【試乗記】ジャガーXFディーゼル、ついに体幹からダニエル・クレイグ化! さらに牙ムキ出しのアスリート系英国紳士に

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 むぅ。まさかここまでダニエル・クレイグ化してくるとは思いませんでしたぜ! 今回見た目がよりモダンになっただけでなく、体幹から鍛え直した新世代アスリート系英国紳士とも言うべき新型ジャガー「XF」であ〜る。
 ご存じジャガーは、歴史あるセクシーオヤジ向け英国ブランド。かつては「英國屋のスーツ」であり、葉巻をくゆらせた「シャーロック・ホームズ」であり、初代007「ショーン・コネリー」的イメージもあった。
 どっこいジェームズ・ボンドがそうであるように、いつまでも優雅&クラシカルなだけではいられない。ジャガーは2007年の先代「XF」& 2009年「XJ」からイッキにモード化! 
 より硬派かつスパルタンかつ本格的、つまり現007男優のダニエル・クレイグ的にワイルドに変貌したわけですよ。

●ダニエル化はますます続くよ

 どっこい最新ジャガーの本格アスリート化はいうほど一般には伝わってなかったのよね。旧XFも現XJもサイズはメルセデスEクラス以上だし、価格も600万円オーバー。ズバリ一部限られたリッチ層向けだったからして。

※JAGUAR XE
 
 しかし去年メルセデスの 「C」、BMWの「3」に対抗する新しいお手軽系プレミアム「XE」が登場してから潮目は変わった。しかもコイツが「金は出すけどクチは出さない」理想のパトロン、タタグループから38億ポンド(約3700億円)の資金を引き出し、ボディプラットフォーム=体幹 から鍛え直した上、ガソリン&ディーゼル両刀の新インジウムエンジンまで作っちゃったからたまらない。ジャガーのイメージが見た目も中身もフルに若返りつつあるわけ。

 そして今回XEに続いて、新世代プラットフォームと新エンジンをベースに生まれ変わったのが2代目「XF」。よりアスリート化したジャガーのミディアムスポーツセダンであり、メルセデスの「E」、BMWの「5」にも匹敵するプレミアムカーなわけですよ。

●サミットの舞台でお披露目

 今回はわざわざ名古屋まで行き、そこから155キロ離れた今年のサミットの舞台である伊勢志摩までを往復ドライブした新型XF。

 見た目はぶっちゃけ「どこが変わったの?」だ。日本車のようにイメージがコロコロ変わらないブランドだけに、基本は初代XFのリフレッシュ版。グリルは横幅を広げつつも、かなり旧型の面影を残しているがそれだけじゃない。特に全長で30cm以上も短い弟分と比べると「あれどっちだっけ?」というほど似てるのだ。

 細かい違いはヘッドライト内側のラインやテールレンズのカットをみればすぐわかるが、切れ長ヘッドライトや丸みを帯びた逆台形グリルは結構同じだし、似てるって意味じゃライバルBMWやアウディ以上かもしれない。

 ただ、良く見るとボディサイドの彫りが深くなり、トランクリッドが高くなってクサビ度が増しているし、全長×全幅×全高を見ると4,965×1,880×1,455mmで旧型より10mm短く、5mm低まると同時にホイールベースが50mm長くなってるから、踏ん張り感が増し、リアオーバーハングも短くなってる。根本的なプロポーションは良くなっているのだ。

 加え、決定的な美点は室内の広さだ。ホイールベースが伸びた分リアシートは拡大。スタイル優先のXEとは違って、リアには身長176cmの小沢がゆったり寝そべって座れるし、ラゲッジも入り口こそ狭めだが奥は広くて容量500L以上はありそう。
 ついでにラゲッジ左右壁が掘ってあるのでゴルフバッグも横に積めるはず。正直、XEじゃ狭いと思う人もいるだろうし、その手の需要にはピッタリ当てはまるはずだ。

【ギャラリー】JAGUAR XF (120枚)

●スキャンダル後、初めて厳しい検査をパスしたディーゼル

 肝心の走りだがまずビックリしたのは新世代ディーゼルの良さでしょう。流行りのエコな低フリクション系で、16.7km/LのJC08モード燃費だけに注目したら大間違い。ピークパワーは180psで普通だが、ピークトルクは430Nmと極太。とても2L直4ターボとは思えない力強さで実際乗ってもいきなり速い。8ATも自然でショックも少ない。唯一、アイドルストップの再始動は少し振動が残ったが。

 なによりちゃんと別タンクに用意した尿素ことアドブルーで排ガスをクリーン化する最新浄化システム。VWスキャンダルで神経質になっている日本の排ガス検査を新世代ディーゼルとして初めてパス。まさに大手を振って乗れるクリーンディーゼルなわけですよ。

 さらに新型XFは、XE譲りの75%アルミの軽量複合ボディを採用。旧型比で最大190kgの軽量化と3割弱のねじり剛性アップを達成しているだけに、発進からいきなりダイレクトに力強さが伝わってくるし、全長5m弱の巨大ボディをラクに引っ張る。

 それでいて不思議とサイズを感じさせないのはハンドリングだ。実は今回乗った"XE"のディーゼルが素晴らしく、不躾小沢はそっちの方が気に入っちゃったんだけど、新型XFも悪くない。全体の俊敏性はひと回り小さいXEの方が上だが、ステアリングを切り込んだ時のノーズの動きやダルさのなさは、BMWもかくや。この速さは"ボディ体幹"を鍛えなきゃ絶対に出せない。

 ただし、まだ新世代プラットフォームや新エンジンが出始めだからか、クルマによって質感にバラツキがあったのは残念。エンジン音にしろ、ボディが大きいXFの方がうるさく感じちゃったくらいなのだ。ここの部分は自分でしっかり試乗して比べてから購入されることを小沢はオススメいたします。

●インテリアは、ズバリ好み分かれます

 かたやいよいよイギリス風味を出して来たなぁと思ったのがインテリアだ。ずばりテイストは硬派であーる。マジメな話、リッチ感はさほどない。樹脂素材はあまりテカテカしてないし、本革シートにもイタリア系みたいな分かり易いソフトさはない。それどころかちょっとゴワゴワした感じすらある。

 が、明らかにドイツとも日本ともフランスとも違う無骨さとシンプルさがあるわけです。正面とドアのつなぎ目こそはキレイにラウンドしつつ、センター付近はスクエアでこれぞ今の男の仕事場! という感じ。

 それでいてハイテクも見事に入っていて、ドライバー前にはXEでも採用してない12.3インチのデジタルメーターで境目なく3連アナログメーターを表示。加えセンターには10.2インチの横長新インフォテインメント・システム。名前は「InControl Touch Pro」で、正直ロジックは日本車とはかなり違って、慣れるには時間がかかりそうだが、タッチスクリーンでの二本指ピンチイン&アウトも可能で、さすがはイマドキの高級車。

 唯一、ジャガー独自のダイヤル式ATは小沢的には使いづらく、ここだけはなんとか普通に戻して貰いたいと思うが、もしや買ったら愛おしくみえてしまうのかもしれない。アバタもエクボなので(笑)。
 ってなわけでより硬派かつワイルドにダニエル・クレイグ化した新XF。基本はアスリート指向の走り自慢だが、ほどよくセクシーかつシブさも入ってており、普通じゃない男くさい高級車を選ぶ人には一度は見て欲しい存在。アメリカとは違う、新しいイギリス流ワイルドってこういうことなのかもね!

■ジャガー 公式サイト