森達也監督「FAKE」は今年の超話題作になりそうだ!


ベッキー×ゲス、SMAP、清原、ホラッチョ、乙武くん……等々、年始からメガトン級の芸能スキャンダルが連発している2016年。


新規スキャンダルさんのみならず、「キセキの世代」と呼ばれ、面白ニュースが連発しまくっていた2014年に活躍したスキャンダルさんたちも、今年になって再びニュースを振りまいてくれるってんだからワイドショーから目が離せない。面白ネタのゴールドラッシュや!

号泣議員・野々村竜太郎は裁判をスッポかし、STAP・小保方晴子は本を出版&サイトを開設。

そして、偽ベートーベンと呼ばれた佐村河内守を追ったドキュメンタリー映画「FAKE」も今年6月4日に公開が予定されている。

この「FAKE」、オウム真理教をテーマにしたドキュメンタリー映画「A」「A2」などで知られる森達也監督の最新作ということもあり、今年中盤の超話題作となることは間違いないだろう。

「耳が聞こえない」とウソをついているインチキ野郎・佐村河内守が、音楽一筋できた世間知らずな音楽家・新垣隆を騙してゴーストライターをやらさせていた。佐村河内はピアノも弾けないし、作曲なんてまったく出来ない。耳が聞こえないというのも真っ赤なウソ!

例のゴーストライター騒動に対する世間的な認識としては、まあこんなところで落ち着いているのではないだろうか。

一足先に「FAKE」を試写会で観させてもらったのだが、そんな世間の認識をドーンとひっくり返す……とまではいかないものの、佐村河内守の意外なかわいさ、真面目さ、そしてやっぱり漂いまくるうさんくささが克明に記録されており、従来の佐村河内守イメージに小さい「?」マークを刻み込むくらいには衝撃的な映画となっていた。

……のわりに、ワイドショーでは「FAKE」が公開されるというニュースを伝える際、佐村河内が頬をポコポコ叩いている変な映像ばかり繰り返し紹介して「佐村河内=異常なヤツ」イメージを崩さないようにしているように感じる。

少なくとも、ちゃんと映画を観ていれば、もうちょっと違った紹介の仕方をしようと思わされる内容だったと思うのだが。

映画が公開され、多くの人たちの目に触れた後、ワイドショーでどんな取り上げされ方をされるのか、それとも黙殺されてしまうのか、その辺の反応が楽しみではある。

「FAKE」の予習として絶対読んでおくべき漫画


まあ「FAKE」の公開はもうちょっと先なので詳細を書くことは控えるが、現在発売中の「ビッグコミックスペリオール」2016年第9号に掲載されている漫画「淋しいのはアンタだけじゃない」が、「FAKE」の予習をするのにピッタリの内容だったので、そちらを紹介しよう。

この漫画は、「ブラック・ジャック創作秘話」「さんてつ:日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録」などでノンフィクション漫画という手法を確立した吉本浩二先生の最新作。

日本福祉大学出身の作者が「聴覚障害」というテーマに挑んだドキュメンタリー漫画だ。

第6話となる今回は、近年最も話題となった「聴覚障害」を持つ人物として、佐村河内守が取材対象となっている。

この取材は「FAKE」の撮影期間と重なっていたようで、森達也監督も同席しカメラを回しているのだ。

おそらく「FAKE」ではこの場面を使っていなかったとは思うが、「FAKE」とまさに同じ時期、同じ場所で取材しながらも、別の視点から佐村河内を捉えており、裏「FAKE」としても楽しめる漫画となっている。

「FAKE」の方は、ドキュメンタリー映画らしく、撮影者である森達也自身の考えや主張などは極力表に出すことはなく、記録した映像を坦々と流していた。

佐村河内守は善なのか悪なのか? 耳は聞こえるのか? 曲は作れるのか? 新垣隆と佐村河内守、どっちがウソをついているのか? ……この辺の判断は観た人にゆだねられているのだ(それでも、かなり佐村河内寄りの作りではあったが)。

一方「淋しいのはアンタだけじゃない」では、明確に「佐村河内守が何らかの聴覚障害を持っている」という前提に立った上で、

・どういう種類の聴覚障害なのか?
・じゃあどうして障害者手帳を剥奪されたのか?
・聴覚障害について報道されなかったのはなぜか?

といった疑問を、医学的見地からの解説も交えながら解き明かしていこうとしている。

音は聞こえてはいるものの「歪んで聞こえる」ため、音(言葉)を理解することができない「感音性難聴」についての解説では、例の謝罪会見での応対を見て「いやいや〜、やっぱり音、聞こえてるんでしょ〜!?」と思っていたボクも、「そーいうことなのか!」と、思わず膝を打つほど納得させられた。

……もちろん、佐村河内守の語っていることが真実ならば、という条件付きだけど。

とりあえず飲み屋で10倍盛り上がると思うよ


実際、佐村河内守が聴覚障害を持っているのかどうかは分からない。

ただ、佐村河内守のビジュアルとキャラクターが、あまりにオモシロ&うさんくさすぎるため、新垣隆の証言のみを根拠として「耳が聞こえるに違いない」と一方的に決めつけられてしまったことに、今回の騒動の根の深さがあると思うのだ。

……まあ、新垣隆と佐村河内守のビジュアルを比べたら、明らかに佐村河内の方が悪者だって思うし、そっちの方がワイドショーネタとして面白いもんなぁ〜。

今回の「淋しいのはアンタだけじゃない」や「FAKE」を観ると、そんな報道のされかたに対する疑問がモヤモヤッとわいてくるし、「新垣隆=善、佐村河内守=悪」と、確定していた判断がちょっと揺らいでくる。

もし、世間の大半の人たちが確信していたことがゴッソリひっくり返ったら面白いじゃない!?

真偽のほどは本人にしか分からないので、結局ボクらは飲み屋で無責任にあーだこーだ騒ぐくらいしかできないのだが、その飲み屋でのトークバトルを10倍盛り上げる材料として、今回の「淋しいのはアンタだけじゃない」は必読だと思うのだ!(単行本第1巻は5月30日発売予定とのこと)
(北村ヂン イラストも)