障がい児の子育て。ママの本音とは?

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障がい児を育てるママの気持ちというのは、育てたことのあるママにしかわかりません。サポートできたら…、励ますことができたら…と思っても、どこまでサポートしていいのか? どんな励ましの声をかけたらいいか?と、戸惑うもの。サポートの第一歩は、まず気持ちを少しでも理解することからです。そこで、子育て本作家・講演家で自身も高校1年生の自閉症児の子育てをする立石美津子さんに、障がい児の子育てをするママの本音を伺いました。

「息子の障がいがわかったのは2歳のときでした。正直、“障がい児の親になる”という、自分の人生設計にはない状況をすぐに受け入れることはできませんでした。それまで交流していたママ友の集まりにも行く気になれず、引きこもってしまう日々が続きました」(立石さん 以下同)

大きな転機になったのは、同じ自閉症児の子育てをする先輩ママたちとの交流だったという。

「“自閉症協会”で月1回、同じ障がいを持つ親の集まりがあって、そこでいろんな経験談を聞きました。そうすると、子どもが小さいうちに障がいを受け入れてきちんとケアをしないと、二次障がいが出て思春期以降大変なことになってしまう可能性もあるということが分かりました。それからは、“この子の将来のためにも、受け入れなければ”と、周りのママや先生、関わる人に息子の障がいを伝えて子育てするようになりました」

伝えることで、周りの温かい理解やサポートを受けられるようになり、むしろ親子共々楽になったという立石さん。しかし、ママ友の励ましの言葉で逆に落ち込んでしまうこともあったそう。

「あるとき、ママ友に“やっぱり子どもは親を選んで生まれてくるのね。息子さんは立石さんを選んで生まれてきたのよ”と言われました。もちろんママ友は励ましのつもりで言ってくれたのであって、悪気はまったくないのです。でも、この言葉を聞いた私は“神様に選ばれたくなんかなかった…”と、心のなかで思ってしまいました。なぜなら、どんな親でも好んで障がいのある子を産みたいとは思っていないからです。自分に起こった不運から周りを妬む気持ちさえ起こる人もいます。そして、自分の子に対してむしろ“こんな子に産んでごめんね”と実は自分を責めたりもしているのです」

どんな励ましの言葉よりも、障がい児を持つママが一番救われるのは共感の言葉だと、立石さんは話します。

「障がい児の子育てというのは、大変ですが、喜びもたくさんあります。そこは健常児の子育てとなんら変わりはありません。しかし、息子が高校生になった今もしんどい子育てであることは確かです。そして、20歳で子育て終了ではありません。ずっとずっと育てていかなければならず、さらに“この子を残して逝けない”と、自分が死んだあとの子どもの行く末のことをずっと案じています。一日たりとも、不安にならない日はありません。そんなとき、どんな励ましの言葉よりも、ただただ共感の言葉をかけてもらえるだけで救われるのです。“大変な子育てだよね、本当によく頑張ってるよね”“つらいんだね”と……」

相手を励まそうとかけた言葉がかえって相手を傷つけてしまう。これでは結果的に自己満足でしかないのです。本当の思いやりと優しさは、相手の立場や状況を理解すること、そして何より共感することなのかもしれません。

(構成・文/横田裕美子)