民間による「宇宙ホテル」、2020年運営開始へ

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宇宙ヴェンチャーのビゲロー・エアロスペースは、ロケット製造を行うユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)との提携を発表。両社は共同で居住可能な膨張式の宇宙ステーションを開発し、2020年に運営開始する計画を立てている。

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ビゲロー・エアロスペースは、空気を入れることで膨張させて使う宇宙用住居(モジュール)を製作している宇宙ヴェンチャー企業だ。同社が開発した膨張式モジュールは4月8日(米国時間)、スペースXが打ち上げたロケット「ファルコン9」と「ドラゴン宇宙船」によって、国際宇宙ステーションへと運ばれた。

そして11日、ビゲロー・エアロスペースは、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)との提携を発表。両社は共同で、居住可能な膨張式の宇宙ステーション「B330」を開発し、2020年に運営開始するという。

ビゲロー・エアロスペースは、互いに連結可能な膨張式モジュールが、科学研究施設やほかの惑星での住居、旅行者の滞在先に使用される未来を構想している。「わたしたちは、ディズニーが(このモジュールを使って)『ディズニー宇宙ステーション』を実現するのを見てみたいと思っています。それは素晴らしいことでしょう」と、創業者ロバート・ビゲローは語る。

ビゲロー・エアロスペースは1999年、ビゲローが自分のホテル事業の利益とノウハウを「宇宙ホテル」へ投資しようと決心して設立された(日本語版記事)。

その後、「Genesis I」および「Genesis II」と呼ばれるプロトタイプが2006年と2007年に開始された。そして4月8日、ポップアップ式の膨張式アクティヴィティ・モジュール「BEAM」(Bigelow Expandable Activity Module)が、国際宇宙ステ―ションに運ばれた。

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現在ISSとドッキングしているBEAM(地上でのモックアップ)。BEAMの容積は膨張時で16立方メートル、ULAと提携して開発される「B330」は330立方メートルだという。Image: Wikimedia Commons

ビゲロー・エアロスペースはすでにNASAやスペースX、ボーイングと提携を結んでおり、これにULAが加わることになる。

ULAは2006年、業界大手のロッキード・マーティンとボーイングによる合弁事業として、両社のロケット技術を統合するかたちで設立。ULAにとって今回の提携は、久しぶりの明るいニュースだ。同社は最近、ロケット「Atlas V」にロシア製エンジンを搭載している(日本語版記事)ことに関して、米国議会で非難を受けている。さらに、イーロン・マスクCEO率いるスペースXは宇宙へ物資を数百万ドル安く運搬でき、最近、米国空軍との契約を勝ち取っている(ULAは今回の入札には参加していない)。

一方、ULAの打ち上げ成功率は100パーセントで、A+の評価を受けているが、スペースXはそうではない。競争が激しくなりつつある航空宇宙業界において、ULAは、新興企業と協力関係を築くことが(そして、8日に発表した375人の「人員整理」といったコスト削減対策が)、市場での生き残りを後押しすると期待しているようだ。

いずれにしろ、ビゲロー・エアロスペースとULAとの提携により、いくつかの重要な事業が前進するのは明らかだ。ディズニー宇宙ステーションが確実に誕生するかはわからないが、次に生まれる「地上の楽園」が地球上でないとしたら楽しそうだ。