先週LINEが開発者向けにbotアカウントを自由に開発できる「BOT API Trial Account」の無償提供を開始したと思ったら、今度はFacebookも開発者向けのカンファレンスでMessengerを利用した企業のチャットボットのプラットフォームをリリース。

ここにきて、いまチャットbotが熱い。
チャットbotで何ができて、何が期待されているのだろうか?

◎チャットbotって?
そもそもチャットbotとは何か? 簡単にいうと、
何らかの作業を自動的に行うようプログラムされたもの。

Twitterが広まりだした頃、いろいろなTwitter botがあったのを覚えているだろうか? 
最近こそあまり目立たないが(単に慣れてしまったのか……)、
・自動的にツイートしたり
・リプライに答えたり、
その内容も千差万別だった。

いわゆる「人工無能」と呼ばれる会話のアルゴリズムを持ち、擬似的に会話をしているようにふるまえることが大きな特徴で、ウリ。
つまり、エンタメ系で楽しむという要素が強いものだった。

一方、いま話題のチャットbotはというと。
これは言ってしまえば、そのチャット版なのだが、大きく異なるのはその可能性だ。

単に「おもしろい会話を楽しむ」ことだけではなく、LINEやFacebookなどのプラットフォーム上で展開することで、各種サービスと連携したEコマース的な活用ができると期待されている。

◎LINEの「BOT API Trial Account」
LINEが開始したBOT API Trial Accountは、何らかのサービスを提供するサービスの提供元がシステムからLINEのBOT APIを経由し、メッセージが送受信できるというbotアカウントだ。

企業向けのLINEの公式アカウントはこれまでもあったが、それは"友だち"になってくれたアカウントに一括で大量のメッセージを送ることができるというもので、PRや宣伝活動としての活用だ。
今回始まったBOT APIアカウントは、API経由でサービスと連携させることで、ユーザー(アカウントの"友だち")と双方向にコミュニケーションが取れるということになる。

どういうことかというと、たとえば、
レストランやカフェの検索サービスがこのアカウントを活用することで、ユーザーに検索からシームレスに店舗の予約まで提供できたり、クーポンの発行ができたり、タクシー会社が活用したりすることでLINEを配車アプリにすることができる。

もちろん、すでに技術的にも可能なことだし、実際に展開されているものも多い。
企業にとっての最大のメリットは、自社サービス用のアプリを一から開発し、ユーザーにダウンロードしてもらわなくてもいい、ということ。

もちろんAPIと連携する部分などの開発は必要だが、自社ですべてを開発・運用するよりも低いコストで、一般のユーザー向けにサービスを提供することができる。
しかもLINEという巨大なプラットフォーム上で、だ。

ユーザーにとっても、いちいち利用したいサービスのスマートフォン用のアプリを探してダウンロードする手間もなくなる。

BOT API Trial Accountは、あくまでトライアルとして、友だち登録可能なユーザー数の上限が50人まで。先着で1万人に無償で提供される。

◎UIの主流は「メールよりもチャット」
LINEだけでなく、Facebookもチャットbot APIに参入。Microsoftも3月の開発者向けのイベントで、bot開発用フレームワーク「Microsoft Bot Framework」をリリースしている。

時代はまさにチャットbotといえる。

大前提として、
・メインのコミュニケーションツールとして、メールからチャットへの移行
ということがある。

チャット自体は昔からあるツールだし、PC上でも使われてきた(人工無能botもあった)。ただ、「リアルタイムに会話をする」というチャットの性格上、ある程度のIT環境がないと使えなかった。
ネットワークに常時つながっている、PCがすぐ側にある、長時間起動しておけるという環境でないとあまり意味がないツールなのだ。

そこに、電話回線やWi-Fiでネットにつながることが当たり前、PCよりも人に近い位置にあるスマートフォンというデバイスが広まったことで、コミュニケーションツールは一変した。

まさに、スマートフォンはチャットの良さが活かせるデバイスで、いま多くのサービスのUIはチャットがメインになっている。

ただ、問題は決済部分がどうなるか。
決済までチャットbot上でできれば、あたかもリアルなお店で店員さんと会話をして買い物をするように、スマートフォン(上のプラットフォーム)だけで完結する。

いまはまだ、そこまで行ってないが、FinTechの動きもあるので、そうなる日も近いのかもしれない。


大内孝子