<マスターズ 最終日◇10日◇オーガスタ・ナショナルゴルフクラブ(7,435ヤード・パー72)>
 海外男子メジャー「マスターズ」は最終ラウンドを行い、ダニー・ウィレット(イングランド)が5バーディ・ノーボギーの“67”を叩きだしてトータル5アンダーで逆転優勝を果たした。単独首位からスタートしたジョーダン・スピース(米国)は12番で“7”を叩くなど失速して2位タイに終わった。
【関連写真】4日間の激闘をフォトギャラリーで振り返る
 グリーンジャケットに袖を通してもまだ夢心地だった。「まだ、信じられない。今の気持ちをどう表現していいか分からない」。実感がわかないのは勝ち方が劇的だったことも無関係ではないはずだ。上位を追いかけて完璧なゴルフを続けていたウィレットが逃げる立場に変わったのは、終盤を迎えてからだ。
 「15番のティを歩き出したとき僕はまだ4アンダーで、ジョーダンとは1打差。まだスコアを伸ばさないといけないと思っていた」。この直後だった。スピースが12番パー3でティショットを池に入れると手前から打ち直した3打目も池に入れまさかの“7”。リーダーボードにスピースの数字が入るとパトロンから悲鳴ともとれるざわめきが起こった。
 トータル5アンダーでホールアウトしてクラブハウスリーダーとなったウィレットは、後続のプレーを緊張の面持ちで見守る。アンダーパーにいたダスティン・ジョンソン(米国)が17番でダブルボギー。そして3アンダーまで巻き返していたスピースも17番でボギーを打った。瞬間、ウィレットの優勝が決まった。
 実はウィレットは大会前に注目を集めていた1人だった。当時妊娠中の夫人がいて、「出産予定日は4月10日。マスターズの最終日だった。だからもし早く生まれてこなかったらマスターズは欠場するつもり」と宣言していたためだ。だが、長男は3月30日に無事誕生。「急きょ飛んできて、到着したのは月曜日の夜だった」とドタバタでオーガスタ入りして栄冠をつかみとった。
 マスターズでキャディが着るツナギの左胸に記されている番号は、エントリーした順に割り振られる。前年優勝者が“1”となるのは変わらないが、そのあとは早い順だ(松山英樹は12)。だから、出場89選手最後のエントリーだったウィレットの番号は“89”。「でも、誰かが教えてくれたんだ。ジャック(ニクラス)が勝った86年もキャディがつけていた番号が“89”だったってね」。残りものには福があった。大会前にこの世に生まれてくれた長男が運んできてくれたラッキーナンバーだった。
<ゴルフ情報ALBA.Net>