専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第49回

 ゴルフって、さっきまで絶好調だったのに、突如"リーマンショック"のように崩れることがあります。

 例えば、連続パーで迎えた谷越えのショートホール。1オンを狙おうと、意気込んで構えました。すると突然、風なんて吹いていないのに、なぜかガラガラと音がする。ふと、後ろを振り向くと、後続組がカートに乗ってやってきたところでした。

 しかも、そこには若い女性がいて、じっとこちらを見ている気がする。瞬間、脳裏に「いいかっこしなきゃ」という気持ちがよぎります。

 そこで、無意識にグリップを強めに握ってしまった――としたら、テークバックを始めたときには、時すでに遅し、です。「スイングが速い」と心の中で絶叫しつつも、ボールは奈落の底へ......。

 こういうときに限って、同伴メンバーは誰も突っ込んでくれない。「やっちまった工業団地だなぁ〜(※千葉県の『八街工業団地』をもじったダジャレ)」とでも言ってくれりゃ、笑ってごまかすのに......。だんまりほどつらいものはないっす......。

 このように、我々アマチュアゴルファーは、メンタルがとても弱いです。ギャラリーが4、5人増えただけで、心臓バクバクですから。

 アマチュアゴルフの世界では、「メンタルが5割」とも言われています。技術を磨くより、精神的な部分を鍛えることを強く推奨します。

 具体的に、どうやって精神力を鍛えるのか。これは、ゴルフの原点に戻って、練習場で鍛え直すしかありません。

 今から20数年前、ゴルフデビュー間もない頃の私は、練習場でOBを連発していました。ドライバーで打ったら、真上にボールが上がって天井に直撃したり、ひどいシャンクで隣の人に当たりそうになったり......そのときは、スゲェ〜勢いで怒られましたけど。それでも、うまくなるには練習するしかありません。これも、ひとつの試練でしたね。

 ですから当時は、お客さんが少ない営業終了ちょっと前に練習場に行って、ドライビングレンジの一番右端のネット際で練習していたものです。クラブも、7番アイアンのハーフショットから始めて、徐々に調子を上げながら、フルショットしたり、他のクラブの練習をしたりしていました。

 以前、"練習場シングル"の話(※3月4日配信。第44回「『練習場シングル』だって、立派なゴルファーです」)を書きましたが、その頃の私は、練習場でも"ダボゴルファー以上"でした。

 とはいえ、次第にボールを打てるようになってくると、練習場でも「変なところに打ったらどうしよう」といったプレッシャーから解放されます。つまりそれは、そのレベルの精神力は身につけられたと言えます。

 そうしたら、今度は練習場内での武者修行を試みましょう。例えば、1階の最も混んでいるセンターの打席で練習する。そこで、周囲を威圧しながら、ナイスショットを連発するようになれば上出来です。

 さらに、スマホで動画を撮るなど、自分にプレッシャーを与える工夫をいろいろと試してみるのもいいかもしれません。それが、少なからず精神力強化につながっていくのではないでしょうか。

 また、ゴルフというのは、腕前が上がるにつれて、ラウンドするステージを上げていくものです。練習場デビューができたら、次はコースでラウンド。まずはショートコース、続いて河川敷コース、そしてわりと簡単な本コースといった具合でしょうか。

 その際、仲間内でのラウンドに慣れたら、ラウンドのランクアップをしていきましょう。知り合いのコンペに参加し、続いて仕事関係のコンペに参加するなど、よりプレッシャーのかかる場所でプレーするわけです。

 だいたい、マスターズに初出場した某プロ選手が、「変なボール打って、パトロンに当てたらどうしようって思っていました」と言っているくらいですから、ゴルフはどんなレベルであっても、プレッシャーはついて回ってきます。

 コンペより先を考えればきりがないですが、ラウンドレベルを上げれば上げるほど、さまざまなプレッシャーを受けることになります。それこそ、精神面の強化となりますし、そうした経験は必ずその後のラウンドで生かされていくと思いますよ。

 メンタル面に自信がなければ、とことんプレッシャーから逃れる、という方法もあります。

 コースにおけるプレッシャーを分類すると、池や谷などの"戦略的なもの"と、ギャラリーや同伴競技者などの"周囲の環境的なもの"に分けることができます。

 まず、"戦略的なもの"で叩くのを避けるのであれば、なるべく池や谷のない、河川敷のコースに行けばいいのです。

 俗に言う「接待コース」に行くのもアリです。見た目はゴージャスですが、OBが少なく、不思議と叩かないコース設計になっています。そういったコースでも、最近はだいぶリーズナブルになっていますから、ゴルフに詳しい人に相談して、いいコースを教えてもらうのもひとつの手です。

 続いて"周囲の環境的なもの"ですが、同伴競技者がプレッシャーをかけてくる場合は、もはや論外です。そういう人とはラウンドしないほうがいいでしょう。

 見ず知らずの後続組の視線が気になってしまう方は、逆にコンペに参加するのがいいでしょう。最終組以外のグループに入れてもらって、後続組の人にはスタート前に挨拶をしておく。さすれば、もう知り合いですから、何らプレッシャーを受けません。もちろん、打ち込んでくる心配もありません。

 ともあれ、ミスショットをして、ボールを谷底に落としても、大怪我をしたり、莫大な借金を抱えたりすることはありません。「紳士のスポーツ」と思うと緊張しますが、そもそもゴルフはレジャー、所詮「遊びなんだ」と思えば、気楽にプレーできますよ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa