カキツバタも見ごろ!根津美術館で和歌とともに楽しむ特別展「国宝 燕子花図屏風」

写真拡大

国宝に指定されたカキツバタの花の絵を観た後に、庭園で咲き誇る本物の花を眺める…都心で、そんな贅沢な美術鑑賞ができるのは、この時期の根津美術館だけ。毎年、この時期に公開されるのを楽しみにしている美術ファンも多いはず。

カキツバタの花が見ごろを迎えるこの季節、2016年4月13日(水)から5月15日(日)まで、南青山の「根津美術館」では特別展「国宝 燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)―歌をまとう絵の系譜―」を開催する。

江戸時代の画家・尾形光琳によって生み出された国宝「燕子花図屏風」は、平安時代の歌物語「伊勢物語」の一節をモチーフに描かれたと考えられているそう。その一節というのは第九段の「東下り」で、京の都から東へ行く主人公が、現在の愛知県にあたる三河国(みかわのくに)の八橋で燕子花の花を見て都の妻を思い出すというシーン。

この物語の中では、「唐衣(からころも)きつつなれにしつましあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ(着慣れた服“唐衣”のように親しんだ妻が都にいるので、はるばる遠いところまで旅に来たなと思う)」という和歌が詠まれる。歌の中に花の名前は出てこないけれど、五・七・五・七・七の冒頭をつなげると、「カキツバタ」の5つの文字になり、まさに主人公はカキツバタの花を見ながら詠んだのだと分かる。鮮やかに咲き誇る国宝「燕子花図屏風」をこの歌とともに鑑賞することで、奥行きのある美術体験ができるはず。

そこで今年は、メインとなる国宝「燕子花図屏風」のほかにも、歌の意味を表す「歌絵」や歌に詠まれた場面の絵などを15件集めて、絵と歌の関わりにスポットを当てる趣向に。

例えば、江戸時代に描かれた「吉野龍田図屏風」は、右隻(うせき)に満開の奈良県吉野山の桜、左隻(させき)に同じく奈良の龍田川の紅葉を配したもので、画中の木の枝に結ばれた短冊にはそれぞれ和歌が描かれている。

桜の枝には、平安時代の「古今和歌集」にある紀貫之(きのつらゆき)の和歌、「今年より春しりそむる桜ばな 散るといふことはならはざらなむ(今年初めて花をつけた桜よ、散ることだけは知らずにいてほしい)」が。

このほかに、古今和歌集の歌をテーマにした「誰が袖図(たがそでず)屏風」など、和歌と密接につながる絵が並ぶ。


また、今回は特別に、室町時代に製作された「伊勢物語絵巻」(個人蔵)3巻も出品されるそう。

こちらは125段の本文と40段の絵からなる絵巻物で、ストーリーそのものではなく、そこで詠まれた和歌の内容を描いた絵が多いという特徴も。

のびやかな草花の表現も魅力的だけど、国宝「燕子花図屏風」のルーツとも言える物語の絵巻物が一緒に鑑賞できるのもうれしいところ。


絵を鑑賞した後は、ぜひ庭園の池へまわって初夏の気持ちよい風の中で「カキツバタ」の群生を楽しんで。今年の開花は4月終わり頃の見込み。

さらに、展覧会の最終週にあたる5月10日(火)から15日(日)には、開館時間を19時まで延長する夜間開館を実施するとか。

「夜間開館の期間中は、庭園内にある『NEZUCAFE(根津カフェ)』で、17時から『グラス シャンパン』(1500円)や『プロシュート&オリーブ』(+400円、シャンパンとのセットのみ)もご提供します。宵の時間を、美術館の中でゆったりと過ごしてください」と、広報担当者さん。


館内のショップでは、国宝「燕子花図屏風」にちなんだオリジナルグッズも「ハンカチーフ」(1200円)などの新作が登場する。

国宝「燕子花図屏風」のことをもっと知りたいという女子には、入館料だけで受講できるレクチャーも。4月16日(土)と26日(火)の11時から開催される「モーニングレクチャー」と、5月10日(火)の17時30分から開催の「イブニングレクチャー」があるから、好きな時間を選んで。こちらでは、根津美術館・学芸課長の野口剛さんを講師に、作品の詳しい説明を聞くことができる。

国宝を観て、庭の花を観て、シャンパンで乾杯する優雅な初夏を、彼や女友達と満喫して。

トップ画像:国宝 燕子花図屏風(右隻) 尾形光琳筆 6曲1双 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵