インドネシアの高速鉄道計画において、中国はインドネシア政府の債務保証を求めないなど破格の条件を提示して受注を勝ち取った。短期的に利益がなくとも、中国は中長期的な展望をもとにインドネシア政府に対して破格の条件を提示したわけだが、その破格さがタイ高速鉄道において「仇」になったとの見方が浮上している。(イメージ写真提供:(C)Cai Liang/123RF.COM)

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 インドネシアの高速鉄道計画において、中国はインドネシア政府の債務保証を求めないなど破格の条件を提示して受注を勝ち取った。短期的に利益がなくとも、中国は中長期的な展望をもとにインドネシア政府に対して破格の条件を提示したわけだが、その破格さがタイ高速鉄道において「仇」になったとの見方が浮上している。

 タイ政府はこのほど、タイ高速鉄道について、「技術と信号システム、列車は中国のものを利用する」としながらも、中国からの借款は受けず、工事はタイ国内の企業が請け負うと発表したが、中国メディアの時代在線はこのほど、タイ政府の心変わりの背後には「中国がインドネシア政府に対して過剰に譲歩したことがある」との見方を示した。

 タイ高速鉄道がもし問題なく建設されたとすれば、2017年には中国とタイが高速鉄道で結ばれる予定だった。タイ政府の心変わりによって、中国政府は高速鉄道の輸出戦略のみならず、中国を中心とした経済圏構築を目指す「一帯一路」戦略についても再考を迫られることになりそうだ。

 記事は、複数の専門家に共通した見方として、「これで中タイ高速鉄道が頓挫したわけではない」と伝える一方、タイ政府が心変わりした理由は、中国が資金を提供するにあたって「タイに提示した金利が高すぎた」ことにあると主張。つまり、タイ政府にとっては提示された条件がインドネシアより劣る内容であることが不満だった可能性があるということだ。報道によれば、中国はタイに求めていた金利は2.5%だったが、タイはさらに0.5%引き下げるよう求めていたという。

 続けて、タイが中国に金利引下げを要求していた背後には「インドネシア高速鉄道」の存在があると指摘。インドネシア高速鉄道において、中国側は金利2.0%で資金を提供するため、「インドネシアに過度に譲歩したことが、タイの過剰な要求につながった」と主張した。さらに、日本側の提案は金利0.1%だったとしながらも、そのほかに破格の条件を提示したため中国の受注につながったとしたほか、日本国内ではそもそも金利が低いために0.1%という金利を提案できると指摘、「中国は日本のような金利を提案することはできない代わりに、全体の建設コストが安い」と論じた。

 タイの一部路線では新幹線の採用を前提に、日本はすでにタイと覚書を交わしており、中国高速鉄道をめぐるタイの心変わりは日本にとって追い風となる可能性もある。中国では「中タイ高速鉄道が頓挫したわけではない」との見方もあるものの、中国の高速鉄道輸出にとっては突然の「逆風」であることは否めない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Cai Liang/123RF.COM)