「ホッとしているんじゃない?」と周囲の声…MF矢島の複雑な思い

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[4.13 練習試合 清水 1-1 U-23日本代表候補 アイスタ]

 試合開始から清水に主導権を握られる中、ボランチの位置に入ったU-23日本代表候補MF矢島慎也(岡山)は攻撃の組み立てに苦戦していた。

 最終ラインからボールを呼び込もうとも、クサビのパスを打ち込めずに攻撃をスピードアップさせられない。「前線との距離が遠い印象があったのでFWとトップ下の位置をもう少し落とすとか、最終ラインからのビルドアップの位置を上げるとか調整できれば良かった」。チームの中央部となる中盤の底に入るからこそ、「もう少し流れを読む力をつけないと」と反省が口を突いた。

 前半11分に清水に先制点を奪われ、1-0とリードを許したまま後半を迎えるとU-23日本代表候補は全フィールドプレーヤーを交代させる。45分間の出場となった矢島は「与えられた時間の中で追い付けなかったというのは、チームに戻ってまだまだやるべきことがあるということ」と五輪までの残された時間でさらに成長しなければならないと話した。

 手倉森ジャパン発足当初からメンバーに名を連ね、14年1月のAFC U-22選手権、9月のアジア大会、15年3月のリオ五輪アジア一次予選、16年1月のリオ五輪アジア最終予選を戦ってきた。しかし、先月行われたポルトガル遠征では負傷以外では初めてメンバーから外れる。手倉森誠監督は「矢島の力は分かっている」と意図を説明し、矢島自身にも電話で直接伝えたことを明かした。

 実力は十分評価されている。そう感じてもおかしくはない。実際に周囲からは「ホッとしているんじゃない?」と声を掛けられたようだが、矢島には複雑な思いがあったようだ。「自分のポジションで新戦力が試されるのか、本当に呼ぶべき存在ならばどんな状況でも呼ばれるんじゃないかと思ってしまって――」。指揮官の考えには理解を示しながらも、「呼ばれないことに関して悔しさがあった」と当時の心境を明かしている。

 2年以上メンバーに名を連ね続ける男だが、五輪本大会出場に当確ランプが灯っているわけではない。「最終予選のメンバーが必ず入れるわけでは絶対にないし、レベルの高い選手と争っているので安心感など全然ない。本当にメンバーに入るために必死です」と表情を引き締めた。

(取材・文 折戸岳彦)


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