「我が子を愛せない」母親が突破すべき壁

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 テレビなどで、母親が幼子を虐待したり、殺めたりといったニュースを見かけることがある。子育て未経験の人にとっては「なぜ、そんなことを…」と理解不能な事件に映るかもしれない。

 だが、ある調査によれば、子育て中の母親の約半数が「育児ノイローゼだと感じたことがある」そうで、多くの人にとって、この問題は「対岸の火事」で済まされる話ではないことが分かる。

 ちなみに、育児ノイローゼかどうかをセルフチェックするための項目の一つに「子どもをかわいいと思えない」というものがある。つまり、親が子どもを愛せなくなったら危険信号というわけだ。
 『夢を叶える! 0.1秒で人は変われる!』(しちだ・教育研究所/刊)の著者、尾崎さんのもとには、そんな「我が子を愛せない」親が相談に来るケースも多いという。
 親が子どもを愛せなくなるという状況の根っこにはどのような問題があるのか。また、その問題を解決する上でのキーワードは何なのかを中心にお話を聞いた。

――ところで普段、尾崎さんのもとには、どのような方がセラピーを受けにいらっしゃるのですか。

尾崎:ケースとして少なくないのが「我が子を愛せない」母親ですね。「うちの子のあそこが腹立つ、ここが腹立つ」「どうしても我が子のことが好きになれない」といって、当社に相談に来きます。

――そうしたケースで、母親はどのような心理状態に陥っているのでしょうか。

尾崎:母親がいまだ受け入れられずにいる「自分の欠点」を子どものなかに見て苛立っているという状態です。

――では、母親がそのような状態を抜け出すために、どういったアドバイスをするのでしょうか。

尾崎:私の口癖は「ええやん」なのですが、母親が自分の欠点を受け入れられるよう、さらに言えば短所を長所に変えられるよう、とにかく「それでええやん」という言葉をかけるようにしています。

そういうやりとりを続けていると、ある日、母親が「先生、うちの子が“いい子”になりました!」と報告しに来る。

でもそれは、子どもが変わったのではなくて、母親の心の持ちようが変わった証拠。母親が自分の欠点を受け入れたことで、子どもにどんな面を見せられても、「嫌だ」とは感じなくなったというだけのことなのです。

――ただ実際、母親に自分の欠点を受け入れてもらうことは一筋縄に行かないのではと感じます。「欠点を受け入れる」作業を促すとき、先ほど言っていた「言葉がけ」以外に、尾崎さんが意識しているのはどのようなことでしょうか。

尾崎:母親自身のなかにある、「常識」という名の思い込みを外してもらうということを意識します。私はこれを「他者の価値観からの解放」と呼んでいます。

「かくあるべし」と思っているようなことは、その人が子どものころに植えつけられた「誰かの常識」であることがほとんどです。それはたとえば「美人か、そうでないか」という基準一つとってもそう。美人の基準は国や地域によって、驚くほど違うでしょう? 「常識」というのは所詮、その程度のものなのです。

そうした思い込みを一つひとつ外していってもらって、最終的に「こんなことにコンプレックスを感じる必要なんてなかったんだ」と気づいてもらう。そこに気づきさえすれば、自ずと「ありのままの自分」を受け入れられるようになります。

――なぜ尾崎さんはそのように「常識を疑うことの大切さ」に気づかれたのだと思いますか。

尾崎: 私は元々、旅が好きで、これまで30カ国以上をめぐってきたのですが、もしかしたらそのことが関係しているのかもしれませんね。海外に行くと、人の価値観というものは、本当に様々なのだなと痛感させられますから。

たとえば、日本人のおばあちゃんがビキニを着て、海で泳いでいたりといった光景を見かけることはまずありませんよね。でもヨーロッパやアメリカへ行くと、当たり前のように、80歳ぐらいのおばあちゃんがビキニを着て、最高の笑顔で泳いでいるのを見かけます。

良い悪いの問題ではなく、それだけ常識は地域によって、あるいは時代によっても異なるもの。様々な光景を見るなかで、そう実感してきたからこそ、「こうあるべき」「こうしなければいけない」「これをすべきではない」など、植えつけられた誰かの価値観や常識を「それって真実なの?」と疑っても良いのではと思うようになったのです。これらの思い込み全てを手放した時に、本当に自分が望む人生が見えてくるのではないか、と。
(新刊JP編集部)