写真と共に演劇の歴史や数々の体験談が語られ、受講者も興味が尽きない様子だった

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関東学院大学×横浜ウォーカーのコラボイベントとして開催されている生涯学習講座「横浜学」。4月9日に第18回となる講義が開催された。テーマは「横浜と演劇」。

最初に登壇したのは関東学院大学客員教授、樋口良澄先生。明治初期から現代までを4つの時代に分け、急速に発展していく横浜の街と演劇・劇場との深い関わりについて解説してくれた。さらに横浜と演劇の歴史を、当時の貴重な写真や公演ポスターの画像を交えて紹介。今も成長を続ける横浜の中で「演劇の在り方」を考え直すべき、と演劇の将来に思いを馳せて締めくくった。次に登壇したのは日本最初の西洋式劇場、ゲーテ座の跡地に建つ「岩崎博物館(ゲーテ座記念)」の小池成樹先生。西洋人によって西洋人のために造られた劇場「ゲーテ座」の歴史を、貴重な写真と共に振り返った。「ハムレット」などシェイクスピア作品も上演され、日本の近代演劇に多大な影響を与えたゲーテ座は1923(大正12)年、関東大震災によって倒壊。その後、昭和50年代初頭まで正確な位置や歴史を示す資料が失われていたという。最後の登壇者は舞踏家の大野慶人先生。「私の歴史を話せば、舞踏の歴史がわかるかもしれません」と語り始め、自身の体験談を語ってくれた。父である世界的舞踏家・大野一雄氏との興味深いエピソードや、作家の大佛次郎氏、三島由紀夫氏、暗黒舞踏の創始者である土方巽氏など演劇にゆかりのある人々との交流をユーモアたっぷりの口調で紹介。講座の最後にはエルビス・プレスリーの「好きにならずにいられない(Can't Help Falling In Love)」の音楽にのせて大野一雄氏を模した指人形と踊る、見事な舞踏を披露してくれた。

開港から近現代まで、横浜と演劇との150年の記憶を様々な視点から掘り起こしていった今回の講座。最後には大野先生が目の前で「演劇の現在」とも言える舞踏を演じ、会場は喝采に包まれた。

次回は「横浜と教育」をテーマに6月19日(日)の予定だ。【横浜ウォーカー】