、歓迎すべきことと言えます。