写真提供:マイナビニュース

写真拡大

米国の宇宙企業ビゲロウ・エアロスペースと、ロケット運用会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は4月11日(現地時間)、宇宙旅行者が滞在できる宇宙ステーション「B330」を、2020年に打ち上げると発表した。実現すれば、世界初となる商業的な宇宙ステーション、いわゆる宇宙ホテルが誕生することになる。

ビゲロウ・エアロスペースは、ホテル王として知られるロバート・ビゲロウ氏によって設立された会社で、宇宙ホテルの建造を目指している。同社の宇宙ステーションは風船のように膨らむ構造が特長で、これにより畳んでコンパクトにした状態でロケットで打ち上げられるほか、ロケットが搭載できる体積よりも大きな、広い内部空間をもつ宇宙ステーションを造ることができるという利点がある。

ULAのトーリィ・ブルーノ社長兼CEOは「この革新的な取り組みは、材料や医療、生物学などの分野で、宇宙実験の機会を大きく増やすことができます。それは国家の宇宙機関だけでなく、民間や個人でさえ可能になります。宇宙は誰でも手が届く場所になるでしょう」と語った。

B330は全長約17mで、最大6人が滞在することができる。体積は330m3で、これは現在国際宇宙ステーション(ISS)にある米国の「デスティニー」モジュールより2倍以上も広い。ブルーノ社長は、「私が最初に住んだアパートよりも広い」と冗談を飛ばした。設計寿命は20年が予定されている。

1人の滞在期間は1カ月から45日ほどと想定されている。打ち上げと帰還を含めた滞在費など、顧客が支払う費用については言及されなかった。

B330は単独でも飛行できるほか、ISSに結合することも可能だという。ビゲロウ氏によると、ISSへの結合に関しては、現在、米国航空宇宙局(NASA)と可能性の調査を続けている最中にあり、最終的に単独飛行になるのか、それともISSに結合することになるのかはまだ決まっていないとしている。なお、ISSに結合する場合は「XBASE」(Expandable Bigelow Advanced Station Enhancement)という名前になるとされ、実現すればISSの総体積は30%も増えることになるという。

ISSに結合する場合はもちろん、単独の場合でも、同ステーションに訪れる手段としては、ボーイングが開発中の宇宙船「スターライナー」、スペースXの「ドラゴン2」、シエラ・ネヴァダの「ドリーム・チェイサー」、またブルー・オリジンが計画している宇宙船が考えられるとしている。

B330の打ち上げには、ULAが運用している米国の基幹ロケット「アトラスV」を使用する。この打ち上げのため、固体ロケットブースターを5基、第2段エンジンを2基装備する最強の「552」という構成を使い、さらに大気からB330を守るフェアリングは、全長を伸ばした特注品を使うという。

○国際宇宙ステーションでは試験機がまもなく結合

ビゲロウ・エアロスペースはこれと並行し、風船のように膨らむモジュールの試験機「BEAM」を開発し、先日「ドラゴン」補給船に搭載し、ISSへ打ち上げている。ドラゴンはすでにISSへ到着しており、今月15日ごろにもBEAMが取り出され、ISSに結合。来月下旬には実際に空気を入れて、膨らます作業が行われることになっている。

BEAMは直径3.2m、全長4mで、居住区の体積は16m3ほど。あくまで試験機であるため、内部に特別な内装などはなく、また電源や生命維持装置はISS側から供給される。ハッチも基本的に閉じたままの状態となり、宇宙飛行士が出入りできるのは限られたときだけだという。

BEAMによって、膨らむ仕組みや壁面の素材の耐久性などが証明され、また内部に宇宙飛行士が入り、その快適性も示すことができれば、ビゲロウ・エアロスペースにとってはB330の実現に向けた大きな一歩となる。

同社はまた、より大型の宇宙ホテルの開発も進めており、さらに同じ技術を使った月や惑星へ向けた航行時の居住モジュールや、月・惑星上の基地にも応用できるとし、開発を行っている。

※風船のような宇宙ステーションの仕組みや、ビゲロウ・エアロスペースの歩みなどについては、「「宇宙ホテル」は実現するか - 空気で膨らむ宇宙ステーションの試験始まる」をご覧ください。

【参考】
・Bigelow Aerospace and United Launch Alliance Join Forces to Foster a New Era of Sustainable Commerci - United Launch Alliance
 
・Bigelow Aerospace Partners with United Launch Alliance, April 11, 2016 - YouTube
 
・Atlas 5 to launch commercial space habitat for Bigelow Aerospace - Spaceflight Now
 
・Bigelow Aerospace
 
・Bigelow Aerospace | About
 

(鳥嶋真也)