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市場調査会社である米Gartner(ガートナー)は4月6日(米国時間)、2015年(暦年)の世界半導体製造装置(半導体前工程のウェハプロセスで使用される製造装置やウェハ検査装置:WFE。後工程用に用いられる組立・最終検査装置を除く)市場および売上高トップ10を発表した。

それによると、2015年の市場規模は、前年比1%減の336億ドル(約4兆円)であった。1%減の理由について同社調査担当副社長のBob Johnson氏は「主要なエレクトロニクス分野の最終製品の需要が減少に転じたうえに、メモリの供給過剰の兆しが見えたため、半導体メーカーの設備投資計画が急激に保守的になり、結果としてWFEへの投資に影響が生じた」と分析する。さらに「メモリ分野への投資は増加したが、この増加分がロジック分野への投資手控えの穴埋めをするには至らなかった。ロジックICメーカーは、生産規模を拡大するかわりにロジックプロセス改善に注力したため、投資が期待したほど活発にならなかった」と付け加えている。

また、2015年のシェアトップ10社の売上高合計は、前年比1%減の世界市場の77%となった。米Applied Materials(AMAT)は、売り上げを前年比1.3%伸ばして、64億2000万ドルとし、2位以下に大差をつけてトップの座を守った。先端半導体メーカーがこぞって3次元デバイス(3Dトランジスタ(Fin FET)および3D NAND型フラッシュメモリ)の生産設備に投資したが、これが同社の2015年の売り上げをけん引した。

米Lam Researchは、前年比25%の驚異的な成長を遂げ、昨年の4位から一気に2位に駆け上がった。同社はAMAT同様、半導体業界の3Dデバイス量産のための集中的な設備投資の恩恵を受けた。多重露光(マルチパターニング)の採用で同社の得意とするドライエッチングの工程数が増えたことが挙げられるほか、AMATと東京エレクトロン(TEL)の経営統合さわぎで漁夫の利を得た面もあろう。どうやら、AMATとTELの2強による装置価格支配を嫌った大手半導体メーカーが、両社の経営統合に反対し、その注文がLamに流れたようだ。ただし、今後はLamの得意とするドライエッチングやデポジション分野は、世界的に競争がし烈になることが予測されることから、安閑とはしていられないであろう。

蘭ASMLは、前年比16%減で、順位を2位から3位に落とした。TELも同7%減で3位から4位に後退した。このところ成長が足踏み状態のTELは飛躍を期待してAMATと組んでトップに躍り出ようととしたが失敗し、その間の時間的なロスが影響しているようだ。なお、2位のLam, 3位のASML、4位のTELはともに40億ドル台で、先行するトップ(AMAT)を追う第2グループを形成し、激しくせりあっており、5位(KLA-Tencor)以下を大きく離している。

ちなみに、以下のランキング表は、ドルベースで表示されているため、後述するように、欧州および日本メーカーは、母国通貨安の影響を大きく受けている。

Gartnerのjohnson調査担当副社長は「2015年の設備投資は選択的だった」と2015年を振り返り、「ロジックICメーカーはプロセスの改善と最新の微細加工技術を入手することに注力した。一方、メモリメーカーは、メモリの需要増加や価格上昇に対応して生産能力を増加させた。しかし別の要素も働いた。2014年に円とユーロは、ドルに対して著しく価値を下げた。前年比の成長がほぼゼロの市場では、為替レートの変化が数字にもろに表れてしまっている」とその背景を説明する。

露光装置(リソグラフィ)市場は、日本と欧州の企業(ASML、ニコン、キヤノンで構成されるので、為替レートの影響を受けてドルベースではマイナス13%と、全プロセス中、最悪であった。一方で成長著しかったのは、イオン注入(前年比24%増)と材料除去・洗浄(6%増)であった。プロセス制御用装置は前年比2.5%減となったが、中でも、光学式ウェハ表面検査装置は、買い控えにより同15%減と大きく減少したことから、KLA-Tencorはマイナス成長となった。

なお、6位から8位にはSCREEN、日立ハイテクノロジーズ、ニコンと日本勢が並ぶが、ともに2桁減少なのは上述した為替レートの影響が大きい、そのような中で、9位の日立国際電気の同5.7%増が光る。同社が得意とする3Dデバイス構造対応の薄膜形成装置の売り上げが貢献した模様だ。

(服部毅)