部屋の「色」が、あなたのココロを変えるかも

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執筆:片桐かほり(カラー&イメージコンサルタント)


今回は住空間の色使いが、あなたのココロに与える影響についてお話します。

気分によって好きに変えられるファッションと違って、住空間の色使いを変えるのは大ごとです。住まいの色を決める際は、「どんな感情の時にもその空間で過ごさなければならない」という点を考慮する必要があります。

住空間の色は簡単には変えられない


楽しい時、悲しい時、腹が立っている時、体調が悪い時……。
私たちは基本的に、感情や体調に関係なく同じ住空間で過ごさなければなりません。一方、色や柄といった要素は人の心理に大きな影響を与えるため、時に心の状態と住空間がちぐはぐになってしまうことがあるのです。

元気になる赤色の使い方


例えば、部屋の大部分を占めるクロス(壁紙)を選ぶ時を考えてみましょう。
最近では実にさまざまな色や柄のクロスが選べるようになりました。楽しい時や元気な時は、赤、オレンジ、ピンクなどパッと目を引く色が使われたものや少々奇抜な柄物など、普通では選ばないようなものを選んでしまうことがあります。

赤と言えば元気になる色の代表格です。
この色を見ることによってアドレナリンの分泌が促進され、興奮状態になると言われています。赤は体感温度も上昇するので、冷え性の人には向いていると言えるでしょう。

とはいえ、壁全面を赤いクロスにしたいという人はあまりいないでしょう。ソファやクッションなどなどで部分的に取り入れるといいでしょう。

冷静になる青系にも注意が必要


心身の状態が不安定な時は、赤系の強い色はむしろ逆効果。心を静かで穏やかな状態に持っていくには、青系の色が適しています。青には赤とはまったく逆の効果があり、心を落ち着け、体感温度を下げると言います。

青色の注意点は、水場での使用です。水場は暖房器具がない場合が多く、冬場は冷え込みやすい空間。
水色くらいならまだいいのですが、濃い青を水場に多用すると寒さがより堪えます。特に、年配の方がいるご家庭では気をつけたいところです。

定番が定番である理由


これらのことを考え合わせると、住空間で心穏やかに過ごせる色としては、ベージュやブラウン、白などがよいでしょう。
こういったオーソドックスな色は無難すぎて面白くないと思う人もいるかもしれませんが、洋の東西を問わず古くから定番として用いられているものは、それなりに理に適っているのです。
カラフルな色を取り入れたい時は、使用する面積を小さくすれば意外とどんな空間にもなじみます。

また、ひとくちにブラウンといっても、淡い色と濃い色では印象が大きく異なります。
淡い色だとナチュラルな雰囲気の空間になりやすく、濃い色だと高級感が増します。高級感といえば黒が代表的ですが、黒があまり目立つと空間が暗いイメージになってしまうので気をつけましょう。

気分を問わず落ち着ける部屋に


色使いについては服を選ぶときにも同様のことが言えますが、服ならいつでも着替えられますし、失敗しても比較的気軽に買い替えることができます。
しかし、部屋のクロスとなるとそう簡単にはいきませんよね。
住空間の色は、「どんな気分の時にもフィットする」ことを基本に考えて選んでいただければと思います。


<執筆者プロフィール>
●片桐かほり(かたぎり・かほり)
カラー&イメージコンサルタント。2003年よりコンサルタントとして独立し、通算2500人以上に指導を実施。似合う色とファッションの楽しみ方を伝える一方、企業へのコンサルティングや講演を全国で行っている
http://www.baroque-woman.com/